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理解できないもの

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「本当に大丈夫?」

「うん。大丈夫。」

れおんが少し遅く帰ってきた日、なんだか暗い顔をしていたから尋ねるとれおんの両親が僕に会いたがっているという話を聞いて、週末の今日会うことになった。

お母さんの記憶もうっすらとしかないから、親っていうものがあまり分かっていない僕。どんな感じでいればいいのかもわからない。

それよりも、お父さんって存在がより一層わからない。だから少し怖いけれど、れおんのお父さんとお母さんだし、会ってみたいって気持ちも、ある。



「いらっしゃい!!!!周くんね!!大きくなって!!幼稚園の時、話したことはなかったけれど、れおんが周が~周が~って言うから顔は知ってたのよ!!」

す、すごい勢いで、話してる、、え、どうしたらいい?

「え、えっと、、初めまして、れおんさんの番にしてもらいました、周です、」

「母さん、周がびっくりしてるじゃないか。リビングに行ってからちゃんと話そう。」

少し怖がっている僕に気づいているれおんは家の中なのにずっと手を繋いでくれている。
なんだか気まづいけれど、手を離すことはできない。安心するから。

「改めまして、南かりんです。れおんの母です。お母さんって呼んで欲しいな。」

「お、おかあさん、、、、、」

「僕はれおんの父だよ。お父さんって呼んでくれな。」

お父さんって言われた時、少しビクッとしてしまった。それに気づいたれおんが両親の前なのにぎゅっと抱きしめてきた。

「大丈夫、大丈夫だから。怖がらなくて大丈夫。俺の父さんだから。安心していいから。」

「・・・ごめん、、だ、大丈夫、、、」

くそっ、、、なんで、怖くなんてないはずなのに。

僕たちの前に誰かがしゃがみ込んだ気配がした。恐る恐るそちらを見ると、

「周くん、僕たちは周くんの家族だよ。れおんの番になったんだ。僕たちのこともれおんと同じくらい頼って欲しい。絶対に君に危害を与えないし、れおんと共に君を守ることを誓うよ。」

「周くん、れおんも洋輔も、もちろん私もあなたを守る。それにね、私は周くんと同じΩなの。Ωとしても先輩だからね、いろいろ教えられると思うわ。」

か、ぞく、、、、。


「か、ぞく、、、わからない、です。僕、よくわからない。」

「周、、、」

だってわからない。僕にとって父親は僕を道具として扱う人で、兄は僕を傷つける人で、、、家族だから頼るって何?

「いきなり信用しなくていい。家族になったばかりなんだ。一歩ずつ、進んだり戻ったりしながらだ。」

そう言って、れおんのお父さんは僕のことを抱きしめてくれた。

理由もなく涙が出た。
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