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新世代

走・凱編 ひととなり

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「いかがでしょうか。ビアンカ」

洗濯機を設置し終えたエレクシアが、ビアンカに問い掛ける。

ビアンカの方は、洗濯機の蓋を開けたり閉めたり中を覗き込んだり手を入れてみたりして、取り敢えずの使い勝手を試していた。もちろん実際に使ってみないと詳しいところは分からないものの、姿勢が辛かったりしないかというのを見てるんだ。

「うん。大丈夫みたいです。ありがとう」

その時、

「夕食の用意ができました」

と、声が掛けられた。セシリアだった。俺達の分の夕食を用意してくれてたんだ。

「じゃあ、先に食事にしましょう。その間にエレクシアに任せておいて」

シモーヌがそう言うと、

「あ、はい…!」

ビアンカも応える。

こうして、ビアンカとシモーヌと俺は、ビアンカの<家>で夕食をとることになった。あかりは、自分の家に戻って食事だ。向こうは向こうで家族の団欒があるしな。

多少の<不満>は残っているとしても服を着ていることで、ビアンカも俺の視線がこれまでよりは気にならなくなっているらしい。この辺りは俺にはあまりピンと来ない感覚ではあるものの、だからといって無視していいものとも思わない。他人を気遣うことがない人間は自分も気遣ってもらえないからな。

「どうかな? 少しは慣れてきたかな?」

座った時の彼女の目の高さに合わせるために、一段高くなったところに設けられた来客用の席に座って、俺はなるべく穏やかな感じになるように意識して問い掛けた。

するとまだどこか落ち着かない様子ながらもビアンカも、

「は…はい。少しは……」

と応えてくれる。

俺の視線を意識してしまうんだろうな。この辺りも時間が掛かるだろうと俺も思っているので、気にしない。

今日の夕食は、手軽に食べられるようにとチャーハンになった。俺もシモーヌもビアンカも、盛られている量はさほど変わらない。ビアンカが満足できる量では到底ないが、彼女の食事は何回にも分けて食べるようにしている。なので、コーネリアス号への行き帰りの間も自分の席で食べていた。

そうやって頻繁に食べているところもあまり見られたくないらしい。<乙女心>というものだろうか。

これも俺にはあまりピンと来ないものだが、なるべく理解してあげたいとは思う。

シモーヌから聞いた<ビアンカ・ラッセ>像としては、プライベート時の彼女はとにかく<女の子らしい女の子>なんだそうだ。

もちろん、スタッフとしては優秀で、非常に高い戦闘力を持ち、特に格闘のセンスはずば抜けているものの、それ以外は、可愛い物好きで照れ屋で、他人を気遣える心根の優しい女性なのだと言う。

そんな<ビアンカ・ラッセ>のひととなりを受け継いだ彼女がこんな姿に生まれついてしまったことは慙愧に堪えない。

ただ、どんな風に生まれつくかは、誰も選べないんだ。だったらそのままを受け止めるしかないじゃないか。

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