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第四編第一章 護国の旗を掲げる男
告げられる急報
しおりを挟む「……はぁ…?」
「聞こえなかったか?俺とノアは親友だぜ。ガキの頃、同じ孤児院で過ごした仲だからな…!」
あんぐりと口を開けて黙り込むロードは
情報の整理が全く追い付いて居ない。
其処に座ったまま目を閉じて居た副長である
ウィルフィンが口を開いて言葉を述べる。
「因みにエルヴィスとノアだけじゃなく、アドリーにティア…。其れに俺と革命軍の参謀も同じ孤児院の出だよ」
「……全然追いつけねぇ…何でそんな奴等が綺麗に別れて敵対してんだ…?」
「…っ…はは…そんなもん歩むべき道が違ったからに決まってんだろ?」
然も当然かの如くエルヴィスは言い放つ。
「…ん?待てよ…親友だったじゃなく…今も親友だと思ってんのか?」
「ああ。もう十年会ってねぇけどな」
「…戦えねぇだろ、それじゃ…」
ロードの言葉にエルヴィスはまた気迫の
込められた表情で口を開く。
「認めてるからこそ、本気で戦うんだ。お互いの掲げる理想と夢の為にな…手ェ抜くのは失礼だろ?ノアに対してよ」
言葉を交わすたびに突き付けられる事になる
エルヴィスの悲壮とも取れる覚悟の重さ。
エルヴィスの言葉からロードは何故目の前に
座るエルヴィスとノアが若くして両軍の長と
なり歳上の人間達をも従えてるかが見える。
迷いを断ち切り前へと進もうとしている
からこそ二人は目の前の事に最善を尽くす。
其の凄さを言葉で現すにはロードには
まだ荷が重い事なのかもしれない。
言葉を失っていたロードの沈黙と共に
静けさが立ち込めた反乱軍アジトの一室。
だが、其処に場を急変させる一報が届く。
「し、失礼しますッ!総長殿、副長殿…お耳に入れたい事が御座いますッ!!」
慌ただしく其の一室に駆け込んで来た反乱軍
の一兵卒の男が息を切らして口を開く。
「掴んだ情報通りに現れました…政府に追われている超大物のあの男が…!」
其の情報に立ち上がったエルヴィスと
ウィルフィンは鋭い目付きで耳を傾ける。
何だ何だ、と状況が呑み込めて居ないロード
もまた其の現れた一兵卒に身体を向ける。
「…間違い無いのか…?」
「は、はい…かなり信憑性は高いかと…」
「…遂に来たな、エルヴィス…!」
「ああ。政府を出し抜くチャンスだ…。ガルダを向かわせろ…!」
エルヴィスの指示に高らかに返事をした
一兵卒はまたも慌ただしく一室を後にする。
「ガルダ一人で行かせるのか?」
「全員で動き出したら遭遇する前に逃げられるかもしれねぇからな。連れて来れればベスト…生きていると確認出来るだけでも大きな一歩になる…!」
エルヴィスはウィルフィンにそう告げると
ニヤリと笑ってアジト内に繋がる無線を手に
取ると反乱軍団員達を動かし始める。
そして、指示が終わり無線を置くと徐に
振り返り遂に現れた男の名を口にした。
「ランス・テラモーノか…。遂に動き出したな…へへっ…面白くなって来たぜ…!」
エルヴィスの口にした男の名を聞くと
同時にロードは慌てた様に立ち上がった。
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