大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

待ち時間と緋眼

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「…くぁ………」
眠い。
ってーか暇。
今現在、九時半…かそれを少し回った程度。
アーネとニケが文句をぶーたれながら(主にアーネが)出て行って、やる事も話す相手もいない。ついでに言うなら学校からの矢文もまだ来ない。身体を拭いて綺麗にしたし、アーネの回復魔法も受けたあとだ。
正直、やることが無いし、昼にひと暴れしたし…つまりかなり眠い。
まぶたが今にも落ちて夢の国へ誘われそうで。
「………────、ぁッ」
危ねぇ危ねぇ。若干寝てた。
やることも無いし、さて。矢文が来るまで頭を動かさねば…。羊でも数えてれば頭、動くかね?
『今代の』
「誰だッ!?」
気配無し。咄嗟に頭と身体が跳ね起き、銀剣を右手に握る。臨戦態勢完了。
『落ち着け。ほら、俺だよ』
んー、んー…。んー?
あ。シャル?
なんか久しぶり?
『そうだよ。お前の教育係に任命されてアチコチ走り回ってたお疲れのシャルさんだよ』
最近いなかったけど、何かあったのか?
『ん、それについては教えるが…その前に一つ、お前に謝らなきゃならない』
おう、許してやる。
『…俺が何か言う前に許すってのは何か変じゃね?まぁ、有難いんだがな…』
で、謝る内容は?
『あぁ、お前が長いこと寝込んでた理由な?原因が俺…ってか俺達にあったみたいでな』
「うん?あれって怪我じゃ?」
おっと、声が。まぁ、誰が聞いてる訳でもないしいいか。
『それもある、んだが…今代の、お前ってまだ《緋眼》って開眼してなかったのか?』
緋眼んん?俺の二つ名じゃん。出てんじゃねーの?俺は認識出来ねぇけど。
『それはどんな状況で?』
確か、ほとんどは戦闘中か。一回、殺気ダダ漏れにして威圧した時になったらしいけど。
『気づかなかったって事は特に変化は無かったのか』
そうだよ。アーネに言われてから初めて知ったもん。
『そうか…』
んで、それがどうかしたのか?
『どうかする。ってか話の根幹を担ってるから』
「このただただ色変わるだけの目ん玉がぁ?」
『…その目はな、余分な情報をカットして、戦闘をより効率よく運用するための目だ。色が変わるのはそこに血が少しばかり集中するからだな。まぁ、超小規模な血界の一種…って言えるのかどうか微妙なレベルの弱い血界だ。…余談だが、血眼けつがんって血界は昔の勇者が血界の派生として編み出したから、それとの差別化のために緋眼なのな』
ほーん。それが?
『その眼が中途半端に発動していたらしくてな。こっちは発動していると思っていたが、お前には作用していない状態…つまり、いつも通りの余分な情報が入っていた訳だ。そこに大量の亡霊が押しかけた事と血界の連続使用。その辺りの整理のためにお前は丸五日も寝込んでたんだよ』
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