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悪魔 れおんside
しおりを挟む目が覚めると、真っ白な病室にいた。
ここは、、どこだ?病院?
「目が覚めましたか?」
「ここ、は、、?」
「昨晩、ラット状態で運ばれたんですよ。怪我されてたので、手術もしてますからね。この後先生から説明あるので少し待っててください。携帯電話等持ってなかったのでご連絡とかできていませんが、こちらからご連絡しましょうか?」
「さ、昨晩、、、、?っ、、!!!」
「ちょっと何してるんですか!いきなり動いたらダメですよ。」
勢いよくベッドから降りようとしたら腕に激痛が走る。視線を落としてみると左腕が包帯で巻かれている。
「ラット状態だったから覚えてないかもしれないけど、理性保つために自分の腕を何箇所もかなり強く噛んでて30針も縫ったのよ!!」
「周のところへ行かなくちゃ行けないんですっ!!!今すぐ行かなきゃ、」
暴れる俺は4人がかりで押さえられ、検査だなんだされ、帰路に着くことができたのは昼過ぎだった。
どんな顔して変えればいいんだ。玄関の前に佇む。
今から帰るとメールをした直後に返ってきたのは
---直接おめでとうって早く言いたい。一緒にれおんの誕生日祝えるの幸せ。気をつけて返ってきてね。---
という周の優しさが溢れた文だった。
早く帰りたいといつも以上にドキドキしながら帰宅し、あと5分ほどで自宅に着くという時だった。
ブワッッと匂いが広がる。
本能が反応する匂い。この匂いはあの子のものだ。運命の番のもの。でも、俺の愛しい人の匂いではない。
だがこれまで嗅いだことのないような強力な匂いに反応が鈍り、腕にチクリと刺されたことに気づいた時には遅かった。すぐに払ったが、動いた途端身体が熱くて仕方ない。振り返るとおそらくαであろう男が注射器を持っていた。
何を打たれた?
何が起きているのかわからないままただただ熱が上がるような感覚がする。
匂いが強くなってくる。
「れおんさん、僕たちは運命なんですよ?ね?」
そう言って発情し切った顔でに近づいてくる男が悪魔に見えた。
「なに、、、を、、打ったっ、、はぁ、、、」
「それね、αのラットを誘発させるお薬です。違法なものだから超強力ですよ?もう耐えられないでしょ?ね?僕を抱いて?」
俺の求めるのはこの匂いじゃない。なのに、体が反応する。理性が、、薄くなっていく。
周、、、っ、、
いつのまにかαの男が消えていて、目の前の悪魔が服を脱ぎ始めたところまでは覚えているがその後の記憶は飛んでいる。
病院で未遂に終わったことを教えてもらった後、打たれた薬の検査とΩが起こしたレイプ事件として警察から事情聴取をされた。
俺が被害者だとかそんなことどうでもいい。1番の被害者は俺じゃない。
この扉の先にいる俺の1番大切な人が、1番傷ついている。
あの悪魔が言っていた。
「周くんには僕から教えてあげます。れおんくんと僕が今どうなってるかね。」
カメラのシャッター音もなっていたからおそらく写真を送られている。
ラット状態になっている俺を見て、何を思った?
この扉を開くのが怖くて仕方ない。
それでも、開けなければいけない。何よりも緊張する瞬間だった。
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