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トーレムグレイグの日常
LV219 それぞれの旅立ち
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ヴィオラにトーレムグレイグ王から任務がきた。魔法国家ムジャールでは先導者『女王セレナス』没後、それぞれが王にならんとする権力者同士の抗争が激化。それにより、ムジャールの治安が急速に悪化している。
ヴィオラの任務はムジャールの治安を平定化し、トーレムグレイグ王とゴータスフール王が推薦する者を新しい王座に就かせる事である。
「ヴィオラ、気を付けて」
「うん、行ってきます」
早朝に旅立つヴィオラをフミヤは見送った。
そして、ベレッタはフミヤが冥界から帰ってきた直後から少し元気がなかったのだが、ヴィオラが旅立って数日経ったある日「用ができたから行ってくる」
とだけ言い、去って行った。普段から明るいベレッタまでもが、家からいなくなるとフミヤは少しだけ寂しさを覚えた。
ヤマダとサイトウは相も変わらず『モンペロ』で働いている。働き屋の二人はめったに仕事を休まない。そもそも魔物に休息という概念がないからである。オーナーのジンはそんな二人をとても気に入っている。
フミヤが最近一番話す機会が多いのが、モグ男である。魔物ながら人間味のあるモグ男を意外とフミヤは好きだった。
しばらく魔物達と過ごす日々が続いた後、『モンペロ』で働くフミヤの元に久々に親友が訪れた。
「いらっしゃいま……ドレンさん! お久しぶりです」
モコが笑顔で出迎える。
厨房をヤマダとサイトウに任せ、フミヤが作った料理を片手に持ちドレンが待つ客席につく。
「ドレン、久しぶり」
「本当に久しぶりだな」
ドレンは以前よりも少し逞しく見える。
「いろいろあったみたいだな」
「あーいろいろあった」
フミヤはモコを呼ぶ。
「モコ、ドレンにビアを……」
「お前は飲まないのか?」
「俺は勤務中だからな」
ドレンは右手にもっていたカバンを開け、取り出した物をテーブルに置いた。
「それより、これを見ろ」
「何それ?」
「ゴータスフールで見つけた『ベンの解錠』だ」
「おお、ベンさんのアイテム見つけたんだな」
「ああ」
「それよりお前は見つけたのかい?」
「えっ?」
「えっ?っておまえ、行ったんだろ? 『亡者の大森林』。そこにもベンさんのアイテムがあったハズだ」
「いや……行ってない」
「は?」
フミヤはドレンに魔王討伐の経緯を語った。(157話~参照)
「って事は魔王の城は粉々に?」
「そうなんだ……」
「魔王の城が一番有力だったのに残念だ。とりあえず探す対策を考えないといけないな」
「ごめん」
申し訳なさそうにするフミヤにドレンは「気にするな」と、一言優しい言葉をかける。
ドレンには仕事が終わるまで時間を潰してもらい、改めて家に招待しゆっくりと雑談した。ドレンのゴータスフールでの活躍、勇者レイモンドとのひと悶着、そして、『ベンの解錠』を手に入れたダンジョンの事……聞けば聞くほど興味の沸く話ばかりだったが。
「冥界って……お前、それはさすがに人の域を超えてるだろ?」
ドレンにとってはフミヤの話の方がより過激に感じているようだった。
お互いの話は尽きる事なく、夜明けまで続いた。
ヴィオラの任務はムジャールの治安を平定化し、トーレムグレイグ王とゴータスフール王が推薦する者を新しい王座に就かせる事である。
「ヴィオラ、気を付けて」
「うん、行ってきます」
早朝に旅立つヴィオラをフミヤは見送った。
そして、ベレッタはフミヤが冥界から帰ってきた直後から少し元気がなかったのだが、ヴィオラが旅立って数日経ったある日「用ができたから行ってくる」
とだけ言い、去って行った。普段から明るいベレッタまでもが、家からいなくなるとフミヤは少しだけ寂しさを覚えた。
ヤマダとサイトウは相も変わらず『モンペロ』で働いている。働き屋の二人はめったに仕事を休まない。そもそも魔物に休息という概念がないからである。オーナーのジンはそんな二人をとても気に入っている。
フミヤが最近一番話す機会が多いのが、モグ男である。魔物ながら人間味のあるモグ男を意外とフミヤは好きだった。
しばらく魔物達と過ごす日々が続いた後、『モンペロ』で働くフミヤの元に久々に親友が訪れた。
「いらっしゃいま……ドレンさん! お久しぶりです」
モコが笑顔で出迎える。
厨房をヤマダとサイトウに任せ、フミヤが作った料理を片手に持ちドレンが待つ客席につく。
「ドレン、久しぶり」
「本当に久しぶりだな」
ドレンは以前よりも少し逞しく見える。
「いろいろあったみたいだな」
「あーいろいろあった」
フミヤはモコを呼ぶ。
「モコ、ドレンにビアを……」
「お前は飲まないのか?」
「俺は勤務中だからな」
ドレンは右手にもっていたカバンを開け、取り出した物をテーブルに置いた。
「それより、これを見ろ」
「何それ?」
「ゴータスフールで見つけた『ベンの解錠』だ」
「おお、ベンさんのアイテム見つけたんだな」
「ああ」
「それよりお前は見つけたのかい?」
「えっ?」
「えっ?っておまえ、行ったんだろ? 『亡者の大森林』。そこにもベンさんのアイテムがあったハズだ」
「いや……行ってない」
「は?」
フミヤはドレンに魔王討伐の経緯を語った。(157話~参照)
「って事は魔王の城は粉々に?」
「そうなんだ……」
「魔王の城が一番有力だったのに残念だ。とりあえず探す対策を考えないといけないな」
「ごめん」
申し訳なさそうにするフミヤにドレンは「気にするな」と、一言優しい言葉をかける。
ドレンには仕事が終わるまで時間を潰してもらい、改めて家に招待しゆっくりと雑談した。ドレンのゴータスフールでの活躍、勇者レイモンドとのひと悶着、そして、『ベンの解錠』を手に入れたダンジョンの事……聞けば聞くほど興味の沸く話ばかりだったが。
「冥界って……お前、それはさすがに人の域を超えてるだろ?」
ドレンにとってはフミヤの話の方がより過激に感じているようだった。
お互いの話は尽きる事なく、夜明けまで続いた。
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