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ー過去ー48

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「なら、その雄介が言いたい事を言ってくれよ」

 望の方はそう観念したかのように言うと雄介の方は頭を掻き、

「……体を洗っている望の事を見ないようにしてたってだけや。 せやから、寝てたんやなくて正確には目を瞑って見ないようにしてたって事なんやって……」

 最初、雄介がなかなか望に本当の事を言わない理由がやっと分かった気がする。 本当に雄介という人間っていうのは優しい性格で遠慮深くて空気を読んでくれている人間なんだろう。 そこに望は軽く息を吐くと、

「そっか……雄介はちゃんと俺の性格分かってくれてるって事だもんな」
「まぁな」

 雄介は望の方に向かって笑顔を見せると、

「俺やって、一年前とは違うんやで……。 この一年でそりゃもう望の性格が分かって来たしな。 寧ろ、望の事が好きやからこそ、もっともっと望の事が知りたいしな……せやから、望の性格、癖、行動を把握してきたつもりやで」
「そっか。 俺は……」

 雄介の言葉に望は顔を俯かせ、

「悪い……俺はまださ……お前の性格とかっていうのは分かってなかったのかもしれねぇな。 ってか、わがままばっか言ってる気がしてきたな」
「そんな事、気にすんなや。 俺は例え望がわがままな性格だとしても、そんな望が好きなんやって……って、望はそう言うのかもしれへんけど、俺からしてみたら望は全然わがままでは無いような気がすんで! だってな、俺がそもそも望がわがままな人間だって思った事があらへんもん。 全然、望は普通の事しか言うてへんからそこは気にせんでもええとこやろー」

 そう嘘偽りもなく視線も真っ直ぐに言ってくる雄介に本当に嘘偽りな所はないと確信した望は雄介に向かって笑顔を見せる。

「……ってか、お前の心の中って本当に偉大だな」
「そんな大層な事ではないような気がすんねんけどな。 それに、俺が心広いんは望だけやって。 例えば、和也に対してだとしたら望の半分位やろな……でも、別に和也はムカつく対象ではないんやけどな……まぁ、アイツの場合には心広くしてなくても大丈夫だって位やしな。 寧ろ、和也の方が心広そうやけど」
「だって、和也はわがままではないだろ?」
「まぁ、確かにそれもあんねんけどな……あ、いや、望だって全然わがままな感じなんかしてへんし」
「そっか……なら、いいか……」

 このままでは拉致が開かないとでも思ったのか望はそこで一旦言葉を止めると、

「まぁ、そろそろ出ようか?」
「せやな……これ以上ここに居っても逆上せてまうだけやしな」
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