911 / 2,387
新世代
來編 襲撃
しおりを挟む
とまあ、ここまでが取り敢えず、灯とビアンカから聞いた話を再構成したものだ。
で、來を外に連れ出した灯は、
「ウルルルルルッ!」
いいところを邪魔されて怒ってる來を、
「ごめんごめん。でも、大丈夫だよ。順番なだけだから。來もちゃんと相手してもらうから…!」
そうなだめる。
もっとも、そんなことを言われたところで來としても納得はできないだろう。できないだろうが、
「それに、今はそれどころじゃないと思うよ……」
灯がギリッと強い気配を放ちつつ、視線を逸らした。
「…!」
來もつられてそちらに視線を向けると、闇の中にいくつもの小さな光。
オオカミ竜の目だ。それも、川岸のすぐ傍まで来ている。
それらの様子を、モニカとハートマンが捉えていた。
ドーベルマンMPMも従えて。
灯とビアンカが家に戻ったことで一気に距離を詰めてきたんだろう。
<襲撃>するために。
「ビアンカがせっかく決心できたんだ。野暮な真似はやめてもらいたいねえ……!
と言っても、通じないか……」
灯のその言葉が通じないのは、オオカミ竜だけじゃなかった。來も、オオカミ竜目掛けて猛然と突撃する。
水深は膝までくらいしかない川を一瞬で突っ切って、來はオオカミ竜の群れへと突っ込んだ。
たぶん、普段ならこんな無茶はしないだろう。普通に考えれば多勢に無勢だ。
これはまあ、アレだな。
<八つ当たり>
だな。
自分が見初めた雄とのいいところを邪魔された鬱憤をぶつける<格好の相手>を見付けたということか。
さりとて、來だけに任せるわけにもいかない。
「ハートマン! 自動小銃を!!」
声を上げて手を差し出した灯に、ハートマンが装備していた自動小銃の予備を投げて寄越した。オオカミ竜の群れが接近していたから、準備してあったんだ。
それをキャッチした灯は、決して大きくはないと言っても幅数メートルはある川を、ほとんど助走もなしで飛び越えてみせた。
着地と同時に銃のセーフティを解除し、空中に向かって「パパパッ!」と数発放つ。威嚇のためだ。その上で、
「そっちも生きるためだろうけど、襲ってくるなら容赦はしないよ!! 痛い目を見るくらいは覚悟してもらうからね!!」
声を叩きつけるようにして吼えた。
しかし、オオカミ竜の方も怯まない。威嚇発砲も、開けたところでのものだったからか、あまり迫力がなく、一瞬、ビクッとさせることはできたものの、効果も低かったようだ。
また、装填されているのはスタン弾だが、さりとて当たり所が悪ければオオカミ竜でさえ命を落とすこともあるものだった。
それを、向かってくるオオカミ竜に対して水平射し、打ちのめす。
「ギャン!」
「ギャヒッッ!!」
オオカミ竜の悲鳴が響く中、灯と共にモニカとハートマン及びドーベルマンMPM、さらにグレイも並び、一斉射したのだった。
で、來を外に連れ出した灯は、
「ウルルルルルッ!」
いいところを邪魔されて怒ってる來を、
「ごめんごめん。でも、大丈夫だよ。順番なだけだから。來もちゃんと相手してもらうから…!」
そうなだめる。
もっとも、そんなことを言われたところで來としても納得はできないだろう。できないだろうが、
「それに、今はそれどころじゃないと思うよ……」
灯がギリッと強い気配を放ちつつ、視線を逸らした。
「…!」
來もつられてそちらに視線を向けると、闇の中にいくつもの小さな光。
オオカミ竜の目だ。それも、川岸のすぐ傍まで来ている。
それらの様子を、モニカとハートマンが捉えていた。
ドーベルマンMPMも従えて。
灯とビアンカが家に戻ったことで一気に距離を詰めてきたんだろう。
<襲撃>するために。
「ビアンカがせっかく決心できたんだ。野暮な真似はやめてもらいたいねえ……!
と言っても、通じないか……」
灯のその言葉が通じないのは、オオカミ竜だけじゃなかった。來も、オオカミ竜目掛けて猛然と突撃する。
水深は膝までくらいしかない川を一瞬で突っ切って、來はオオカミ竜の群れへと突っ込んだ。
たぶん、普段ならこんな無茶はしないだろう。普通に考えれば多勢に無勢だ。
これはまあ、アレだな。
<八つ当たり>
だな。
自分が見初めた雄とのいいところを邪魔された鬱憤をぶつける<格好の相手>を見付けたということか。
さりとて、來だけに任せるわけにもいかない。
「ハートマン! 自動小銃を!!」
声を上げて手を差し出した灯に、ハートマンが装備していた自動小銃の予備を投げて寄越した。オオカミ竜の群れが接近していたから、準備してあったんだ。
それをキャッチした灯は、決して大きくはないと言っても幅数メートルはある川を、ほとんど助走もなしで飛び越えてみせた。
着地と同時に銃のセーフティを解除し、空中に向かって「パパパッ!」と数発放つ。威嚇のためだ。その上で、
「そっちも生きるためだろうけど、襲ってくるなら容赦はしないよ!! 痛い目を見るくらいは覚悟してもらうからね!!」
声を叩きつけるようにして吼えた。
しかし、オオカミ竜の方も怯まない。威嚇発砲も、開けたところでのものだったからか、あまり迫力がなく、一瞬、ビクッとさせることはできたものの、効果も低かったようだ。
また、装填されているのはスタン弾だが、さりとて当たり所が悪ければオオカミ竜でさえ命を落とすこともあるものだった。
それを、向かってくるオオカミ竜に対して水平射し、打ちのめす。
「ギャン!」
「ギャヒッッ!!」
オオカミ竜の悲鳴が響く中、灯と共にモニカとハートマン及びドーベルマンMPM、さらにグレイも並び、一斉射したのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
163
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる