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木材の長所と短所

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 地図上で確認していたようにその町はそれほど大きくなく、最低限必要なものが揃っているというような感じである。
 柵の中に入ってからわかったのだが街全体で林業をおこなっているらしい。あちらこちらで大きな木材を加工したり、運搬したりしている。倉野たちが歩いてきた草原とは反対側にこれから向かう森があり、そこから木を切り出しているのだろう。
 野営に必要な道具を購入するため店を探しながら歩いているとレオポルトが興味深そうに周囲を見回した。

「ふむ、職人の町という雰囲気だな」

 元々レオポルトは研究者でもある。新しいものを目にすると好奇心が刺激されるのだった。
 そんなレオポルトを見たリオネが首を傾げて話しかける。

「楽しそうですね、レオポルトさん。木に興味があるんですか?」
「ん? いや、木に興味があるわけではないが、ホロフジスタンは良質な木材を輸出することで有名なんだ。湿気にも衝撃にも強く加工もしやすい。これ以上ないほどの木材だという。良いものを見れば目が育つのだ、この機会に見ておこうと思ってな」

 レオポルトがそう答えるとリオネはさらに疑問を言葉にした。

「良質な木材ですか。私には違いなんてわからないですけど、最近は木材を使わない建築物が増えてきていますよね。使われなくなっていくんでしょうか?」
「どうだろうな。何事にも長所と短所がある。木にしかできないこともあるはずだ。それは人も同じだろう? 単純な力のぶつかり合いでワシがクラノに勝つことはできない。しかし、実際の戦いとなればどうなるかわからんぞ。ワシはこれまでの経験や学んできた策を全て使って抵抗するだろう。唾を吐きかけられるほど卑劣な策を巡らすかもしれん。実際の戦いでは負ければ死ぬ、唾を吐きかけれられて済むならば軽傷だ。それはワシに限ったことではない・・・・・・ワシらがこれから戦わなければならない相手はデュワール・オレンジ。世界中の歴史や情勢を知る者だ。ワシには考えつかないような策を持っているかもしれない。そろそろ気を引き締めなければならんな」

 そう言いながらレオポルトは眉間に皺を寄せる。
 彼の言う通りここから先は何が起こってもおかしくない。向かっている先にあるのはバレンドット。いわばデュワール・オレンジに有利なフィールドである。
 さらにデュワールはノエルを意のままに動かすことが可能だ。そこにどのような事情があるのか倉野たちは知らないが、大切な仲間が敵側に操られていることを忘れてはならないだろう。
 話を聞いていた倉野とレインは黙って頷いた。
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