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123話・見守る者

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 ~茨木童子視点~

 目の前に、熊や虎たちなどの男どもが倒れこみ、ピクピクとひくついている。

「どうやら今日も、ここまでのようですね」

 お師匠様は、チラッと熊たちの事を確認してから修練の終了の合図をする。

「ありがとうございました!!」

「「「「あ… ありがとう… ございました…」」」」

 私の後に続き、倒れたままの熊たちも挨拶する。

「じゃあお師匠様。早速ラスの事を見に行きましょう!!」

 修練後の楽しみであるラスの鑑賞を催促する。

「はいはい、分かりました。私たちは、いつもの部屋にいるので、熊たちは無理しないように休んでいて下さい」

「「「「は… はい」」」」

「ほらお師匠様、早く早く!!」

「今いきますよ」

 お師匠様を連れて、ラスの写る鏡がある部屋へと急いでいく。

「ほら写りましたよ。ん? どうやら何か起こっているようですね」

 お師匠様が言うように、鏡に写るラスからは焦りが伺える。

「お師匠様」

「えぇ、少し広げて見てみましょうか」

 お師匠様が鏡を操作すると鏡に写る場面が変わる。

「お師匠様。あの者たちはなんて言っているの?」

 生憎お師匠様のように、口を読むことは出来ないので、何を言っているのかを尋ねる。

「えっと…」

 お師匠様に鏡に写る者たちの言っている事を訳して貰う。

「と言うことは、あの赤鬼がラスの敵なのね」

「そのようですね。しかも、今のラス君たちではあの者に勝つ事は無理でしょうね」

「みたい… え!! お師匠様。それじゃあラスが危ないんじゃないの!?」

「かもしれませんね。ですが、まだラス君は闘いに参加していませんし、もしもの場合は、配下召喚がありますから大丈夫ではないですかね」

「あ!? その手がありました。ラス、私を呼ぶんです!! ラス!!」

 鏡に張り付き、ラスに呼び掛ける。

「こらこら、茨。鏡に近寄って、大声を出してもこちらの声は向こうには聞こえませんよ。今は、大人しく状況を見守りましょう」

「はい…」

 鏡から離れ、じっと様子を見守る。

「お師匠様。ラスがやるみたいですよ!!」

 後ろに控えていたラスが参加し出した。

「そのようですね。このまま様子を見ましょう。ラス君の修練がどの程度なのか確認出来るかもしれませんからね。ですから、落ち着きなさい」

「…はい」

 心を落ち着かせ、様子を見守る。

「おぉ!! お師匠様、今の見ましたか?」

「えぇ、見ましたよ。ラス君もしっかり修練を積んでいたようですね。おや、茨どうやら出番のようですよ」

 お師匠様の言う通り、ラスが私を召喚しようとしてくれる。
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