104 / 2,387
大家族
深の気持ち(女心と言うか何と言うか)
しおりを挟む
新暦〇〇〇五年四月九日
メイフェアXN12Aが来てから数ヶ月。誉、焔、新はすごく懐いていたが、以前にも言った通り、伏の娘で誉と仲が良かった深は、彼女のことを毛嫌いしていた。と言うか、ヤキモチだな、これは完全に。
メイフェアXN12Aもそれは承知しているらしく「ごめんなさい」などと言ったりはするものの、当然、人間式の謝罪など深に通じる筈もなく、相変わらず敵視されていた。
昼間は誉だけじゃなく焔や新までがべったりになったのでさすがに手出しをしなくなってたが、三人が寝付いた後には何度も襲い掛かったりしてもいた。
とは言え、完全に無抵抗で好きにやらせていようと、至近距離での重機関銃の直撃でさえ掠り傷で済む要人警護仕様のメイトギアであるメイフェアXN12Aにとっては、子供がじゃれついてる以上のものには決してならず、結局は遊ばれて終わるだけだった。深に付き合って一緒に襲い掛かる走や凱や彩や凛は、もう既にそれ自体が遊びの一つになっていて、一通り遊ぶと疲れて寝てしまうというのも習慣になっていたようだ。
だが深だけはどうしても納得がいかないらしい。なにしろ最近では、誉は<修行>に忙しくて彼女に構ってやれてないみたいだし。
だからか、誉が出掛けると、その後を深もついて行った。二歳半を過ぎて、見た目にはもう人間の七歳くらいの大きさになった彼女の行動範囲も大きく広がっていたのだ。
そのことはメイフェアXN12Aも当然ながら承知しており、誉も守りつつ深に危険が及ばないように注意もしてくれていた。俺が頼んだからだ。
「深のことも守ってやってほしい。あいつは誉の妹だからな」
とね。それには、俺に対して憎悪の目を向けてきたあの透明なボスが率いるボクサー竜の群れがしつこく辺りをうろついてて危険だったというのもある。
ボクサー竜は殆ど木には登れないから、いざとなれば樹上に逃げればいい誉はさほど心配要らないにしても、草原が本来の生息域である深は、咄嗟に樹上に逃げるよりもそのまま走って逃げるか立ち向かって戦うからしいからな。実はもう、一対一ならボクサー竜に勝てる程度には強くなっているのだ。だがそれだけに、立ち向かってしまってかえって危険を招く可能性もある。
主人である誉の肉親となればやはり守らない訳にもいかず、メイフェアXN12Aは「承知いたしました」と快諾してくれた。
そして今日も、深は、誉を追って密林に入って行ったようだった。
メイフェアXN12Aが来てから数ヶ月。誉、焔、新はすごく懐いていたが、以前にも言った通り、伏の娘で誉と仲が良かった深は、彼女のことを毛嫌いしていた。と言うか、ヤキモチだな、これは完全に。
メイフェアXN12Aもそれは承知しているらしく「ごめんなさい」などと言ったりはするものの、当然、人間式の謝罪など深に通じる筈もなく、相変わらず敵視されていた。
昼間は誉だけじゃなく焔や新までがべったりになったのでさすがに手出しをしなくなってたが、三人が寝付いた後には何度も襲い掛かったりしてもいた。
とは言え、完全に無抵抗で好きにやらせていようと、至近距離での重機関銃の直撃でさえ掠り傷で済む要人警護仕様のメイトギアであるメイフェアXN12Aにとっては、子供がじゃれついてる以上のものには決してならず、結局は遊ばれて終わるだけだった。深に付き合って一緒に襲い掛かる走や凱や彩や凛は、もう既にそれ自体が遊びの一つになっていて、一通り遊ぶと疲れて寝てしまうというのも習慣になっていたようだ。
だが深だけはどうしても納得がいかないらしい。なにしろ最近では、誉は<修行>に忙しくて彼女に構ってやれてないみたいだし。
だからか、誉が出掛けると、その後を深もついて行った。二歳半を過ぎて、見た目にはもう人間の七歳くらいの大きさになった彼女の行動範囲も大きく広がっていたのだ。
そのことはメイフェアXN12Aも当然ながら承知しており、誉も守りつつ深に危険が及ばないように注意もしてくれていた。俺が頼んだからだ。
「深のことも守ってやってほしい。あいつは誉の妹だからな」
とね。それには、俺に対して憎悪の目を向けてきたあの透明なボスが率いるボクサー竜の群れがしつこく辺りをうろついてて危険だったというのもある。
ボクサー竜は殆ど木には登れないから、いざとなれば樹上に逃げればいい誉はさほど心配要らないにしても、草原が本来の生息域である深は、咄嗟に樹上に逃げるよりもそのまま走って逃げるか立ち向かって戦うからしいからな。実はもう、一対一ならボクサー竜に勝てる程度には強くなっているのだ。だがそれだけに、立ち向かってしまってかえって危険を招く可能性もある。
主人である誉の肉親となればやはり守らない訳にもいかず、メイフェアXN12Aは「承知いたしました」と快諾してくれた。
そして今日も、深は、誉を追って密林に入って行ったようだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
163
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる