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決意のクリスマスデート①

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 ディナークルーズデートの日がやって来た。今日はクリスマスイブだ。
 純粋にクリスマスデートを楽しむだけなら、こんなに幸せな時間はないのに。
 私は今日、彼に重大な告白をしなくてはならない。

 街がキラキラとクリスマスらしくイルミネーションで煌めく中、出航場所の桟橋から桔平さんとクルーズ船に乗り込んだ。
 船内には大きなツリーが飾られていて、他のカップルも何組か来ていてツリーを眺めている。
 桟橋は水辺で寒かったので、あらかじめ暖房が効いていたのがすごく心地良い。
 案内されたのは、一番景色が綺麗に見える窓際のテーブルだった。
 なんてロマンチックなのだろう、とこの雰囲気に酔いしれてしまいそうだ。

「気に入ってくれた?」
「はい。もちろん」

 こんな素敵なデートを考えてくれた桔平さんに感謝だ。
 今日は車の運転があるから桔平さんは飲めないので、ふたりとも飲み物はノンアルコールで乾杯した。
 クリスマスディナーが運ばれてきて、それを堪能しつつも、窓から見える宝石箱のような景色が綺麗で、私はついそれに見入ってしまう。
「綺麗ですね」と私が言うと、桔平さんも満足そうな笑みを返してくれた。

「これ、クリスマスプレゼント。良かったら使って」

 桔平さんが私にオシャレな赤いペーパーバッグを、どうぞと手渡してくれた。

「ありがとうございます。見ていいですか?」

 中身を確認してみると、化粧水や美容液など、志田ケミカルブランドの基礎化粧品がラッピングされてたくさん入っていた。

「うちの商品で悪いんだけど、“麗(rei)”っていうブランドの新作なんだ。春に発売だから、まだどこにも売ってないやつ」
「桔平さんが手がけてるって言ってた例の?」
「手がけるって言っても、パッケージとか広告方法だけど」

 薄いピンクのパッケージが上品で春らしい。
 今度の“麗(rei)”は、ドレッサーや洗面の棚に並べて置けばふんわりと優しい花が咲いたようになる、そんな素敵なパッケージデザインだ。

「この容器の形もかわいいですね」
「美桜のこと考えていたらそういうのが浮かんで、俺が提案したんだ」

 社内でも評判がいいんだよ、と桔平さんが腕組みしながら照れくさそうに笑う。

「すごくうれしいです。大事に使わせてもらいますね」

 このラインナップをすべて自分で買い揃えようとしたらいくらかかるだろう。
 ハイブランドだから私のお給料ではなかなか買えないだろうな。
 それもありがたいけれど、私をイメージしたパッケージデザインだというのが、愛情を感じられてとてもうれしい。
 仕事をしているときも、普段の何気ない時間も、私を思ってくれていたのだと実感できるから。
 こんな素敵なプレゼントは桔平さんにしか出来ないと思う。

「私からも」

 私も用意していたプレゼントをバッグから出して桔平さんに渡すと、ありがとうと受け取ってくれた。

「ブレスレットなんですけど、好みじゃなかったらごめんなさい」

 女の子へのプレゼントならいくらでも思いつくのだけど、男性へのプレゼントとなると難しい。
 好みもあるし、そもそもそれを使うのだろうかとか、悩みに悩んだ。
 いろいろ迷った末に私はメンズブレスレットを選んだ。
 黒のレザーのものなら派手ではないし、金具がシルバーで桔平さんのイメージに合うものがあったからそれにした。

「俺にピッタリ」
「似合ってますね」
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