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第三世代

閑話休題 「退屈な記録映画」

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物語ってヤツは、エンターテイメント性に重点を置くか、それともメッセージ性に重点を置くかで、まったく別のものになってしまうんだろうと、創作にはあまり詳しくない俺でも分かる。

俺がここに遭難してからの話でも、俺がハーレムを作り上げるまでと、そのハーレムを起点にここに<社会>を作り上げるまでの話じゃ、おそらくジャンルそのものさえ違ってしまうぐらい別のものなんだろう。

ハーレムを作り上げるまでは<冒険譚>に近いものかもしれないが、それ以降は、まあある意味では<日常もの>みたいなものだろうしな。時々、物騒な厄介事が起こるだけの。

ただ、全体としては、俺にとっては、一応、ここで生きている記録としての<日記>みたいなものだからな。他人が読んで面白いかどうかは、それはもう受け手次第だ。俺の関知するところじゃない。

これの結末は、俺が死ぬところで終わるだろう。その前に、俺が俺でなくなってしまうようなことがなければだが。ひそかが認知症になってしまったみたいにな。

ヒロインが認知症になった挙句に死んでいく物語なんて、まああんまり需要もないだろうな。

いや、そういう物語もあるにはあるんだろうが、冒険譚と思って読み始めた読者とかにとっては、意味が分からないとは俺も思う。最初からただの<記録>だと認識されてたら、また印象は違うかもしれないが。

とは言え、受け手がどう解釈するかは、それは受け手の自由だ。俺がとやかく言うことじゃない。



なんてことを思ったのは、コーネリアス号のアーカイブに残されていた<記録映画>を見たからだ。

それは、ある惑星を、人間が居住可能なまでに作り替えていく一部始終を編集、映画的に仕立て上げたものなんだが、とにかく退屈でな。惑星をテラフォーミングしていく過程を淡々と紹介していくだけのものだったから、<山場>みたいなものがなくて。まあ、いわゆる<記録映画>にはありがちな、ただ情報が羅列されてるだけのものだった。

俺は別にそれを悪いとは思わない。それはそういうものだと思うから。しかしこれを<エンターテイメント>として捉えようとする人間には、もはや苦痛ですらあるのかもしれない。

だが、そのこと自体も悪いとは俺は言わない。見たものをどう感じるかは、当人だけのものだ。ただ、自分が感じたものを<感想>として他人と共有することを目的に発信すれば、その感想に対して<感想>が付くことは覚悟しなきゃとも思うんだ。

自分だけが一方的に好き勝手言えるってのは、筋が通らない。

これも、ここじゃちゃんとわきまえられるようにしていきたいな。

できるかどうかは別として、努力はしていきたい。

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