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探さないで下さい
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「探したぞ、レティシア!」
ドスドスと音がしそうな勢いでやってきたのは、何とエルネスト様でした。その後ろには縦ロールを靡かせた能面アネット様もくっ付いています。今更何の用だというのでしょう…
(…永遠に探さないで下さいな…)
そうは思いますが相手は腐っても王子、無視するわけにもいきません。全くこうも面倒事が重なるなんて、これはこれまでの幸運の代償だとでもいうのでしょうか…
「これは第三王子殿下にメルレ男爵令嬢、ごきげんよう」
「お前、どういうつもりだ?!」
仕方なく挨拶をしましたが、挨拶を返しもせずにエルネスト様が大声で問い詰めてきました。はぁ、その言葉、そっくりお返ししますわ。婚約破棄したのに、未だに呼び捨てとはどういうおつもりでしょうか。そうは思ってもそのまま言い返すのもマズいのですよねぇ…
「どういう事とは、一体何の事でしょう?」
「婚約の事に決まっているだろう!どうしてお前がアネットの元婚約者と婚約しているんだ?!」
ああ、そういう事ですか。確かにリシャール様はアネット様の婚約者でしたわね、すっかり忘れていましたわ。でも…
「私が誰と婚約しようと、殿下には何の関係もありませんが?私と殿下の婚約破棄は殿下有責で既に成立しておりますし、新しい婚約も国王陛下にも正式に裁可されていますわ。」
「なっ?」
「それよりも、私達は婚約を破棄したのですから名前で呼ぶのはお控え下さい。以前もそう申し上げましたよね?」
「あ…」
殿下の有責でというところを強調して差し上げると、どうやら少し冷静になられた様です。それにこの前言った事、一応覚えていらっしゃったのですね。それでこれですか…
「でもっ!リシャールは私の婚約者だったのよ。なのに…」
アネット様があり得ないと言わんばかりの声を上げましたが…う~ん、それを言ったらエルネスト様は私の婚約者だったのですが、その事はお忘れなのでしょうか?随分と都合のいい頭をお持ちのようです。
「メルレ男爵令嬢、貴女とリシャール様の婚約も貴女有責で既に破棄されていて、今は何の関係もありませんわ。婚約者でもない方の名前で呼ぶのはマナー違反ですわよ?」
「な…」
「ここは公式の場ですから言葉使いに注意しませんと。王妃様のお耳に入ったらお困りになるのはメルレ様ではありませんか?」
「なっ!」
「おい、レティシア!アネットを虐めるな!」
「虐めていませんわ。事実を申し上げているだけです」
全く、何でもかんでも虐めに繋げないで頂きたいですわね。そもそも絡んできたのはそちらですし、こちらとしては永遠に接触したくないのですよ?相手をしなければならないこちらの身にもなって欲しいですわね。
「や…やっぱりレティシア様は私を憎んでいらっしゃるのですわ!だ、だからその腹いせにリシャールを私から奪って…」
「ああ、アネット…何て優しいんだ…」
想定外すぎる言いがかりと、それに繋がるエルネスト様の態度が理解不明ですわ。リシャール様を奪ってって…元を正せば貴女が殿下と浮気したのが原因ですよね?何を被害者ぶっているのでしょうか…そして殿下、今のアネット様の発言をおかしいと思わないのですか?そんなアネット様を庇い優しいと評価するあなたの感性が、私には全く理解出来ないのですが…
(はぁ…この二人の頭の中、どうなっているの?)
ドスドスと音がしそうな勢いでやってきたのは、何とエルネスト様でした。その後ろには縦ロールを靡かせた能面アネット様もくっ付いています。今更何の用だというのでしょう…
(…永遠に探さないで下さいな…)
そうは思いますが相手は腐っても王子、無視するわけにもいきません。全くこうも面倒事が重なるなんて、これはこれまでの幸運の代償だとでもいうのでしょうか…
「これは第三王子殿下にメルレ男爵令嬢、ごきげんよう」
「お前、どういうつもりだ?!」
仕方なく挨拶をしましたが、挨拶を返しもせずにエルネスト様が大声で問い詰めてきました。はぁ、その言葉、そっくりお返ししますわ。婚約破棄したのに、未だに呼び捨てとはどういうおつもりでしょうか。そうは思ってもそのまま言い返すのもマズいのですよねぇ…
「どういう事とは、一体何の事でしょう?」
「婚約の事に決まっているだろう!どうしてお前がアネットの元婚約者と婚約しているんだ?!」
ああ、そういう事ですか。確かにリシャール様はアネット様の婚約者でしたわね、すっかり忘れていましたわ。でも…
「私が誰と婚約しようと、殿下には何の関係もありませんが?私と殿下の婚約破棄は殿下有責で既に成立しておりますし、新しい婚約も国王陛下にも正式に裁可されていますわ。」
「なっ?」
「それよりも、私達は婚約を破棄したのですから名前で呼ぶのはお控え下さい。以前もそう申し上げましたよね?」
「あ…」
殿下の有責でというところを強調して差し上げると、どうやら少し冷静になられた様です。それにこの前言った事、一応覚えていらっしゃったのですね。それでこれですか…
「でもっ!リシャールは私の婚約者だったのよ。なのに…」
アネット様があり得ないと言わんばかりの声を上げましたが…う~ん、それを言ったらエルネスト様は私の婚約者だったのですが、その事はお忘れなのでしょうか?随分と都合のいい頭をお持ちのようです。
「メルレ男爵令嬢、貴女とリシャール様の婚約も貴女有責で既に破棄されていて、今は何の関係もありませんわ。婚約者でもない方の名前で呼ぶのはマナー違反ですわよ?」
「な…」
「ここは公式の場ですから言葉使いに注意しませんと。王妃様のお耳に入ったらお困りになるのはメルレ様ではありませんか?」
「なっ!」
「おい、レティシア!アネットを虐めるな!」
「虐めていませんわ。事実を申し上げているだけです」
全く、何でもかんでも虐めに繋げないで頂きたいですわね。そもそも絡んできたのはそちらですし、こちらとしては永遠に接触したくないのですよ?相手をしなければならないこちらの身にもなって欲しいですわね。
「や…やっぱりレティシア様は私を憎んでいらっしゃるのですわ!だ、だからその腹いせにリシャールを私から奪って…」
「ああ、アネット…何て優しいんだ…」
想定外すぎる言いがかりと、それに繋がるエルネスト様の態度が理解不明ですわ。リシャール様を奪ってって…元を正せば貴女が殿下と浮気したのが原因ですよね?何を被害者ぶっているのでしょうか…そして殿下、今のアネット様の発言をおかしいと思わないのですか?そんなアネット様を庇い優しいと評価するあなたの感性が、私には全く理解出来ないのですが…
(はぁ…この二人の頭の中、どうなっているの?)
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