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新世代
來編 ヤっちゃえヤっちゃえ!!
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人間(地球人)はついつい、
『結婚こそがゴール』
と思ってしまいがちな生き物らしい。
だが、俺は知ってる。
結婚はあくまで、
<新しい人間関係のスタートライン>
だということを。
だから、
『結婚さえしてしまえばこっちのものだ』
的に猫を被っていて、それで結婚したからといって油断して本性を曝け出すと、
『そんな人だとは思わなかった!』
みたいな話になるんだろうな。
俺はそれが嫌だから、そもそも猫を被るようなことはしなかった。人間社会にいた時もだ。
それでも、
『思ってたのと違った』
異口同音にそんなことを言われてフられるのがいつものパターンだったよ。
意図的に自分を粉飾してなくてもそれなんだから、思いっきり粉飾してたりしたら、そりゃ、
『騙された!』
と相手も思うだろう。男女問わず。
その点では、灯も來も、これまでと同じく素のままだった。そしてビアンカも、決して自分を粉飾して上辺だけいいように見せるタイプの人間じゃなかった。
それは、久利生もだ。
彼は素のままそのままで<イケメン>なんだ。弱いところもありつつも、そういう自分とちゃんと向き合えるし、素のままのビアンカを愛してくれる。見せ掛けだけの<いい人>じゃない。
これが、上辺だけ女性に優しいフリをしているだけの男なら、俺は灯を任せなかったし、來はこんなに惹かれなかっただろう。それと同じで、ビアンカも<素の久利生>を知った上で愛している。
決して彼の見た目だけに惹かれているわけじゃないのは、俺にも分かる。
だからビアンカ、容赦なく襲え! ビアンカの方から久利生を『食って』しまえ!
性的に。
と言えたらどんなにか簡単か。
が、男の俺がそれを言うのはいろいろアレだろうが、灯が言ってるのも結局はそうなんだよな。
『遠慮なんか要らないよ! ヤっちゃえヤっちゃえ!!』
ってことなんだ。
上辺だけの付き合いじゃないから、灯がそう言いたいんだってことも分かってしまうんだろう。
ぐるぐるとビアンカの頭の中で様々な感情や気持ちや葛藤が渦巻いているのが見えるようだったと、後に灯はこの時のビアンカを評した。
そしてたっぷり、三十分ほど思い悩んだ果てに、
「……イオ方面軍第六十六空間騎兵隊所属、ビアンカ・ラッセ! 行きます……っ!」
さすがは軍人。時間は掛かったが決断する時は決断するんだな。
そうして家に戻ると、來が椅子に座った久利生に向き合うように抱きつき、まさに彼を襲おうとしているところだった。
「!?」
ビアンカは、一瞬、それに怯んだが、すかさず灯が、
「來、來! ごめんだけどビアンカが先だから。もうちょっと待っててね」
体格的には自分より一回り以上大きい來を後ろから抱え上げて、そのまま家の外へと連れ出し、ビアンカと久利生を二人きりにしたのだった。
『結婚こそがゴール』
と思ってしまいがちな生き物らしい。
だが、俺は知ってる。
結婚はあくまで、
<新しい人間関係のスタートライン>
だということを。
だから、
『結婚さえしてしまえばこっちのものだ』
的に猫を被っていて、それで結婚したからといって油断して本性を曝け出すと、
『そんな人だとは思わなかった!』
みたいな話になるんだろうな。
俺はそれが嫌だから、そもそも猫を被るようなことはしなかった。人間社会にいた時もだ。
それでも、
『思ってたのと違った』
異口同音にそんなことを言われてフられるのがいつものパターンだったよ。
意図的に自分を粉飾してなくてもそれなんだから、思いっきり粉飾してたりしたら、そりゃ、
『騙された!』
と相手も思うだろう。男女問わず。
その点では、灯も來も、これまでと同じく素のままだった。そしてビアンカも、決して自分を粉飾して上辺だけいいように見せるタイプの人間じゃなかった。
それは、久利生もだ。
彼は素のままそのままで<イケメン>なんだ。弱いところもありつつも、そういう自分とちゃんと向き合えるし、素のままのビアンカを愛してくれる。見せ掛けだけの<いい人>じゃない。
これが、上辺だけ女性に優しいフリをしているだけの男なら、俺は灯を任せなかったし、來はこんなに惹かれなかっただろう。それと同じで、ビアンカも<素の久利生>を知った上で愛している。
決して彼の見た目だけに惹かれているわけじゃないのは、俺にも分かる。
だからビアンカ、容赦なく襲え! ビアンカの方から久利生を『食って』しまえ!
性的に。
と言えたらどんなにか簡単か。
が、男の俺がそれを言うのはいろいろアレだろうが、灯が言ってるのも結局はそうなんだよな。
『遠慮なんか要らないよ! ヤっちゃえヤっちゃえ!!』
ってことなんだ。
上辺だけの付き合いじゃないから、灯がそう言いたいんだってことも分かってしまうんだろう。
ぐるぐるとビアンカの頭の中で様々な感情や気持ちや葛藤が渦巻いているのが見えるようだったと、後に灯はこの時のビアンカを評した。
そしてたっぷり、三十分ほど思い悩んだ果てに、
「……イオ方面軍第六十六空間騎兵隊所属、ビアンカ・ラッセ! 行きます……っ!」
さすがは軍人。時間は掛かったが決断する時は決断するんだな。
そうして家に戻ると、來が椅子に座った久利生に向き合うように抱きつき、まさに彼を襲おうとしているところだった。
「!?」
ビアンカは、一瞬、それに怯んだが、すかさず灯が、
「來、來! ごめんだけどビアンカが先だから。もうちょっと待っててね」
体格的には自分より一回り以上大きい來を後ろから抱え上げて、そのまま家の外へと連れ出し、ビアンカと久利生を二人きりにしたのだった。
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