37 / 50
決意のクリスマスデート①
しおりを挟む
***
ディナークルーズデートの日がやって来た。今日はクリスマスイブだ。
純粋にクリスマスデートを楽しむだけなら、こんなに幸せな時間はないのに。
私は今日、彼に重大な告白をしなくてはならない。
街がキラキラとクリスマスらしくイルミネーションで煌めく中、出航場所の桟橋から桔平さんとクルーズ船に乗り込んだ。
船内には大きなツリーが飾られていて、他のカップルも何組か来ていてツリーを眺めている。
桟橋は水辺で寒かったので、あらかじめ暖房が効いていたのがすごく心地良い。
案内されたのは、一番景色が綺麗に見える窓際のテーブルだった。
なんてロマンチックなのだろう、とこの雰囲気に酔いしれてしまいそうだ。
「気に入ってくれた?」
「はい。もちろん」
こんな素敵なデートを考えてくれた桔平さんに感謝だ。
今日は車の運転があるから桔平さんは飲めないので、ふたりとも飲み物はノンアルコールで乾杯した。
クリスマスディナーが運ばれてきて、それを堪能しつつも、窓から見える宝石箱のような景色が綺麗で、私はついそれに見入ってしまう。
「綺麗ですね」と私が言うと、桔平さんも満足そうな笑みを返してくれた。
「これ、クリスマスプレゼント。良かったら使って」
桔平さんが私にオシャレな赤いペーパーバッグを、どうぞと手渡してくれた。
「ありがとうございます。見ていいですか?」
中身を確認してみると、化粧水や美容液など、志田ケミカルブランドの基礎化粧品がラッピングされてたくさん入っていた。
「うちの商品で悪いんだけど、“麗(rei)”っていうブランドの新作なんだ。春に発売だから、まだどこにも売ってないやつ」
「桔平さんが手がけてるって言ってた例の?」
「手がけるって言っても、パッケージとか広告方法だけど」
薄いピンクのパッケージが上品で春らしい。
今度の“麗(rei)”は、ドレッサーや洗面の棚に並べて置けばふんわりと優しい花が咲いたようになる、そんな素敵なパッケージデザインだ。
「この容器の形もかわいいですね」
「美桜のこと考えていたらそういうのが浮かんで、俺が提案したんだ」
社内でも評判がいいんだよ、と桔平さんが腕組みしながら照れくさそうに笑う。
「すごくうれしいです。大事に使わせてもらいますね」
このラインナップをすべて自分で買い揃えようとしたらいくらかかるだろう。
ハイブランドだから私のお給料ではなかなか買えないだろうな。
それもありがたいけれど、私をイメージしたパッケージデザインだというのが、愛情を感じられてとてもうれしい。
仕事をしているときも、普段の何気ない時間も、私を思ってくれていたのだと実感できるから。
こんな素敵なプレゼントは桔平さんにしか出来ないと思う。
「私からも」
私も用意していたプレゼントをバッグから出して桔平さんに渡すと、ありがとうと受け取ってくれた。
「ブレスレットなんですけど、好みじゃなかったらごめんなさい」
女の子へのプレゼントならいくらでも思いつくのだけど、男性へのプレゼントとなると難しい。
好みもあるし、そもそもそれを使うのだろうかとか、悩みに悩んだ。
いろいろ迷った末に私はメンズブレスレットを選んだ。
黒のレザーのものなら派手ではないし、金具がシルバーで桔平さんのイメージに合うものがあったからそれにした。
「俺にピッタリ」
「似合ってますね」
ディナークルーズデートの日がやって来た。今日はクリスマスイブだ。
純粋にクリスマスデートを楽しむだけなら、こんなに幸せな時間はないのに。
私は今日、彼に重大な告白をしなくてはならない。
街がキラキラとクリスマスらしくイルミネーションで煌めく中、出航場所の桟橋から桔平さんとクルーズ船に乗り込んだ。
船内には大きなツリーが飾られていて、他のカップルも何組か来ていてツリーを眺めている。
桟橋は水辺で寒かったので、あらかじめ暖房が効いていたのがすごく心地良い。
案内されたのは、一番景色が綺麗に見える窓際のテーブルだった。
なんてロマンチックなのだろう、とこの雰囲気に酔いしれてしまいそうだ。
「気に入ってくれた?」
「はい。もちろん」
こんな素敵なデートを考えてくれた桔平さんに感謝だ。
今日は車の運転があるから桔平さんは飲めないので、ふたりとも飲み物はノンアルコールで乾杯した。
クリスマスディナーが運ばれてきて、それを堪能しつつも、窓から見える宝石箱のような景色が綺麗で、私はついそれに見入ってしまう。
「綺麗ですね」と私が言うと、桔平さんも満足そうな笑みを返してくれた。
「これ、クリスマスプレゼント。良かったら使って」
桔平さんが私にオシャレな赤いペーパーバッグを、どうぞと手渡してくれた。
「ありがとうございます。見ていいですか?」
中身を確認してみると、化粧水や美容液など、志田ケミカルブランドの基礎化粧品がラッピングされてたくさん入っていた。
「うちの商品で悪いんだけど、“麗(rei)”っていうブランドの新作なんだ。春に発売だから、まだどこにも売ってないやつ」
「桔平さんが手がけてるって言ってた例の?」
「手がけるって言っても、パッケージとか広告方法だけど」
薄いピンクのパッケージが上品で春らしい。
今度の“麗(rei)”は、ドレッサーや洗面の棚に並べて置けばふんわりと優しい花が咲いたようになる、そんな素敵なパッケージデザインだ。
「この容器の形もかわいいですね」
「美桜のこと考えていたらそういうのが浮かんで、俺が提案したんだ」
社内でも評判がいいんだよ、と桔平さんが腕組みしながら照れくさそうに笑う。
「すごくうれしいです。大事に使わせてもらいますね」
このラインナップをすべて自分で買い揃えようとしたらいくらかかるだろう。
ハイブランドだから私のお給料ではなかなか買えないだろうな。
それもありがたいけれど、私をイメージしたパッケージデザインだというのが、愛情を感じられてとてもうれしい。
仕事をしているときも、普段の何気ない時間も、私を思ってくれていたのだと実感できるから。
こんな素敵なプレゼントは桔平さんにしか出来ないと思う。
「私からも」
私も用意していたプレゼントをバッグから出して桔平さんに渡すと、ありがとうと受け取ってくれた。
「ブレスレットなんですけど、好みじゃなかったらごめんなさい」
女の子へのプレゼントならいくらでも思いつくのだけど、男性へのプレゼントとなると難しい。
好みもあるし、そもそもそれを使うのだろうかとか、悩みに悩んだ。
いろいろ迷った末に私はメンズブレスレットを選んだ。
黒のレザーのものなら派手ではないし、金具がシルバーで桔平さんのイメージに合うものがあったからそれにした。
「俺にピッタリ」
「似合ってますね」
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
【完結】伯爵の愛は狂い咲く
白雨 音
恋愛
十八歳になったアリシアは、兄の友人男爵子息のエリックに告白され、婚約した。
実家の商家を手伝い、友人にも恵まれ、アリシアの人生は充実し、順風満帆だった。
だが、町のカーニバルの夜、それを脅かす出来事が起こった。
仮面の男が「見つけた、エリーズ!」と、アリシアに熱く口付けたのだ!
そこから、アリシアの運命の歯車は狂い始めていく。
両親からエリックとの婚約を解消し、年の離れた伯爵に嫁ぐ様に勧められてしまう。
「結婚は愛した人とします!」と抗うアリシアだが、運命は彼女を嘲笑い、
その渦に巻き込んでいくのだった…
アリシアを恋人の生まれ変わりと信じる伯爵の執愛。
異世界恋愛、短編:本編(アリシア視点)前日譚(ユーグ視点)
《完結しました》
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
【完結】婚約者を譲れと言うなら譲ります。私が欲しいのはアナタの婚約者なので。
海野凛久
恋愛
【書籍絶賛発売中】
クラリンス侯爵家の長女・マリーアンネは、幼いころから王太子の婚約者と定められ、育てられてきた。
しかしそんなある日、とあるパーティーで、妹から婚約者の地位を譲るように迫られる。
失意に打ちひしがれるかと思われたマリーアンネだったが――
これは、初恋を実らせようと奮闘する、とある令嬢の物語――。
※第14回恋愛小説大賞で特別賞頂きました!応援くださった皆様、ありがとうございました!
※主人公の名前を『マリ』から『マリーアンネ』へ変更しました。
セカンドラブ ー30歳目前に初めての彼が7年ぶりに現れてあの時よりちゃんと抱いてやるって⁉ 【完結】
remo
恋愛
橘 あおい、30歳目前。
干からびた生活が長すぎて、化石になりそう。このまま一生1人で生きていくのかな。
と思っていたら、
初めての相手に再会した。
柚木 紘弥。
忘れられない、初めての1度だけの彼。
【完結】ありがとうございました‼
愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。
離縁の脅威、恐怖の日々
月食ぱんな
恋愛
貴族同士は結婚して三年。二人の間に子が出来なければ離縁、もしくは夫が愛人を持つ事が許されている。そんな中、公爵家に嫁いで結婚四年目。二十歳になったリディアは子どもが出来す、離縁に怯えていた。夫であるフェリクスは昔と変わらず、リディアに優しく接してくれているように見える。けれど彼のちょっとした言動が、「完璧な妻ではない」と、まるで自分を責めているように思えてしまい、リディアはどんどん病んでいくのであった。題名はホラーですがほのぼのです。
※物語の設定上、不妊に悩む女性に対し、心無い発言に思われる部分もあるかと思います。フィクションだと割り切ってお読み頂けると幸いです。
※なろう様、ノベマ!様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる