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34話・2人での話

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 セウンさんたちを見送った後、私は、ラスちゃんの所へ戻らずに、1度フィアンマ様に会いに行く。
 フィアンマ様にある許可を貰った後、必要な物を準備してからラスちゃんの待つ部屋へと戻った。





 空手の型の練習をしていると、扉をノックする音と同時に、セウンさんの声が聞こえる。
 私は、やっていた型を止め、軽く息を整えつつ出てみると、セウンさんだけでなく、シェーンさんたちも後ろに立っていた。
 皆ご一緒にどうしたのか聞いてみると、私の声を聞いて心配して見に来てくれたらしい。
 心配かけた事について謝り、少し話してセウンさんたちは、帰っていった。それを部屋から見送り、ベッドに腰かけ暫く休んでいると、再び扉をノックされる。

「ラスちゃん、今いいかな?」

「はい、大丈夫です」

 出てみると、今度はシェーンさんのみ立っていた。
 たぶん、先程言っていた話をしに来たんだろう。
 私は、シェーンさんを部屋へ招き入れようとする前に、

「ねぇ、ラスちゃん、体の調子はどうですか?」

「体の調子ですか? セウンさんのおかげで、快調です。」

「それは良かったです。でしたら、まだここを案内していなかったと思いますので、良かったら今からどうですか?」

「案内ですか?」

 確かに、ここに連れて来られてから、不安な気持ちがあり、殆ど部屋で過ごしていたので、確かにあの部屋以外知らない。だから私は、

「分かりました。なら、お願いします。」

「任せて下さい。」

 私は、シェーンさんの後についていき、この孤児院を見て回り、途中勉強していたこの孤児院にいる子供たちに紹介された時は、転校生ばりに緊張したりした。
    その後は、子供たちからも名前を聞いてから部屋を後にし、他の所も案内された。
 そして、一通り見て回った所で、

「これで、粗方見て回りましたね。あ、そうだ最後にあそこに行きましょうか。」

「? 分かりました。」

 シェーンさんの後についていくと、そこは…

「お風呂場…」

 自然と声に出ると同時に、バッと今の自分の状態を確認する。
 空手の型をしていた事もあってか、結構汗をかいていた。

「丁度、お湯も入ってますし、良かったらラスちゃん一緒に入りませんか?」

「は… はい!!」

 その後、シェーンさんの提案に賛成し、お風呂へ入らせて貰う。そして、しっかりと体を洗ってから、シェーンさんとお湯に浸かった。
 久々のお風呂に癒されていると、シェーンさんから話を聞く。
 何でも明日、私にかけられている奴隷契約を解除してくれるとの事だった。
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