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新世代

明編 格闘

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新暦〇〇二八年九月十七日。



マンティアンは、基本的には『助け合う』ということをしない。子供のうちは母親が守ってはくれるものの、巣立ってしまえば基本的には血の繋がった親子であっても生存競争を戦う<ライバル>だ。

だが、俺の子として生まれ、俺の群れの中で育ってきたからか、めいじょうだけは少し違う。

それは、がくの件でも分かる。本来ならあんな場所には現れない。ましてや自分の親を守るためになんて。

実際、かくは現れなかった。自分の伴侶であるめいがあんな危険な怪物を相手にしているというのに。

人間の感覚でなら薄情に思えるそんな話も、マンティアンにとってはそういうものなんだからどうしようもない。人間の感覚を押し付けるのが間違ってるだろう。

だが、それでも、めいかくの関係は良好だ。共食いせずにいるということが、何よりの証拠。

この調子でずっとこの関係を続けてほしいとは思うが、それもまあ、成り行き次第なんだろうな。あまり、

『こうなってほしい』

というのを期待しすぎない方がいいとは思ってる。

期待というやつはえてして大抵裏切られるものだし。

がくの時にも、

電磁加速質量砲レールガンでの狙撃で片を付けたい』

という期待が見事に裏切られたからな。

まったくもってやれやれだ。



そしてこの日も、<マンティアンとしての当たり前>にめいは遭遇することとなった。

今日の分の調査を終えた俺が家に戻って何気にめいの様子を窺うと、縄張りの端の辺りで狩りをしていた彼女の前に、一人の若いマンティアンが現れたんだ。

獲物に狙いを付けていた彼女を、そいつは襲った。

だが、そんなことではめいはやられない。

そいつの初撃をするりと躱して、逆に鎌で頭を捉える。鎌の一撃だけでは天然の装甲をまとったマンティアンには致命傷になることはないが、そのまま相手の頭を押さえ付け、そしてやはり硬くて強力な打撃武器になる膝を顔面へと叩き込んだ。

普通はこの一撃でケリがつく。

さすがのマンティアンでも、頭部への強力な打撃は単純に脳へのダメージになるからな。軽い脳震盪を起こしただけでも、同じマンティアンが相手なら致命的な隙になる。

後は頭と体をがっちりと捕らえて首を有り得ない方向へと捻じ曲げてやれば終わりだ。

死ねば<天然の装甲>も、首筋などの強度は下がり、そこを強靭な顎でバリバリと噛み砕いて貪ることになる。

が、この時、めいの膝蹴りを思い切り顔面に食らったはずのそいつは、そのままめいの足を捉えて引き寄せ、彼女のバランスを崩させた。

押し倒そうとしたらしい。

しかしめいは瞬間的に体を回転させて足を捉えていた鎌を外し、宙に浮いた状態でそいつの脇腹に蹴りを食らわしたのだった。

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