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連載
魔法の組み合わせ
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倉野が考えている次の攻撃はイスベルグによる魔法である。倉野の言葉からそれを察したイスベルグは何か違和感を残しながらも了承した。
「魔法か・・・・・・まぁ、いいだろう。私に続き詠唱しろ」
イスベルグにそう言われた倉野は頷き右手を前に突き出す。そして頭の中に響く声を繰り返した。
「世界を創りし聖霊たちよ。我は望む、敵を凍らせ制圧しろ。絶対凍結」
絶対凍結の魔法は過去にも使用したことがある。目の前の敵を氷漬けにする魔法だ。発動すると倉野の右手から魔力が放出され、冷気が敵を包み込む。
魔法は問題なく発動し、魔力がブレッドに向けて放たれた。
「な・・・・・・どうして・・・・・・」
倉野は驚きの声を漏らす。
間違いなく発動したはずの絶対凍結。だが、魔力を食らったブレッドは全く影響を受けていなかった。
凍るどころか魔力など最初からなかったかのようにそこに立っている。
驚く倉野に対してイスベルグは分かっていたようにこう語った。
「やはりか。複雑な魔法を何重にも感じていたが魔法自体を無効にするとはな。魔力分解、魔法式崩壊、魔法耐性、反属性障壁展開・・・・・・魔力吸収もか」
「どういうことですか?」
倉野が問いかけるとイスベルグはいつになく真剣な声色で答える。
「あの兵器には大量の魔法が付与されている。先ほど話した衝撃吸収もそうだ。衝撃緩和の魔法が四つ、物理結界の魔法が二つ、自動修復の魔法が四つ、それらを組み合わせることで衝撃吸収という現象を起こしている。本来ならそれだけの魔法を同時に発動することはできないが、特殊な魔石を使うことで可能にしている」
「アルダリンさんから奪ったコアによって・・・・・・」
「ああ、そうだろうな。そして同じように魔力分解、魔法式崩壊、魔法耐性、反属性障壁展開、魔力吸収の魔法を組み合わせることによって全ての魔法を無効にしている」
そう語るイスベルグ。
つまりブレッドという巨大な兵器は物理攻撃も魔法による攻撃も受け付けないということだ。
人間よりも遥かに強力な魔法を使うドラゴンがそう言うのだから間違い無いだろう。
「それじゃあ、どうやってブレッドを破壊すれば・・・・・・」
倉野はそう言いながら目の前に聳え立つ絶望を見上げた。物理攻撃も魔法も通用しないのであれば破壊しようがない。
そんな倉野の絶望を察したのか紫コートの男が笑みを浮かべながらこう叫んだ。
「気づいたようだな! 神の怒りを前にした人間にできることなどないと!」
男の声が届くと同時にノエルが倉野に追いつき合流する。
「どういうことなの、クラノ」
「ノエルさん・・・・・・あの兵器・・・・・・ブレッドには物理攻撃も魔法も通用しないんです」
「そんな・・・・・・破壊することはできないってこと?」
ノエルに問いかけられた倉野は縋るようにイスベルグの名前を口にした。
「イスベルグさん・・・・・・」
「残念だが現時点であの兵器を破壊することはできない。だが、止めることはできるはずだ。考えろ、人間の強さはそこにあるはずだろう。クラノ、お前はそこで足を止めるのか。その程度の男だったのか? 心臓から血を巡らせ、脳からの信号で体を動かせ」
そう話すイスベルグは冷たく突き放すようでもあり、暖かく受け入れるようでもある。
「魔法か・・・・・・まぁ、いいだろう。私に続き詠唱しろ」
イスベルグにそう言われた倉野は頷き右手を前に突き出す。そして頭の中に響く声を繰り返した。
「世界を創りし聖霊たちよ。我は望む、敵を凍らせ制圧しろ。絶対凍結」
絶対凍結の魔法は過去にも使用したことがある。目の前の敵を氷漬けにする魔法だ。発動すると倉野の右手から魔力が放出され、冷気が敵を包み込む。
魔法は問題なく発動し、魔力がブレッドに向けて放たれた。
「な・・・・・・どうして・・・・・・」
倉野は驚きの声を漏らす。
間違いなく発動したはずの絶対凍結。だが、魔力を食らったブレッドは全く影響を受けていなかった。
凍るどころか魔力など最初からなかったかのようにそこに立っている。
驚く倉野に対してイスベルグは分かっていたようにこう語った。
「やはりか。複雑な魔法を何重にも感じていたが魔法自体を無効にするとはな。魔力分解、魔法式崩壊、魔法耐性、反属性障壁展開・・・・・・魔力吸収もか」
「どういうことですか?」
倉野が問いかけるとイスベルグはいつになく真剣な声色で答える。
「あの兵器には大量の魔法が付与されている。先ほど話した衝撃吸収もそうだ。衝撃緩和の魔法が四つ、物理結界の魔法が二つ、自動修復の魔法が四つ、それらを組み合わせることで衝撃吸収という現象を起こしている。本来ならそれだけの魔法を同時に発動することはできないが、特殊な魔石を使うことで可能にしている」
「アルダリンさんから奪ったコアによって・・・・・・」
「ああ、そうだろうな。そして同じように魔力分解、魔法式崩壊、魔法耐性、反属性障壁展開、魔力吸収の魔法を組み合わせることによって全ての魔法を無効にしている」
そう語るイスベルグ。
つまりブレッドという巨大な兵器は物理攻撃も魔法による攻撃も受け付けないということだ。
人間よりも遥かに強力な魔法を使うドラゴンがそう言うのだから間違い無いだろう。
「それじゃあ、どうやってブレッドを破壊すれば・・・・・・」
倉野はそう言いながら目の前に聳え立つ絶望を見上げた。物理攻撃も魔法も通用しないのであれば破壊しようがない。
そんな倉野の絶望を察したのか紫コートの男が笑みを浮かべながらこう叫んだ。
「気づいたようだな! 神の怒りを前にした人間にできることなどないと!」
男の声が届くと同時にノエルが倉野に追いつき合流する。
「どういうことなの、クラノ」
「ノエルさん・・・・・・あの兵器・・・・・・ブレッドには物理攻撃も魔法も通用しないんです」
「そんな・・・・・・破壊することはできないってこと?」
ノエルに問いかけられた倉野は縋るようにイスベルグの名前を口にした。
「イスベルグさん・・・・・・」
「残念だが現時点であの兵器を破壊することはできない。だが、止めることはできるはずだ。考えろ、人間の強さはそこにあるはずだろう。クラノ、お前はそこで足を止めるのか。その程度の男だったのか? 心臓から血を巡らせ、脳からの信号で体を動かせ」
そう話すイスベルグは冷たく突き放すようでもあり、暖かく受け入れるようでもある。
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