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第三世代

按編 ラミア

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みずちはクラレスの姿をしていたし、それ以前にも、シモーヌの姿をした<グンタイ竜グンタイの女王>などもいて、さらにはビアンカの例からすると、コーネリアス号の乗員の遺伝子が顕在化することもあるものの、他にもここの<獣人>達も捕食というか同化というか吸収というかして取り込んでいるのは確認されているから、そちらがベースになる可能性ももちろん十分に考えられる。

となると、今回のそれは<獣人ベースの個体>ということだろうか。

ただ、赤外線映像では透明かどうかが分からない。だから、

「カメラを通常モードに切り替え、感度を上げてくれ」

と指示を出す。

すると、月明かりの下でもまるで昼間のような映像になった。そして草むらに潜む、透明な体を持つ<ヒト蛇ラミア>の姿がはっきりと確認できる。人間部分のパッと見の印象は、十一~十二歳くらいの少女、か。

「やっぱり……」

シモーヌが呟く。

しかし、そのヒト蛇ラミアは、いきなり襲い掛かってくるような気配はなかった。みずちは異常なほどの攻撃性を見せて、獲物と見れば容赦なく襲い掛かってきたというのに。

「腹は、減ってないのか?」

などと思ってしまうものの、草むらの中からあん号機に向けられた視線は……

「怯え……か?」

そうだ。みずちの場合は、たとえ死の直前になっても決して見せることのなかった<怖がってる表情>を、そのヒト蛇ラミアはしていたんだ。

そこからは強い攻撃性や敵意は見えない。

<見知らぬ場所に一人で放り出されて不安で仕方ない少女>

としか思えない表情で、あん号機を見ていた。

おそらく、だからあんもすぐには気付かなかったんだ。敵意や害意を向けられていないから。

しばらくその状態で見詰め合った後、あんがすっとヒト蛇ラミアの方に一歩踏み出した。

と同時に、ヒト蛇ラミアの方はスッと下がる。完全にあんが優位だ。

号機を恐れないあんにとっては、敵意や害意を向けてこない相手はそれほど恐れる対象でもないのかもしれない。

けれどさすがにそれ以上は近付くことはなかった。自分にとって危険かどうかを確かめただけなのかもな。

そうしてふいと視線を逸らして、ヒト蛇ラミアがいた草むらからは離れるように歩き出す。号機もそれに続く。

その時も、ヒト蛇ラミアはビクッと体を緊張させた。

姿こそ似ているものの、その気性はみずちとはまるっきり正反対といった感じだ。

「今すぐ危険がある感じじゃないが、だからって放っておいていいとも思えないし、しばらく監視を続けよう」

「そうね。それがいいと思う」



そんなわけで新しく現れたヒト蛇ラミアの監視もすることにしたんだが、これが本当に、

ヒト蛇ラミアの姿をしているただの子供>

という感じで、自分では獲物を捕らえることもできなかったのだった。

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