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第四編第一章 護国の旗を掲げる男
護国師団反乱軍総長エルヴィス・ハワード
しおりを挟む「まあ、座れって。恋の騎士」
「ロードだ…!」
叫んで火照った身体を冷ます様に腰を下ろし
息を深く吐いたロードは折れた話の腰を
戻そうと、エルヴィスに問い掛ける。
「ふう…まあ普通に話してくれて助かったけどよ。これでいいのか?」
「良いんだよ。お前は姫を護りたいから護ったんだろ?俺等は憎いから殺しに行った…互いの想いを貫いてな…それをとやかく言ってても俺達の悲願は叶わないだろうよ?」
エルヴィスの言葉を聞いてロードは
ゴクリと息を大きく飲んで喉を鳴らした。
そしてある事に気が付いたロードは言葉を
失っている、其の理由は目の前に居る
反乱軍総長エルヴィスの言動にあった。
其のエルヴィスの発言にロードは間違いなく
過信をしていたと直ぐ様気付かされる。
エルヴィスには迷いの一つも無い。
そう聞き取ったからこそ肩を落とす。
話せば解り合える。
先程迄は漲っていた其の自信が綺麗に
たった一言で打ち砕かれてしまったのだ。
「何でそこまで言い切れるんだ、アンタは…?殺す事に何の躊躇いも無いのか…?」
ロードが振り絞った言葉を聞きエルヴィスは
またも笑みを浮かべて口を開いた。
「聞いてた通りの男だな、お前はよ。ただな…躊躇いは無い。この国の未来の為だ…総長である俺が迷ったら組織はグラつくだろ?だから、腹決めてんだよ」
エルヴィスの言葉は只ひたすらに真っ直ぐ
ロードの耳に飛び込んで来る。
其のブレない言葉にはエルヴィスの信念が
間違い無く映し出される様に聞こえる為
返す言葉を度々ロードは失ってしまう。
「だがな…もう今になって躊躇いは無いが…褒められた事をしている自覚も無い。とどのつまり俺達は人殺しなんだよ…解ってるからこそそれも背負ってこの国を護る為に汚れ役に徹してやらァ…!」
ほんの少し眉間に皺を寄せ言い放った
エルヴィスからは計り知れない覚悟と
気迫が溢れ出しており、知らぬ内に
ロードの頬から汗が滴り落ちていた。
と、気付けば力が込もり過ぎたと鼻で笑う
エルヴィスが表情を崩して笑顔を取り戻す。
「そういや、ロード。お前、ノアにも会ったんだろ?」
「ノア…って。革命軍の?」
ロードの問い掛けにエルヴィスが頷き
不思議そうにロードは言葉を続ける。
「会ったぜ?それが何だよ…居場所なら知らねぇぞ?」
「ちげーよ…良い男だったろ?ノアのヤツはよ…!」
「…褒めてる…のか?それ」
「…ん?ああ。普通に褒め言葉だ」
ロードは頭を抱えて言葉の真意を探る。
ノアの率いる革命軍は反乱軍を率いる
エルヴィスにとっては敵に違いない。
ロードは其の情報からハテナを浮かべる。
「ああ、そうか…。知らないよな…俺とノアが“親友”だって事をよ…!」
エルヴィスはニヤリと笑って其の言葉を
口にする、其れも平然と当たり前の様に。
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