1,185 / 2,387
第三世代
モニカとハートマン編 第一種警戒態勢
しおりを挟む
「ビアンカ、第一種警戒態勢!」
白いルプシアンの動きを見た久利生の判断は早かった。ビアンカも、すぐさま対処する。倉庫として使っている建物に入り、装備を身に付けたんだ。
僅か一分で再び現れた彼女の姿は、現時点で運用可能な武装のすべて、ボディアーマー一体型で胸の左右に設けられたホルスターに拳銃、両肩にナイフ、アラニーズとしての胴体にもコーネリアス号に装備されていた防弾防刃服をしつらえ直した物をまとってそこに自動小銃四丁とライフル二丁及び予備弾倉に加えて対人手榴弾十個を搭載、さらには、六本の足それぞれに彼女専用に仕立てられた杭を装着した、まさに、
<全身これ殺意の塊、ワンマンアーミー、フルアームド・ビアンカⅡ>
といった風情だった。こういう時のためにあらかじめ準備していたんだ。
ビアンカも久利生も、決して好戦的なタイプじゃない。でも、れっきとした職業軍人だった二人は、『危機に備える』ことを軽んじたりもしない。
ビクキアテグ村の開発の傍ら、しっかりと<防衛体制>も整えていたんだよ。白いルプシアンが確認された時点で、第二種警戒態勢に入っていたし。
久利生は、ビアンカに指示すると同時に、ハートマンとグレイにも、
「全周警戒! ハートマンはポイントN0004、グレイはポイントN0006にて<D>の指揮を取れ!」
と指示を出したので、俺が、
「久利生の提案を承認! 指示に従え!」
と改めて<命令>を出す。すると、
「了解!」
声を揃えて応えたハートマンとグレイがすぐさま村の外へと走り出た。ちなみに久利生が口にした<D>というのは、ドーベルマンMPMのことだ。それらを自らの目や耳や手足として使い、村の周囲を覆う形で警戒に当る。
だが、この時、すでに、白いルプシアンがさっきまでいた場所との間にあった<ダミー集落N006>を受け持っていたドーベルマンMPMが機能停止したとの通知が届いていた。
「速いな。真っ直ぐこちらに向かっている…!」
久利生が緊張した様子で呟く。すると俺の後ろで、
「ちくしょう…! 私がいない時に……!」
悔しそうな声。
灯だった。そうだ。灯は、いずれこういうことになるかもしれないと思ったから、今のうちに俺達のところに顔を出しておこうと思ったんだ。
だけど俺は、思い付いていた。
「灯、むしろお手柄だと思う。これで、ミレニアムファルコン号でエレクシアを応援に派遣できるじゃないか」
「あ……!」
灯の険しい表情が一気にほころぶ。
そうだ。白いルプシアンがたとえ龍然並みの強さを持っていたとしても、エレクシアがいれば容易くちゃぶ台返しができる。
「エレクシア! 応援に向かえ!」
「承知しました」
留守をイレーネに任せ、エレクシアはすぐさま準備をしたのだった。
白いルプシアンの動きを見た久利生の判断は早かった。ビアンカも、すぐさま対処する。倉庫として使っている建物に入り、装備を身に付けたんだ。
僅か一分で再び現れた彼女の姿は、現時点で運用可能な武装のすべて、ボディアーマー一体型で胸の左右に設けられたホルスターに拳銃、両肩にナイフ、アラニーズとしての胴体にもコーネリアス号に装備されていた防弾防刃服をしつらえ直した物をまとってそこに自動小銃四丁とライフル二丁及び予備弾倉に加えて対人手榴弾十個を搭載、さらには、六本の足それぞれに彼女専用に仕立てられた杭を装着した、まさに、
<全身これ殺意の塊、ワンマンアーミー、フルアームド・ビアンカⅡ>
といった風情だった。こういう時のためにあらかじめ準備していたんだ。
ビアンカも久利生も、決して好戦的なタイプじゃない。でも、れっきとした職業軍人だった二人は、『危機に備える』ことを軽んじたりもしない。
ビクキアテグ村の開発の傍ら、しっかりと<防衛体制>も整えていたんだよ。白いルプシアンが確認された時点で、第二種警戒態勢に入っていたし。
久利生は、ビアンカに指示すると同時に、ハートマンとグレイにも、
「全周警戒! ハートマンはポイントN0004、グレイはポイントN0006にて<D>の指揮を取れ!」
と指示を出したので、俺が、
「久利生の提案を承認! 指示に従え!」
と改めて<命令>を出す。すると、
「了解!」
声を揃えて応えたハートマンとグレイがすぐさま村の外へと走り出た。ちなみに久利生が口にした<D>というのは、ドーベルマンMPMのことだ。それらを自らの目や耳や手足として使い、村の周囲を覆う形で警戒に当る。
だが、この時、すでに、白いルプシアンがさっきまでいた場所との間にあった<ダミー集落N006>を受け持っていたドーベルマンMPMが機能停止したとの通知が届いていた。
「速いな。真っ直ぐこちらに向かっている…!」
久利生が緊張した様子で呟く。すると俺の後ろで、
「ちくしょう…! 私がいない時に……!」
悔しそうな声。
灯だった。そうだ。灯は、いずれこういうことになるかもしれないと思ったから、今のうちに俺達のところに顔を出しておこうと思ったんだ。
だけど俺は、思い付いていた。
「灯、むしろお手柄だと思う。これで、ミレニアムファルコン号でエレクシアを応援に派遣できるじゃないか」
「あ……!」
灯の険しい表情が一気にほころぶ。
そうだ。白いルプシアンがたとえ龍然並みの強さを持っていたとしても、エレクシアがいれば容易くちゃぶ台返しができる。
「エレクシア! 応援に向かえ!」
「承知しました」
留守をイレーネに任せ、エレクシアはすぐさま準備をしたのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
163
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる