未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

新世代

走・凱編 カッコいいじゃないか

凛りんに狙われた仲間を救うためにブタ（に似た獣）のボスらしき個体が、凛りん目掛けて突っ込んできた。そこに、按あんが立ちはだかる。

だがそれはあまりに無謀な蛮勇だ。母親を守りたいという気持ちはあるにせよ、体重で推定四倍以上の体格差がある相手に、未熟な按あんが勝てる道理はない。

「よせっ！」

思わず叫ぶが、試作機のカメラをズームして見ている画面の向こうに俺の声は届くはずもない。

ドローンも向かわせるものの、間に合うか……！？

とその時、さらに別の影を、ドローンのカメラが捉えていた。

「ガアッッ！！」

聞き覚えのある咆哮。凱かいだった。凱かいがすさまじい勢いで走ってきたのだ。

妹を助けるために。

たまたまだったのかもしれないがカッコいいじゃないか。

体重では若干不利かもしれないものの、それでもレオンとしては大柄な凱かいなら、致命的なハンデにはならない。

「ピギーッッ！！」

ブタの方も仲間の命が懸かっているだけに必死だ。

しかし……

凱かいがボスらしきブタを足止めしてくれている間に、凛りんが獲物を仕留めることができた。

それに気付いたブタが、

「ギヒッ！　ギヒッッ！！」

と悔しそうな声を上げつつ、間合いを取る。さすがに向こうも、引き際はわきまえてるか。

十分に間合いを取ると、ブタは背を向けて走り出した。凱かいも後は追わない。自分達の獲物はすでに確保しているから、無理はしない。

このことでも分かるが、肉食獣にとっても狩りは命懸けだ。狩られる方も必死で抵抗してくるからな。場合によっては返り討ちに遭うことだってある。だから狩り過ぎることがない。

実に上手くできてると思うよ。狩りが簡単になってしまうと、ついつい余計に狩ってしまうのはあると思う。人間はそれで乱獲してしまったからな。

現在はその反省から徹底した計画生産が行われてて、基本は養殖ないし畜養。天然物については厳しい管理の下で行われてるそうだ。ここでもAIとロボットが活躍してて、人工衛星を使った監視網が敷かれ、漁場にあたる海域に未登録の船舶があればすぐさま航空機型のロボットないしドローン型のロボットが駆けつけて警告するそうだ。

もちろんロボットなので密漁船だと確認されてもいきなり攻撃はしないが、証拠として映像や写真を撮るだけでなく、その船舶に使われている機器類についてその場で検索し、生産工程や流通経路から関係者を割り出し、警察もそれを基に捜査するんだよ。

今時、生産工程でも流通経路でもAIが関わってないところはほぼないから、それなりの機器に使われる部品なんかだとネジ一本にまで目には見えない刻印が打たれてて、そのすべての行方が追えてしまうそうだ。安価なものであっても、ロット毎にしっかりと管理されてて、どこの店舗に卸されたかも追えるし、クレジットカードや電子マネーで買えば何年何月何日何時何分に誰が買ったのかまで分かってしまうんだよな。