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第三世代

ビアンカ編 エピローグ

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「ごめんね、素戔嗚すさのお。今日は相手して上げられなくて」

陣痛が始まって出産の準備に入ったビアンカは、ドーベルマンMPMが掲げたタブレット越しに素戔嗚すさのおにそう詫びた。

「? ?」

タブレットというものが理解できない素戔嗚すさのおは、ひどく小さな<板>の中にビアンカがいるのが不思議らしくて、何度もその中のビアンカに触れようとして、でも触れられなくて、困惑していたようだった。

まあ無理もないさ。

で、翌日は、それこそ出産の真っ最中だったにも拘らず、ビアンカは、

「ごめん…素戔嗚すさのお……ごめんね……」

息も絶え絶えの様子で、タブレット越しにまた詫びてくれた。

「く~ん、く~ん……!」

普通じゃないビアンカの様子に、素戔嗚すさのおは軽くパニックになってしまったようだ。ビアンカに触れたいのに触れられないジレンマに苛立って、

「ぐあっ!」

タブレットをはたき落としてしまった。なのに、そうしてしまってから慌ててタブレットを拾い上げて、おろおろとドーベルマンMPMに向かって差し出す。

幸い、下は草が生えていたところだったからか画面も割れず、故障もなく、そのままビアンカの姿も映っていて、

素戔嗚すさのお、私のことを心配してくれたんだね……」

と、ビアンカが。おろおろする素戔嗚すさのおの様子が、別のタブレットに映し出されていたんだ。それを見て、な。



さらに翌日も、当然、ビアンカはタブレット越しで素戔嗚すさのおを見守ることになった。でもさすがに素戔嗚すさのおの方も慣れてきたらしく、

「く~ん……」

少し寂しそうにはしつつ、おとなしく(?)ドーベルマンMPMと力比べを始めた。

そうして一週間後、念の為に休養したものの、地球人よりも高い回復力を持つアラニーズである彼女はほぼ完全に復調し、黎明れいあを抱いて再び素戔嗚すさのおの前に立った。

この時の素戔嗚すさのおの嬉しそうなこと。ぴょんぴょんと跳ね回ったと思ったらビアンカの脚に抱きついて、ゆさゆさと揺すっていた。そんな姿が可愛かったらしく、ビアンカも満面の笑顔だ。

それからようやく、

黎明れいあだよ。私の赤ちゃん」

彼に黎明れいあを紹介する。もちろん、興奮した素戔嗚すさのおが思わぬ行動に出ても対処できるようにドーベルマンMPMをすぐ傍に配しつつ、ビアンカも気を付けつつだったが。

けれど素戔嗚すさのおは、赤ん坊に対しては敵意を向けなかった。自分の仲間の子だというのは理解できているようだ。興味深そうにマジマジと見ていただけだ。

こうして黎明れいあ素戔嗚すさのおも対面を済ませて、心置きなくドーベルマンMPMとの力比べを再開する。

そしてさらに三日後には、黎明れいあ久利生くりうに任せて、ようやく、ビアンカが直接、素戔嗚すさのおの相手をしてやれるようになった。

その時の素戔嗚すさのおの嬉しそうなこと。

もうすっかり、彼も<ビアンカの息子>になっていたな。





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