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大家族

深の気持ち(女心と言うか何と言うか)

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新暦〇〇〇五年四月九日



メイフェアXN12Aが来てから数ヶ月。ほまれほむらあらたはすごく懐いていたが、以前にも言った通り、ふくの娘でほまれと仲が良かったしんは、彼女のことを毛嫌いしていた。と言うか、ヤキモチだな、これは完全に。

メイフェアXN12Aもそれは承知しているらしく「ごめんなさい」などと言ったりはするものの、当然、人間式の謝罪などしんに通じる筈もなく、相変わらず敵視されていた。

昼間はほまれだけじゃなくほむらあらたまでがべったりになったのでさすがに手出しをしなくなってたが、三人が寝付いた後には何度も襲い掛かったりしてもいた。

とは言え、完全に無抵抗で好きにやらせていようと、至近距離での重機関銃の直撃でさえ掠り傷で済む要人警護仕様のメイトギアであるメイフェアXN12Aにとっては、子供がじゃれついてる以上のものには決してならず、結局は遊ばれて終わるだけだった。しんに付き合って一緒に襲い掛かるそうかいさいりんは、もう既にそれ自体が遊びの一つになっていて、一通り遊ぶと疲れて寝てしまうというのも習慣になっていたようだ。

だがしんだけはどうしても納得がいかないらしい。なにしろ最近では、ほまれは<修行>に忙しくて彼女に構ってやれてないみたいだし。

だからか、ほまれが出掛けると、その後をしんもついて行った。二歳半を過ぎて、見た目にはもう人間の七歳くらいの大きさになった彼女の行動範囲も大きく広がっていたのだ。

そのことはメイフェアXN12Aも当然ながら承知しており、ほまれも守りつつしんに危険が及ばないように注意もしてくれていた。俺が頼んだからだ。

しんのことも守ってやってほしい。あいつはほまれの妹だからな」

とね。それには、俺に対して憎悪の目を向けてきたあの透明なボスが率いるボクサー竜の群れがしつこく辺りをうろついてて危険だったというのもある。

ボクサー竜は殆ど木には登れないから、いざとなれば樹上に逃げればいいほまれはさほど心配要らないにしても、草原が本来の生息域であるしんは、咄嗟に樹上に逃げるよりもそのまま走って逃げるか立ち向かって戦うからしいからな。実はもう、一対一ならボクサー竜に勝てる程度には強くなっているのだ。だがそれだけに、立ち向かってしまってかえって危険を招く可能性もある。

主人であるほまれの肉親となればやはり守らない訳にもいかず、メイフェアXN12Aは「承知いたしました」と快諾してくれた。

そして今日も、しんは、ほまれを追って密林に入って行ったようだった。

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