894 / 2,387
新世代
來編 アーマードピラルク
しおりを挟む
俺が巣立っていった子供達のことにあまり触れない時は、これまでにも何度も言ってきたが、要するに、
『便りがないのが良い便り』
ってことだな。
ただし、これもたぶん以前にも言ってるが、まったく何もなく平穏無事っていう意味じゃないことも事実だ。
誉達だって、他の群れとの縄張り争いとかで昴が怪我をしたり、誉と命の娘である薫が危うくマンティアンに狩られそうになったりということはあった。
まあそれらは結果的には大きな怪我じゃなかったり無事だったから敢えて触れなかっただけだ。
來達についても要はそういうことだったんだが、クロコディアである來や晃やその子供達は実にタフで、ピンチらしいピンチがほとんどなかった気がする。
無論、まったくなかったわけじゃない。
來の子の一人がまだ幼かった頃に、俺が<アーマードピラルク>と呼んでる巨大魚に危うく食べられそうになったりということはあったりもした。
なお、<アーマードピラルク>というのは、読んで字のごとく鎧のような頑強な鱗に覆われた、ピラルクに似た魚で、たぶん、河ではクロコディアに次ぐ強大な<捕食者>だと思う。
地球では<板皮類>と呼ばれる、それこそ<鎧を着た魚>的なのが古代の海を席巻したらしいが、すべて絶滅してるとエレクシアが説明してくれた。
しかしこの惑星では鵺竜と仮称してる<恐竜に似た動物>が実は支配してるらしいのと同じく、板皮類的な魚も繁栄してるようだ。
河に住むそれはこれまで確認されてる最大のものでも三メートル程度で、通常は精々二メートル程度なんだが、もしかしたら<海>にはそれこそ五メートルとか六メートルとかのサイズのそれも生息してるかもしれない。
さすがに俺の代ではそこまで調査できないにしても、ここに人類が誕生し勢力を拡大していけばいずれ海にも到達するかもな。
まあその前に、大地を闊歩する鵺竜の生息域を突破する必要があるわけで、それがもう並大抵のことじゃないだろう。
と、また話が脱線したが、とにかく、皆、無事ではあるもののそれぞれに厳しい面もあるようだ。
正直、こちらでは把握できてないだけで、命を落としてる子もいるかもしれない。
まあ、誉の群れについてはメイフェアがついてくれてるから見落としもたぶんないと思うが。
マンティアンに狩られそうになった薫を助けたのもメイフェアだ。彼女がいる限りはそういう意味での心配は要らないと思う。
なんてことを俺が考えてる間にも、灯がまずコーネリアス号に到着した。
「よっ!」
今の時間は基本的に休んでる走達も、何らかの気配を感じれば、当然、そちらに意識を向ける。灯はそうして自分を見た走に向かって手を上げて挨拶したのだった。
『便りがないのが良い便り』
ってことだな。
ただし、これもたぶん以前にも言ってるが、まったく何もなく平穏無事っていう意味じゃないことも事実だ。
誉達だって、他の群れとの縄張り争いとかで昴が怪我をしたり、誉と命の娘である薫が危うくマンティアンに狩られそうになったりということはあった。
まあそれらは結果的には大きな怪我じゃなかったり無事だったから敢えて触れなかっただけだ。
來達についても要はそういうことだったんだが、クロコディアである來や晃やその子供達は実にタフで、ピンチらしいピンチがほとんどなかった気がする。
無論、まったくなかったわけじゃない。
來の子の一人がまだ幼かった頃に、俺が<アーマードピラルク>と呼んでる巨大魚に危うく食べられそうになったりということはあったりもした。
なお、<アーマードピラルク>というのは、読んで字のごとく鎧のような頑強な鱗に覆われた、ピラルクに似た魚で、たぶん、河ではクロコディアに次ぐ強大な<捕食者>だと思う。
地球では<板皮類>と呼ばれる、それこそ<鎧を着た魚>的なのが古代の海を席巻したらしいが、すべて絶滅してるとエレクシアが説明してくれた。
しかしこの惑星では鵺竜と仮称してる<恐竜に似た動物>が実は支配してるらしいのと同じく、板皮類的な魚も繁栄してるようだ。
河に住むそれはこれまで確認されてる最大のものでも三メートル程度で、通常は精々二メートル程度なんだが、もしかしたら<海>にはそれこそ五メートルとか六メートルとかのサイズのそれも生息してるかもしれない。
さすがに俺の代ではそこまで調査できないにしても、ここに人類が誕生し勢力を拡大していけばいずれ海にも到達するかもな。
まあその前に、大地を闊歩する鵺竜の生息域を突破する必要があるわけで、それがもう並大抵のことじゃないだろう。
と、また話が脱線したが、とにかく、皆、無事ではあるもののそれぞれに厳しい面もあるようだ。
正直、こちらでは把握できてないだけで、命を落としてる子もいるかもしれない。
まあ、誉の群れについてはメイフェアがついてくれてるから見落としもたぶんないと思うが。
マンティアンに狩られそうになった薫を助けたのもメイフェアだ。彼女がいる限りはそういう意味での心配は要らないと思う。
なんてことを俺が考えてる間にも、灯がまずコーネリアス号に到着した。
「よっ!」
今の時間は基本的に休んでる走達も、何らかの気配を感じれば、当然、そちらに意識を向ける。灯はそうして自分を見た走に向かって手を上げて挨拶したのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
163
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる