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第三世代

晴編 かっこいい父親

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かくせいを助ける形になったのは、たぶん『まだ巣立ってなかった』からだろう。完全に巣立ちを迎えられるようになるまでは<我が子>として守るということなんだろうな。

祖父である俺じゃなく、父親であるかくがそれをしてくれたことで、俺は本当にホッとしていた。紛れもないマンティアンであるかくがそうしたのなら、マンティアンとしても当然の対処だったわけだし。

そんな理屈は別にしても、せいが助かったことは素直に喜びたい。

ありがとう、かく

厳しくも懐の深さを見せる彼に、<かっこいい父親>の姿を見た気がするよ。

とは言え、それをそのまま人間に当てはめるとおかしなことになるんだろうけどな。マンティアンはマンティアン、人間は人間だ。混同しちゃいけない。

いけないんだが、うん、やっぱり『かっこいい』と思ってしまうのも正直なところではある。



一方、まだまだ未熟であることを思い知らされる形になったせいは、だからといって腐るでもなく、やはり淡々と毎日を過ごしていた。未熟であるなら、経験を積めばいい。今回のことも経験として今後に活かせばいい。

かんの子と闘ったことも、メイフェアやイレーネと闘ったことも、しっかり活かしてきたせいなら、きっと大丈夫だと思う。

怠惰に時間を過ごしそれで駄目だったら悔いも残るだろうが、その心配もなさそうだ。

俺がこれまでここで見てきた多くの命も、それぞれ、自分にできることを精一杯やってきたと思う。中には悔いの残る結果だったものもあるとしても、決して怠惰だったわけじゃない。

それは、きょうみずちがくにも当てはまると思う。あいつらはあいつらなりに精一杯生きた。生き残りをかけた戦いに敗れ命は落としたものの、俺達とは相容れない存在だったとしても、あいつらの命が無駄だったとは俺は思わない。この惑星での生き方を、あいつらも教えてくれたと思うんだ。あの不定形生物と、それが生み出す生き物との付き合い方をな。



せいが完全に巣立つのは、そう遠くないことだとは思うものの、かと言ってそんなにすぐのことでもないと思う。毎日が、巣立ちに向けた<修行の日々>だな。

祖父として、心配ではあるものの孫を信じたい。

兄であるえいとは別の生き方を選んだせい

どちらが正しいとか、どちらが間違ってるとかじゃない。それぞれが自分でそれを選択したのなら、俺はどちらも『正しい』んだと思うんだ。

祖父として俺ができるのは、そんな孫達を見守ること。

これからも、つい、助け舟を出してしまうこともあるかもしれないが、それ込みで<俺という人間>だろう。

こうやって俺自身、子供達、孫達、曾孫達から多くのことを教わるんだ。

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