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新世代
明編 仕返し
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明の蹴りは、多くのマンティアンがやるような『叩きつける』というよりは、『突く』感じのそれだった。
叩きつける形の蹴りはどうしても、装甲のような外皮によって威力の大部分が相殺されてしまうが、『突く』感じのそれは、より力を一点に集中させやすく、外皮ごと突き飛ばす形になるので、ダメージが通りやすいようだ。
これは、明が刃から教わった攻撃方法だった。そして刃は、エレクシアから学び取ったらしい。
自身の強力な身体能力に依存した、やや力任せなところもあるマンティアンの攻撃を、さらに合理的に効率的に効果的な<技>に昇華したことが、明や丈の強さの秘密かもしれない。
で、自分に襲い掛かってきた若いマンティアンの脇腹に蹴りを食らわせた明は、その反動で鎌から逃れ、するりと地面に着地した。
蹴られた方は、自分がこれまで味わったことのない攻撃に困惑し、すでに逃げ腰だ。勝てない相手だというのを悟ったのだろう。後はいかにこの場から逃げるかということに全神経を注ぐことになる。
このまま明に捕らえられれば食われるだけだと考えているのが伝わってくる。
もっとも、食うつもりなら、脇腹への蹴りに怯んだ瞬間を見逃さず追撃を掛けてとどめを刺していたはずだが、共食いはしない明は、このまま逃げてくれるのなら追いかけるつもりもない。
だから、明から視線を離さず、かつじりじりと下がって間合いを取り、十分な距離が取れたところで、若いマンティアンが密林の中に溶け込むようにして姿を消すのもただ見送った。
人間であれば逃がしたことで<仕返し>も懸念しなければいけないにしても、野生動物は、勝てないと感じた相手には自分から攻撃は仕掛けないのが普通だろう。中にはヒト蜘蛛の蛮のような例外もあるものの、それはあくまで例外でしかない。
人間の場合は、武器を手にしたり仲間を集めることで勝てる可能性が出てくることが分かるから諦め悪く仕返しを考えたりするんだろう。
なまじ知能が高いゆえに余計なことを考えてしまうのも人間という生き物の特徴か。
まあ、余計なことを考えてしまうのは俺も同じだが、そこでもう一段階思考を進めて、『他者と無駄に争う』ことの非合理性に気付ければ、仕返しとかしないんだろうになあ。
今回の若いマンティアンもこれに懲りて二度と明の縄張りには近付いてこないだろう。
と思ってたんだが、<例外>というやつはいつだってあるんだというのを、俺は改めて思い知らされることになった。
翌日にまたすぐ、そいつが明の前に現れたんだ。
叩きつける形の蹴りはどうしても、装甲のような外皮によって威力の大部分が相殺されてしまうが、『突く』感じのそれは、より力を一点に集中させやすく、外皮ごと突き飛ばす形になるので、ダメージが通りやすいようだ。
これは、明が刃から教わった攻撃方法だった。そして刃は、エレクシアから学び取ったらしい。
自身の強力な身体能力に依存した、やや力任せなところもあるマンティアンの攻撃を、さらに合理的に効率的に効果的な<技>に昇華したことが、明や丈の強さの秘密かもしれない。
で、自分に襲い掛かってきた若いマンティアンの脇腹に蹴りを食らわせた明は、その反動で鎌から逃れ、するりと地面に着地した。
蹴られた方は、自分がこれまで味わったことのない攻撃に困惑し、すでに逃げ腰だ。勝てない相手だというのを悟ったのだろう。後はいかにこの場から逃げるかということに全神経を注ぐことになる。
このまま明に捕らえられれば食われるだけだと考えているのが伝わってくる。
もっとも、食うつもりなら、脇腹への蹴りに怯んだ瞬間を見逃さず追撃を掛けてとどめを刺していたはずだが、共食いはしない明は、このまま逃げてくれるのなら追いかけるつもりもない。
だから、明から視線を離さず、かつじりじりと下がって間合いを取り、十分な距離が取れたところで、若いマンティアンが密林の中に溶け込むようにして姿を消すのもただ見送った。
人間であれば逃がしたことで<仕返し>も懸念しなければいけないにしても、野生動物は、勝てないと感じた相手には自分から攻撃は仕掛けないのが普通だろう。中にはヒト蜘蛛の蛮のような例外もあるものの、それはあくまで例外でしかない。
人間の場合は、武器を手にしたり仲間を集めることで勝てる可能性が出てくることが分かるから諦め悪く仕返しを考えたりするんだろう。
なまじ知能が高いゆえに余計なことを考えてしまうのも人間という生き物の特徴か。
まあ、余計なことを考えてしまうのは俺も同じだが、そこでもう一段階思考を進めて、『他者と無駄に争う』ことの非合理性に気付ければ、仕返しとかしないんだろうになあ。
今回の若いマンティアンもこれに懲りて二度と明の縄張りには近付いてこないだろう。
と思ってたんだが、<例外>というやつはいつだってあるんだというのを、俺は改めて思い知らされることになった。
翌日にまたすぐ、そいつが明の前に現れたんだ。
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