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両親 れおんside

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仕事中にもずっと周の姿が頭から離れない。乱れて俺を求める色っぽい顔やまだ少し傷の残っているが白くて綺麗な体、いつもより高くなる声もなにもかもを常々思い出してしまう。

これまで以上に周と離れるのが辛い。
これまで以上に周を囲い込みたい、俺の元から一歩も外に出したくないと独占欲が湧いてしまう。

早く帰りたい。

それしか思わない。



---プルルルッ

「はい。」

「坊っちゃま、森田でございます。お久しぶりでございます。」

森田は父さん付きの執事だ。南家の本邸にいる、俺の両親からの連絡だろう。
嫌な予感がする。

「奥さまがお呼びでございます。本日の業務終わりに一度本邸に来るようにと仰せ付かりました。」

「行きたくない。」

本邸に行ってから帰ったら周との時間が短くなる。絶対に嫌だ。

「そうは言われましても、旦那様からも仰せつかっておりますので。」

父さんからもなら、無理か。
行くしかない。

周に電話して謝り倒して、いつもなら周と電話した後は最高の気分になるのに今日はなかなか気分も上がらないまま業務を進め今、本邸の前に立っている。

ドアを開けて進むと走る足音が聞こえてきた。


「れおん!!!!」

「母さん、ただいま。」

南かりん、俺の母親だ。俺は一人っ子だからな、かなり溺愛されて育った。だから今回なんで呼び出されたのか想像はついている。

「もう!!!番契約をしたならなんですぐに言わないの!!周くんにも会いたいのに!!!」

ほら、やっぱり。

「周はまだ人に会うのが怖いんだ。それに、家族ってものにトラウマがあるのに母親や父親って存在に会わせてどうなるかわからないだろ。だから会わせてないんだよ。」

「報告ぐらいはちゃんとしなさい。仕事を始めてくれてるとはいえ、まだまだお前は子供なんだから。」

「・・父さん。ただいま。」

南洋輔、俺の父親。俺が、もっとも尊敬する人。今回の周の家族の断罪にも協力してくれた。

「周くんは?元気なの?村重から助け出した時はかなりひどい状態だったと聞いたわ。」

「今は元気だよ、でも、心は傷が見えないからどのぐらい治ったのかわからない。」

「なら余計にだな。近いうちに連れてきなさい。」

「・・・・・・」

「彼は私たちの家族になるんだ。お互いに会っておいて損はない。・・・お前のように図体のでかい息子だけでなく、可愛い感じの息子も欲しかったしな。」

「っ!!それが1番の目的だろ!!周は俺のだからな!!」

「いいじゃない!!あなたはあっという間に大人っぽくなっちゃったんだから!可愛い息子も欲しいわよ!!あ、孫も!!」

はぁ、この2人といるとペースを崩される。きっと俺は一生両親に勝てないんだよな。
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