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第三世代

按編 遭遇

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あんの妹と弟であるほうろうは、それぞれ実に<普通のレオン>だった。成長も順調で、活発だ。雌であるほうはこのまま群れに残るとしても、ろうは、遠からず巣立つだろう。

と同時に、他にも気になる変化がある。

そうと、そうの二人目のパートナーとの子であるひょうが、最近、ほうと仲がいいんだ。いや、そうかいの群れの子供達とは元々仲が良かったし、これまでにも何となく『もしかしたら』って思える組み合わせは何度かあったものの、その辺りは子供だったから成長と共に考え方感じ方も変わるだろうし、その上で現時点では、ひょうほうが親密な気がする。

まあ、血縁上は<従兄妹>だから当人達がそれでいいなら別にいいだろう。俺としてはやはり見守るだけだ。

で、散歩していたあんの視界に、草むらでお互いの体を舐めあうほうひょうの姿が捉えられているのが分かった。

しかし、そうやって自分の妹が雄と仲良くしててもあんはまったく気にしない。

ドーベルマンDK-a号機を伴い、ウロウロと歩き続ける。

と、その時、

「!?」

あんがビクッと体を竦ませた。何かを感じ取ったらしい。

同時に、号機も警戒態勢に入る。スタン弾を込めた自動小銃を、月明かりの下で闇を作り出している草むらに向ける。カメラを赤外線映像に切り替えると、潜んでいる者の姿がはっきりと捉えられた。

ヒト蛇ラミア……っ!?」

思わず声が出ると、俺の隣でデータの整理をしていたシモーヌもタブレットを見た。

「確かにヒト蛇ラミアに、見える…けど……?」

やや緊張しながら彼女も俺の見たものを<ヒト蛇ラミア>と称してくれる。

<ラミア>

女性の上半身に蛇の胴体が繋がっているとされる、伝説上の存在。しかし俺達にとってのそれは、<みずち>と名付けた個体のことだった。コーネリアス号の乗員の一人である<クラレス・トリスティア>の姿を持ち、その後は怪物化が進んでもはやクラレスの面影はすっかり失くし、イレーネによって駆逐された、<草原に咲いた徒花>。

「まさか…みずちの子か……?」

思わずそんなことを口にしてしまうが、みずちが生きていたのはもう二十年も前の話だ。その時にもし子を宿していて生んだのだとしても、それが今さら見付かるか? 母艦ドローンらによる監視網を潜り抜けて。

だとすれば、

「あの不定形生物が変化した、新しい個体、かも……」

シモーヌが生物の専門家として冷静に応えてくれる。

そうだ。あの不定形生物が生息する河などへの落雷なんて、この台地の上だけでも年間で相当な数が起こっていると見られている。だとすれば、みずちとは関係なく生まれた個体だと考えるのがむしろ自然か。

赤外線映像なので、透明かどうかも分からない。加えて、クラレスの姿をしていたみずちとは違い、シモーヌにとってもまったく見覚えのない姿だそうだ。

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