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サプライズ

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「できた!!!」

机の上に並べた何種類もの料理とお義母さんが送ってくれたケーキ。
部屋には自室で少しずつ作っていた折り紙の飾りを飾りつけた。
プレゼントもリビングに持ってきていて、いつでも渡せるように万全だ。

料理はミートローフをメインにして、以前失敗してしまった肉じゃがに、サラダ、グラタンも作った。ネットでパーティー料理を調べてミートローフに合いそうなものを練習したんだ。肉じゃがはただ単にリベンジしたかっただけなんだけど。
いい匂いがするし、焦げも見当たらないからきっと成功してるはず。

れおんから帰宅の連絡も来たし、温かいご飯食べてもらえる。ケーキはお義母さんにお願いして大きいモンブランにしてもらったんだ。れおんが好きって言ってたから。

「早く帰ってこないかな~」

チクタクと時計の音がやたらと大きく聞こえ、1秒が何秒にも感じる。
時の流れがこんなにも遅いと感じたのは初めてで、はやくはやくと胸の内が騒ぐ。

でも、いくら待ってもれおんは帰ってこない。いつもは帰宅の連絡から20分ほどで帰ってくるのに、連絡が来てからもう1時間になる。

何かあったのだろうか。事故とか?何か危険なことに巻き込まれていたらどうしよう。

心配で仕方ない。村重さんに連絡してみる?いやでも、仕事のトラブルとかだったら連絡するの迷惑だよな。



・・・料理、冷めちゃったな。

落ち込むな。仕事かもしれない。れおんが帰ってきてくれればいいじゃないか。
どんなに考えても拭えない不安がどんどん大きくなっていく。

ニャーーー

僕の不安を察知したかのようにトトとココが僕のそばにいてくれる。
でも、それでも不安はなくならなくて怖くて怖くて次第に体が震えてきた。

どうしようもなくなって9時を過ぎた頃、村重さんに電話をしようかと思ったその時だった。

---ピロン

「え、、、、、?」

届いたメールの差出人は翔くん。

本文には文章と写真が添付されていた。



---僕たち運命の番の邪魔しないでね。

そこに写っていたのはラット状態になったれおんの写真。



気づいたら頭が痛くなるほど涙を流していて、気づいたら作った料理やケーキをゴミ箱に入れていて、頑張った飾り付けも、プレゼントも全部ゴミ箱に放り込んでいた。

翔くんからのメールを全部信じない方がいいなんてわかっている。でも、実際にれおんから連絡はないし僕には何が起こっているのか分からないからこの写真だけが事実なんだ。

「れおんの誕生日、終わっちゃった。」

時計の短い針は12を、長い針は4を示していた。
結局、今日1日れおんにおめでとうって直接言えなかった。


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