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124話・実力の差

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 お師匠様の言う通り、ラスが私を召喚しようとしてくれる。

「茨、やり過ぎないようにするんですよ」

「はい!! では、行ってきます!!」

 私の足元に魔法陣が現れ、一瞬でラスの前に移動する。

「私、参上!!」

 気合いをいれる為に、とりあえず声を上げておく。
 どういった経緯で、ラスとあの赤鬼が敵対関係になっているのかまではよく分かっていないが、あの赤鬼をぶちのめせばいい事は理解しているので、ラスにお願いされる前に、全部分かっている風を装っておく。
 後、万が一私の戦闘に巻き込まれてしまわないよう、距離をとっておくよう伝え、ここで先輩らしい事を言っておくのを忘れずにやっておく。
 ラスが離れたのを確認してから、赤鬼に向き直る。

「待たせたね」

「それは構わん。それより、お前は何なんだ?」

 赤鬼が可笑しな事を聞いてきたが、ラスがまだこちらに集中していなかったので、それに答える。

「何なんだって、どう見てもお前と同じ鬼人じゃない」

「それは見れば分かる。俺が言いたいのはそうではなくて… 「お前が何を聞きたいのか知らないけど、これ以上の言葉なんて必要ないでしょ。私はあなたの敵。ただそれだけ分かれば充分でしょ。違う?」

「…いや、それもそうだな。ふん!!」

 鏡で見ていた時の赤鬼と比べがらりと顔つきが変わり、更に筋肉を膨張させながら構えをとる。

「来なさい」

 私との実力差を何となく悟っているように見えるが、それでも向かってくる度胸に免じて先手を譲って上げる。

 ドンッ

「はぁ!!」

 赤鬼は地面が陥没する程の勢いで踏み込み、真正面から殴りかかってくるが、

「!?」

 それを片手で止める。

「いい踏み込みね。でも、そんなんじゃ私には届かないよ」

 赤鬼の攻撃は、ただの力だよりの一撃だった。

「ならこれでどうだ!! うらぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 今度は、間髪つけずに連続で殴りかかってくるが、その全てを片手だけで受け止める。
 数十発止められた所で、赤鬼は後ろに飛び退く。

「…俺より強いとは思っていたが、まさかここまでの実力の差があるなんてな。俺もまだまだだってことか」

「そうね。私から言わせて貰えば、鬼人だからといって、力だよりでイキっているただのガキね」

「ガキか。見た目はお前の方が幼く見えるのに、妙に納得せざる終えないな。なら、ガキならガキなりに足掻かせて貰うぞ」

「その意気やよし。なら、今度は私の番ね。あ、先に言っておくけど、真正面から腹を殴るよ」

「…やれるならやってみろ」

「なら、いくよ」

 私は、殴る前に再度声をかける。
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