126 / 422
第三編第三章 ロジャーズグリフの戦い
目指すは砂の街
しおりを挟む「ま、マジで…?」
身を乗り出して発言したロードの言葉に
ウィルフィンは静かに頷いて答える。
そんな時、ロードとウィルフィンが身体を
休める川辺の洞窟の入り口に近づいて来る
一人の足音が段々近くに向かって来た。
「…やっと見つけたよ…ロード。…其れに此の状況は何だい…?」
「お、シャーレ!」
其処に訪れたのはシャーレだったが、此の
状況、勿論ウィルフィンと共にいる事に
唖然とした表情を隠せずに居た。
ウィルフィンもまたシャーレの姿を見て
光の街公使の屋敷で見覚えがあると悟る。
「…行きずりだ…」
「まあ、ちょっとな。でよ、シャーレ実は…」
ロードは合流したばかりのシャーレに
事の顛末を話して聞かせる。
すると、シャーレは驚いて声を上げる。
「…反乱軍総長と謁見…?おい、ロード。其れは大丈夫な話なのか…?」
「大丈夫だって。俺よ、三時間も気失ってたのにウィルフィンには殺されてねぇ…わざわざ招いてから殺す意味はねぇだろ?」
ロードは当たり前の様に笑顔で口にすると
ウィルフィンは呆れた様に口を開く。
「…招いてから殺す道理は無いが。…貴様は人を信用し過ぎだとも言えるな…」
「其れは激しく同意だよ…」
何故か意見が共鳴し合うウィルフィンと
シャーレの二人にロードは目一杯のハテナを
浮かべて首をきょろきょろと動かす。
「まあ、ロードが行くなら止めはしないが…先ずはポアラと合流しなくては…」
「それもそうだな。ウィルフィン、仲間と合流するから少し待ってくれよ」
「そうしてやりたいが、エルヴィスも忙しい身でな。そろそろ向かわねば謁見は敵わんのだ」
エルヴィスとの謁見の時間は限られて居り
そろそろ風の街の駅から砂の街へ蒸気機関に
乗らねば間に合わないらしい。
シャーレはロードの行きたそうに悩む表情を
見て深い溜息を吐いて話し始める。
「…行きたいんだね。わかったよ…なら蒸気機関で私達も後から向かうよ。今日の夜に砂の街の駅で落ち合おう…ポアラには私から言っておく。きっと怒られるだろうがな…」
「悪ィな…シャーレ…!」
「貴様も俺を信用し仲間を一人で行かせても良いんだな?」
ウィルフィンの言葉にシャーレは笑みを
浮かべて目を合わせながら話し始める。
「ロードは単独行動してたからシェリーの行き先を知らない…ロード一人なら君達が情報を取ろうとしても無駄だからだよ、殺す事は無くても捕らえても意味が無いという訳さ」
「…フッ…。だから安全という訳だ。成る程、理解した」
ほんの少し笑みを浮かべたウィルフィンは
ロードを連れて風の街内の駅を目指す。
シャーレは一度戻りポアラとの合流後に
砂の街で落ち合う算段となった。
ロードとウィルフィン。
シェリーを巡って刃を交えた二人が今何と
蒸気機関に揺られて砂の街を目指す。
反乱軍総長エルヴィスとの邂逅を目指し
不思議な組み合わせとなった二人は窓から
砂の街コルドデザートのセバラ砂漠を進む。
応援ありがとうございます!
30
お気に入りに追加
17
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる