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新世代

來編 さらなる高みを

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もちろん、親に愛されてる実感があっても都会に憧れる人間はいるだろうが、その場合、故郷を捨てて逃げ出さなきゃいけないほどのものか?

故郷は故郷として愛しつつも、

『自分の可能性に挑戦したい!』

って感じの、前向きなそれじゃないか?

少なくとも、今の自分に生まれて良かったと思えていれば、何も故郷を捨てて逃げ出す必要もないと思うんだ。

『逃げなきゃいけない』

ということは、それは、

『さらに高みを目指して』

的なそれじゃないよな?

ちなみに、ここでの『さらなる高みを目指す』という話は、まあ、

『親のところから巣立って、自分の力で生きていく』

ってことだろうなあ。

今のあかりがまさにそれだな。

と言っても、俺達と一緒に暮らしてはいても、あの子はもう<自分の力>で生きていた。調査に出ても、セシリアに<弁当>は作ってもらいつつもそれで物足りなかったりした時には自分で獲物を捕らえてその場で食べたりしてたし、簡易な<テント>的なものを自力で作ってそこで休んだりもしていた。

ここで生きるための力を、あかりはもうしっかり身に着けていたんだ。

これは、ひかりも同じである。

別にわざわざ他に寝床を作る必要もなかったからここを住処にしていただけだ。

それが、あかりの場合は、久利生くりうというパートナーを得たことでいよいよ<自分達の生活>を作ることになるというだけのことだな。



で、あかりについてはそれでもういいんだが、問題はきたるの方だよ。

どうも久利生くりうにぞっこんらしくて完全についていくつもりだが、自分の生活拠点だった河から遠く離れることになるのを本当に理解してるんだろうか?

が、これも、実はあまり気にする必要はないらしい。

クロコディアは、基本的には<群れ>で生活しているものの、実は彼女達のそれは、

<互いに助け合うためのコミュニティ>

としてのそれじゃなく、単に、

『その方が外敵に対して有利だから、互いを利用し合ってる』

というタイプのそれらしくて。

まったく、さすがに<合理的>だよ。

だから、あかりが一緒で、しかも久利生くりうの強さも直感として見抜いたことで、何の不安もないようだ。

加えて、クロコディアの強さもあることでアラニーズのビアンカのこともそれほど警戒していない。

水中ならほぼ無敵だし、たとえ陸上でもパルディアに勝るとも劣らない強さがあることに加え、俺の群れで育ったことで、あかりが気を許してる相手なら問題ないと思っているようだ。

この豪胆さもワニ人間クロコディアの特徴の一つだな。

その所為もあって、あたるを含めてこれまで四人の子を生んできたことが確認できているきたるだが、あたるを筆頭に子供達も、俺の気遣いなど余計なお世話だと言わんばかりに力強く生きてるよ。

なお、きたるの弟のあきらとその子供達も同じだ。

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