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「猫ちゃん飼いましょう!」編
第1話 社畜、配膳ロボに懐かれる
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いつものように残業でボロボロになり、今日もやっとどうにかたどり着いた最寄り駅。
遅すぎる夕食と明日の朝食をコンビニで適当に買い込んだ後、フラフラと家路についていると。
(……?)
なぜだか普段は気にもとめない路地裏が妙に気になった。
なにか、いる?
疲れた足を止めて暗がりを覗き込む。
(でかい……猫?)
シパシパと瞬きをして焦点を合わせる。
ああ、あれだ。
配膳ロボ。
フェミレスとかで料理をテーブルまで持ってきてくれる猫型のあれだ。
昔、家族で行ったファミレスでの楽しい思い出が脳裏に蘇る。
そういえば、最近は旧世代の配膳ロボの不法投棄がニュースになってたっけ。
なんでも廃棄するにも金がかかりすぎるため、そのへんに捨てられてるとか。
(さんざん使い倒された挙げ句、用済みになったら道端にポイか……。まるで将来のオレみたいだな、こいつ……)
なんとなく親近感を覚えたオレは、配膳ロボに近づいてみることにした。
当たり前だが電源は入ってない。
体も薄汚れてる。
(これまで仕事を頑張ってたんだろうに、こんな最後だなんて憐れなもんだ……。多分、ずっと配膳頑張ってきたんだよね? 今までお疲れ様。せめて、オレくらいはキミをねぎらってあげよう……)
コンビニの袋の中からおにぎりを取り出し、配膳ロボの配膳スペースへとお供えする。
猫だから、具は「おかか」
パンッ、パンッ。
(ロボットにあるのかはわからんが、どうか来世では幸せな猫生活送ってくれよ。オレみたいな社畜に生まれ変わっちゃダメだぞ)
そんなことを思いながら手を合わせ、再び家路につく。
途中、オレと目が合ったOLさんがギョッとした顔で逃げ出し、小型犬の散歩をしてるキャバ嬢っぽいお姉さんの連れたピカピカと首輪の光る犬が「キャンキャン!」と吠えかかっててきた。
(おいおい、不審者扱いには慣れてるが今日は一段と警戒されてるな……? やっぱ年を重ねるごとに不審者感が増していってるのか?)
この先の人生を想像して暗澹とした気持ちになりつつも、どうにかボロボロアパートの一階──疲れた体で気絶するように寝るためだけに存在している万年床のくたびれた我が家へとたどり着く。
(鍵、鍵っと……)
疲れ切った頭と体では鍵を探すことさえ一苦労。
やっとのことでカバンの奥から見つけ出した鍵をガチャリ差し込み、建て付けの悪いドアを開ける。
キィ──ガッ!
(……ん?)
ドアが閉まらない。
(くっそ、ここまで建てつけが悪くなっちまったかぁ。こりゃもうさすがに引っ越しどきかな……)
そう思って振り返ると、何かがドアに挟まってることに気づいた。
ん? なんだ?
重たい頭をゆっくりと上げる。
すると、そこには。
『ご注文ありがとうございますにゃ、中に入れてほしいにゃ』
配膳ロボ。
さっきの。
え? ついてきちゃってたの?
『中に入れてほしいにゃ。中に入れてほしいにゃ。中に入れてほしいにゃ』
ボロボロの機体に、かすれた「>ω<」な顔マークを表示した野良配膳ロボが、オレのクソボロアパートの前で延々と『中に入れてほしいにゃ』と繰り返していた。
遅すぎる夕食と明日の朝食をコンビニで適当に買い込んだ後、フラフラと家路についていると。
(……?)
なぜだか普段は気にもとめない路地裏が妙に気になった。
なにか、いる?
疲れた足を止めて暗がりを覗き込む。
(でかい……猫?)
シパシパと瞬きをして焦点を合わせる。
ああ、あれだ。
配膳ロボ。
フェミレスとかで料理をテーブルまで持ってきてくれる猫型のあれだ。
昔、家族で行ったファミレスでの楽しい思い出が脳裏に蘇る。
そういえば、最近は旧世代の配膳ロボの不法投棄がニュースになってたっけ。
なんでも廃棄するにも金がかかりすぎるため、そのへんに捨てられてるとか。
(さんざん使い倒された挙げ句、用済みになったら道端にポイか……。まるで将来のオレみたいだな、こいつ……)
なんとなく親近感を覚えたオレは、配膳ロボに近づいてみることにした。
当たり前だが電源は入ってない。
体も薄汚れてる。
(これまで仕事を頑張ってたんだろうに、こんな最後だなんて憐れなもんだ……。多分、ずっと配膳頑張ってきたんだよね? 今までお疲れ様。せめて、オレくらいはキミをねぎらってあげよう……)
コンビニの袋の中からおにぎりを取り出し、配膳ロボの配膳スペースへとお供えする。
猫だから、具は「おかか」
パンッ、パンッ。
(ロボットにあるのかはわからんが、どうか来世では幸せな猫生活送ってくれよ。オレみたいな社畜に生まれ変わっちゃダメだぞ)
そんなことを思いながら手を合わせ、再び家路につく。
途中、オレと目が合ったOLさんがギョッとした顔で逃げ出し、小型犬の散歩をしてるキャバ嬢っぽいお姉さんの連れたピカピカと首輪の光る犬が「キャンキャン!」と吠えかかっててきた。
(おいおい、不審者扱いには慣れてるが今日は一段と警戒されてるな……? やっぱ年を重ねるごとに不審者感が増していってるのか?)
この先の人生を想像して暗澹とした気持ちになりつつも、どうにかボロボロアパートの一階──疲れた体で気絶するように寝るためだけに存在している万年床のくたびれた我が家へとたどり着く。
(鍵、鍵っと……)
疲れ切った頭と体では鍵を探すことさえ一苦労。
やっとのことでカバンの奥から見つけ出した鍵をガチャリ差し込み、建て付けの悪いドアを開ける。
キィ──ガッ!
(……ん?)
ドアが閉まらない。
(くっそ、ここまで建てつけが悪くなっちまったかぁ。こりゃもうさすがに引っ越しどきかな……)
そう思って振り返ると、何かがドアに挟まってることに気づいた。
ん? なんだ?
重たい頭をゆっくりと上げる。
すると、そこには。
『ご注文ありがとうございますにゃ、中に入れてほしいにゃ』
配膳ロボ。
さっきの。
え? ついてきちゃってたの?
『中に入れてほしいにゃ。中に入れてほしいにゃ。中に入れてほしいにゃ』
ボロボロの機体に、かすれた「>ω<」な顔マークを表示した野良配膳ロボが、オレのクソボロアパートの前で延々と『中に入れてほしいにゃ』と繰り返していた。
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