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第三世代

モニカとハートマン編 ファンタジー的な発想

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レオンのりんの子であるあんは、日中は基本的にコーネリアス号の陰で休んでいることが多い。そして夕暮れになると活動を開始して、狩りなどに出たりするわけだ。

とはいえ、昼間はずっと寝ているかと言えばさすがにそうでもない。寝てるようにも見えつつ、野生であるがゆえに常に危険に曝されているのも事実なので、警戒は怠らない。特に取り決めはしてないはずだが、常に誰かが起きていて、周囲を窺ってたりするんだ。交代で。

するとちょうど、あんが起きていた。

でも、ルコアの姿を見た途端に、その体に緊張が奔るのが分かった。

ルコアを見付けた時は特に攻撃とかを仕掛けなかったあんだが、だからと言って彼女を仲間だと思ってるとかそういうのではないのは確かだろう。

となれば、野生の動物としてはごく自然な反応だと思う。

そして、ドーベルマンDK-a号機が、あんを守るように立ちはだかる。

もちろんこれは、<パフォーマンス>のようなものだ。号機は<あんの味方>なので、あんからの信頼を損ねないようにそういう動きをするだけで、モニカやハートマンとは、通信でやり取りして状況は完全に伝わっている。

加えて、あんが警戒していることを示す目的もあるな。

「これ以上は近付かない方がいいですね。あんが怯えてしまいます」

モニカがルコアに告げる。

「そう……なの…?」

ルコアとしては自分を見付けてくれたあんにお礼を言って仲良くなりたかったようだ。この辺りは、いかにも、

<人間の子供っぽいファンタジー的な発想>

なんだろう。俺としてはそれをとやかく言うつもりはない。

ただ、シビアな野生動物は、当然、そんな人間のファンタジーを理解してはくれない。となれば、この反応は当たり前ではある。

だから、

「ルコア様。挨拶ならここからでもできますし、今日のところは」

モニカのその言葉にルコアも納得するしかなくて、

「あ…あの、あの時は私を見付けてくれてありがとう……!」

精一杯の謝礼の言葉と共に、深々と頭を下げた。

もちろん、あんにはその意図は伝わらなかっただろう。だけどそれでも、ルコアに敵意がないことは伝わったらしく、それ以上、警戒はしてこなかった。仲間に危険を伝える声を上げなかったのがその証拠と言えると思う。

ルコアにとっては必ずしも満足のいく結果じゃなかったかもしれない。けれど、この世というのは何でも自分の思い通りに行くものじゃないのもいうのも事実。ルコア自身がサーペンティアンとしてこの世界に生れ落ちたこともそうだし、彼女が頭の中で思い描いていたであろう、

あんにお礼を言って友達になる』

というのも上手くはいかなかったこともそうだ。でも、だからこそ、

「ルコア様。あん様は敵意を向けていませんでした。野生に生きるあん様にとってはそれが友好の証なのです」

モニカの丁寧な接し方がそのストレスを和らげてくれるんだ。

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