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第三世代

モニカとハートマン編 これからも

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俺は別にここに<ディストピア>を作るつもりはない。単純に、『生まれてきて良かった』と思えるような世界を作りたいだけだ。

それが実際には夢物語に過ぎなくても、努力はしたい。自分じゃロクに努力もしないクセに、

『こんな世界はクソだ!』

とか難癖を付けるような人間ではいたくないしな。

それに、モニカもハートマンも、頑張ってくれてるよ。

ベッドの上で体を起こすことができるようになったルコアに、

「お食事をお持ちしました」

と、モニカが穏やかに声を掛けてくれる。ルコアも、そんなモニカにホッとしているのが分かる。これでいいんだ。こういう関係でいいんだよ。

そして、ルコアやビアンカを守るために、二人の安寧を脅かす存在へのカウンターとして、<監視>も行ってくれているだけだ。

だからハートマンも、黙々とビクキアテグ村の周囲の哨戒を行う。

自分が牙斬がざんを制圧できたことを驕るでもなく、な。

ルコアとビアンカと、その二人を守るために自分の役目を果たそうとするモニカとハートマン。

これこそが、<答>なんだと思う。

「ご苦労様、ハートマン」

そんなハートマンに、あかりが声を掛ける。

「ありがとうございます。あかり様」

エレクシアのように、

『いえ、これが私の役目ですから』

的な冷淡なそれではない返事をするハートマンに、あかりも「ニッ♡」と笑顔を浮かべた。

「私の代わりにみんなを守ってくれてありがとう」

肝心な時に村にいなかった自分を悔やみつつ、あかりはハートマンを労った。彼女はそういうことができる子だ。自慢の娘だよ。

するとハートマンも、

「ですが、私の力不足でルコア様が怪我を……これについては大いに反省しなければと思っています。私はデータを蓄積し、より高度な戦術をこなせるようにならなければと考えるのです」

本当に人間のような返答を。これに対しては、あかりは、

「真面目だなあ、ハートマンは。でも、ま、そこがハートマンらしいけどさ」

笑顔を見せた。

ロボットはあくまで<道具>だ。だが、エレクシアにもいわれたとおり、ロボットのことを『単なる道具』と口にしながらも、完全には割り切れないのも人間というものだと思う。

そういう関係性も含め、俺はこれからもモニカやハートマンの<成長>も見守っていきたいと思うんだ。



こうして一つの<試練>を乗り越えて、ビクキアテグ村に平穏が戻った。

自身の軽率な行動でルコアが傷付くことになった未来みらいも、彼女が回復したことで以前のようなやんちゃ振りを見せるようになってくれた。反省することは大事だが、かといって萎縮してしまっては、ここでは生きていけない。

経験は踏まえつつ、それを活かしてより的確な行動をできるようになる。

これができれば、今回のことも<いい経験>にしていけるさ。

まあ、活かせなければ、<いい経験>どころかただの<悪夢>に過ぎないが。

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