【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

綺羅 メキ

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ー過去ー47

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 そんな望の様子に気付いた雄介は軽く微笑む。

 雄介はこの一年、望の事を見てきた。 だから望の性格が分かるようになってきたというところだ。

 こうやって雄介が体を洗っている間は見ないようにしている仕草も今では分かっている。

 確かに雄介の性格ならば望の裸を見る分には全然何も感じないのだが、世の中には自分と全く性格が同じ人なんてそう滅多な事では巡り合う事はないのだからそこは仕方がない所だろう。 自分は自分。 他人は他人。 という所だ。 それに相手の性格に合わせるのも重要だけど相手だって自分の性格に合わせてもらうっていうのも仲良く生きていく秘訣なのかもしれない。

「望……ええで……」
「あ、ああ……」

 今度、雄介は浴槽に入って望が浴槽の外へと上がる。 だがもう雄介だって望の性格を分かっているのだから、望の事を見ないようにする為に天井へと視線を向ける。

 そして天井に視線を向けたままそのまま瞳を閉じるのだった。

 瞳を閉じてしまった後に聞こえて来たのは望がタオルで体を洗っている音だ。 人間、瞳を閉じてしまうと聴覚の方が敏感になるとも言う。 だから雄介の耳には望が体を洗う音までも聞こえてきたのであろう。 しかも、お風呂という場所は音が反響する所なのだから余計になのかもしれない。

 しかし本当に一人でいる時よりも人と一緒に居る時間というのはこんなにも落ち着ける時間なんであろうか。 きっと、そこには恋人という親しい人間がいるって事もあるのかもしれないのだが、やはりそこは温もりを感じる事が出来るから落ち着ける空間になっているのかもしれない。

 やがてタオルで体を洗う音は止み今度はシャワーで体を洗い流す音が聞こえて来た。 そして、ゆっくりと望は再び浴槽の中へと入ってくる。

 瞳を閉じている雄介の姿を見ると、

「お前、疲れてるんじゃねぇのか? とりあえず、浴槽では寝るなよな」

 そう思いもよらないような言葉を掛けられたのだが雄介は、

「あ、いや……寝てはおらんかったんやけどな」

 望が洗い終えて浴槽の中に入ってきて瞳を開ける事が出来たのはいいのだが、どうやら望の方は誤解でもしているのかそんな事を言っていた。

 だが望の性格を分かっている雄介は本当の事を言えず、

「あ、いや……だからやな……」

 言葉を詰まらせる。

 でもきっと望に本当の事を話せば望が怒る可能性が大である。 だから何か他に理由が無いかと頭を巡らせてみるものの、ただただ瞳を宙に浮かせているだけで結果何も出て来なかったらしい。

 そんな雄介の様子に望が気付かない訳が無いだろう。

 望は雄介の事を睨み付けるようにすると、

「やっぱり、寝てたんじゃねぇのか? その証拠に目を空中に浮かばせてるしさ」
「あー、いやー、それは……違うかな?」
「じゃあ、なんなんだよー」
「ほな、望に聞くけど、その真実を望に話して怒らへんか?」
「はぁ!? ってか、お前が目を瞑っていた理由っていうのは俺の事を怒らせるような事なのかよ」
「んー、先にこうでも言っておかんと絶対に望が怒るかもしれへんしな」
「んじゃあ、怒らないって約束するから言ってみろよ……って言ったら、雄介はその事について言ってくれるのか?」
「そやね……まぁ、そんな感じやなぁ」
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