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新世代

走・凱編 経験を積むことで

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あまり一度に彼女と関わるとストレスが過剰になるかもしれないと思い、

「じゃあ、俺はこれで失礼するよ」

食事が終わったところで席を外させてもらった。急ぐことはない。徐々に慣れていけばいいんだ。

俺が自分の家に戻ったことで、ビアンカ達は彼女の家の準備に戻る。

エレクシアは続いて冷蔵庫を運び込み、それも設置する。やっぱり一メートル以上の段差を設けた部分に置くことで、ビアンカにとって使いやすいようにな。

さらにコンロも同じように通常のそれよりも高い位置に設置した。人間なら数時間は掛かりそうなそれらの作業も、メイトギアなら三十分ほどで終わってしまう。

これで、基本的な生活の準備は整った。後はビアンカが好きなように部屋を飾るなりなんなりしてくれればいい。

しかしビアンカが早速したのは、コンロを使っての調理だったそうだ。使い勝手を確かめるのもそうだが、やはりチャーハンだけでは物足りなかったらしい。セシリアにも手伝ってもらって、料理を作る。とにかく、肉、肉、肉の肉料理のフルコースだったとか。

今の彼女の体がそれを求めるのだろう。

ただここには、哺乳類型の動物は、人間由来の種を除けばほとんどいなかった。恐竜が進化を続けた環境だからだろう。なので取れる肉の質はどうしても鶏肉に似たものになるようだ。その辺りは物足りないとも感じるものの、まあ、ないものは仕方ない。その分、味付けは濃い目にして満足感を得ようとしてたそうだ。

ビアンカをクモ人間アラニーズと定義するとしても、ここまで分かっている範囲では彼女の体はヒト蜘蛛アラクネと基本的には変わりがない。あまり濃い味付けのものばかり食べていると少なからず影響もあるかもしれないが、まあ、今日くらいは、な。

満足いくまで食べた後はシャワーだったと聞く。もちろん彼女の家にはシャワー室も完備されている。本当は風呂を作ってやりたかったんだが、今の彼女がゆっくり浸かれるほどのそれとなれば、もはやプールと変わりないだろう。さすがにそこまでは厳しかった。なので申し訳ないが今のところはシャワーで我慢してもらう。

いずれ彼女が今の自分の姿を完全に受け入れて他人の視線が平気になったら、皆で入れるような大きな風呂を作ろう。ビアンカでもゆっくりと浸かれるように、深いところと浅いところを作ってな。

そちらは露天風呂でもいいかもしれない。

ああ、いいな。露天風呂。今まではなんだかんだとそこまでする余裕がなかったし誰も言い出さなかったからすっかり頭から抜けていた。

俺も、以前は別に露天風呂は好きって訳でもなかったんだ。でも、なぜか今は入りたいなという気分になる。

やはり人間は経験を重ねることで変わっていく生き物でもあるんだろうな。

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