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~後涼殿の章~
第40話侮られる理由
しおりを挟む「通常、入内なさる女人方は大なり小なりと式を挙げて内裏に上がって参ります。
世間に自分は帝と婚姻をした、と知らしめるための大事な儀式なのです。
それを桐壺の更衣様はなさっておりません。
何故、そのような事をなさったのかは分かりませんが、そのせいで、桐壺の更衣様が格下の扱いを受けたのは間違いありません。
主人が侮られれば、当然、仕えている女房方も下に見られるものです。
同じ身分の女房達から対等の扱いを受けられなかった事は容易に想像がつきます。
そんな桐壺の更衣様が帝の寵愛を受けてから他の女御様や更衣様からの嫌がらせを受け続けていらっしゃいます。桐壺の更衣様が嫌がらせをされているという事は、お付きの女房達もはそれ以上の仕打ちを受け続けてきたはずです。
桐壺の更衣様付きの女房達が他の妃様方を挑発なさる態度を取るのは、今までの鬱憤もあっての事でしょう。虎の威を借りる狐、と申せばそれまでですが、桐壺の更衣様の寵愛は薄れることなく、再び懐妊なさった。
これで、第三皇子が誕生すれば、桐壺の更衣様が今度こそ”従三位”の地位を得る可能性があります。女房達はその事を理解しているのでしょう。なんとしても、桐壺の更衣様に第三皇子を産んでいただきたい、と思っているのです。ですが、桐壺の更衣様に味方する者は非常に少ないのが現状。ならば、少しでも悪意が余所に向くように彼女達は”生贄”を用意する必要がありました。そして、運良く、その対象がいた、という事です」
何処から突っ込んだらいいのか分からない。
僕自身知らなかったけど、どうやら入内の式をしないのは非常識な行いだったらしい。
式自体が『結婚式』のようなもんなんだろう。
そのせいで母更衣や女房達が下に見られて恥をかいていたのは分かった。
でも、母が懐妊したからって生贄いるか?
「なんでいけにえひちゅようなの?(訳:何で生贄が必要なの?)」
「こればかりは、桐壺の更衣様の心のありようでしょうが、二の宮様をお産みになるまで何度も流れる危険性がありましたし、出産時でも大変な苦しみの中にいらっしゃったのです。
女房達からしても、桐壺の更衣様が気鬱の病で御子が流れたり、物の怪に取り付かれる事を恐れているのでしょう。
……以前、取り付かれた物の怪は、執念深く力の強いモノだったようですから。女房達としては、呪うなら別の方にしてもらいたいのでしょう」
それって、後宮の女が呪ったってこと?
犯人は女御か更衣か、それとも、妃達の実家か。
今度も桐壺の更衣は呪われると女房達は考えている…にしては矛盾してない?
「うっちぇつけのあいてがこーい?それにしてはにょーぼうたちのこうどうがへん(訳:打ってつけの相手が更衣?それにしては女房達の行動が変)」
女房達がしているのは、妬みを元後涼殿の更衣に向かわせるというよりも、『不義の子を宿している』と噂を立てて、元後涼殿の更衣の評判を落としているだけだ。
なんで?
行動の意味が分からない。
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