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第四世代

閑話休題 メイガスの憂鬱

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メイガスは、クロコディアである。元々はコーネリアス号の乗員の一人であったが、オリジナルの<メイガス・ドルセント>は不定形生物に取り込まれ<データヒューマン>となり、その後、クロコディアとのキメラとして顕現。再び肉体を持った存在としての生を受けた。

しかし、クロコディアとしての形質が強かったらしく、外見にはメイガスとしての面影も残しつつ肉体の機能としては完全なクロコディアのそれであり、ゆえにメンタルについても、もはや記憶と基本的な人格を除きクロコディアのそれになってしまっていただろう。

もちろん彼女も、今の体で意識を取り戻したばかりの頃にはあまりのことにショックも受けて落ち込みもした。パニックまでは起こさなかったものの気分が沈んで何もする気が起きなかったりもしたのだ。だからただ、岸に佇み呆然とした状態で数日を過ごしたりもした。

とはいえ、肉体そのものはしっかりと生きている。生きようとして様々な焦燥感を彼女にもたらしてくる。

『腹が減った』

『こんなところで漫然と過ごしていては危険だ』

等々。

特に空腹は、野生の生き物の肉体を有していることで、必ず食事にありつけるとは限らない生き方をする前提ゆえか、我慢もできなくはなかったものの、さすがに丸二日間何も食べないでいたら、体の方が勝手に動いて魚を捉え、それを骨ごと頭からバリバリと貪ってしまっていた。

その魚の美味かったこと。メイガスとしての記憶の中でも最上級に美味かったと思えてしまった。

もっともそれは、<味覚>と言うよりは、

<これにより自身の生をつなぐことができるという悦び>

だったのかもしれない。クロコディアとしての肉体がそれを<美味さ>として彼女に伝えたのかもしれない。

いずれにせよ彼女は、この経験により、

『意外とこの体も悪くないかもしれない』

と思えるようになったのも事実だっただろう。しかも、何とも言えない色に濁った河の水もそれほど不潔とは感じられず。その河の水を飲むことに対しても抵抗感がなく、ここでも生き返ったような気がした。二日間、岸で佇んでいたことで体が乾いてしまい、不調を生じていたようだ。それが河に入ることで回復し、<心地好さ>となったというのもあったのだと思われる。

そう、彼女の体は、この河で生きることに最適化されたものだったのだ。

さりとてさすがにすぐには完全に受け入れられずその後も数日に亘って呆然としたが、二度三度と経験することで、現実を受け入れるしかないと実感できたのだろう。

これにより、

<クロコディアのメイガス>

としての彼女の生が始まったのである。

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