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第四世代

玲編 ただの怠慢

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日常的に『考えるな、感じろ』で済むのは、それこそ野生で生きる場合だけだと思うぞ。少なくとも人間の社会ではそれはただの<怠慢>だ。自分が考えるべきことを他者に丸投げして楽をしたいってだけのな。

俺達の今の生活を守るためにも、『考える』ことはやめるわけにはいかないんだよ。今までだって、考えて考えて<最善手>を求めてひたすら考えてきたから今があるんだしな。

考えなくていいのは、それこそ『生きるか死ぬか』の瞬間だけだと思う。考えてちゃ間に合わないし。

だからこそ事前に考えて対応策を練るんだ。あらゆることを想定して。

自分が安全に暮らせてるのは、結局、どこかの誰かが安全に暮らせるように考えてくれてるからってのを忘れちゃいけないだろう。

まあ俺達の場合は、その多くをAIに頼ってるが。とは言え、人間の脳だけじゃ足りない部分をAIが補ってくれてるだけで、何もかも丸投げしてるわけじゃないし、AIが提示してくれた<案>が自分達にとってどうなのか?ってのは結局のところ人間自身が考えなきゃいけないんだよ。

どう足掻いても、『何も考えずに生きていく』ことはできないんだ。まどかひなたにも、それは分かってもらわないといけないと思ってる。さりとて、確かにいちいち考えなきゃいけないのは大変だ。

だからこそ<ルール>ってものが必要になってくるわけで。地球人の中には、

『ルールを破ることこそが<自由>だ!』

とか思ってるのも少なからずいたが、それは根本的に間違ってると俺は思う。

『ルールに縛られない』

ってのと、

『ルールを疎かにする』

ってのはまったく違うんだ。そもそも、

『ルールを守る』

というのは、自身とそして周りの人間の命や安全を守るためにすることだからな? そこを間違えちゃいけない。ルールを疎かにしてる奴がいればそれだけ危険が増える。自分の勝手で周りの人間を危険に曝してて、それが本当に自分のためになると思うのか? 

『ルールに縛られない俺、カッコイー!』

なんて自己満足のために、同じように考えてる奴らに持て囃されたいがために、まったく無関係な人間を危険に曝すのが、本当に、

<カッコイイこと>

なのか?

どこかの誰かが、

『危ないからやめとけ。ルールを守れ』

と言われてる行いをやっててそれで俺の家族が巻き込まれでもしたら、俺はそいつを許さないぞ? 『ルールに縛られない俺、カッコイー!』とか思うんなら、自分がやらかしたことの報いについても、

<ルールに則らないそれ>

でいいってことになるんじゃないのか?

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