大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

文字の大きさ
上 下
92 / 2,022
本編

戦闘スタイルと鳥

しおりを挟む
「なぁなぁ?」
「なんだい?レィア?」
「ナタリって明らかに強いよな?」
しかも、対人戦でも対魔獣戦でも。
何というか、センスが段違いなんだよな。
今の芋虫だって、片っ端から中身を砕くっていう事してたし。
いや、打撃を中に通せとか無理難題言ったのは自分なんだが。
あー、倒してみてわかったけど、芋虫は合計十五匹。個別にカウントしてみると、アーネが三匹、ラウクムくんとクアイちゃんが二匹ずつで、自分は一匹。残りの七匹は全部ナタリさんが片付けた。
戦い方が結構独特なんだよな…。
戦技アーツを使わずに、純粋な技。それを使って倒していくという、異質な戦い方。
戦技アーツ使わないって、かなり大変じゃねぇの?」
「アタイからしたら、そんな戦技アーツとかをバカスカ使うアンタらの方が頭おかしいんだけどねぇ…」
呆れたツラされてもな…。
「アタイは戦技アーツを使わないって言うよりも、反動が大き過ぎるからあんまり使いたくないだけだよ。間に武器とかが挟んでないからね」
そういうナタリさんの手は、一応ナックルとでもいうのか?グローブ?わからんが、そんな感じの武器で覆われてんだが。
それでも軽減出来ない威力か…。
何気にこの人、一人で昨日の魔獣達をどうにか出来そうな気がする。
「ちょっと!貴女!手伝ってくださいまし!」
…そう言えば、今何してるか言うの忘れてたな。
今現在、『交戦中』だ。
あ?芋虫は終わったんだろってか?
芋虫が終わったら、それをエサにしてる鳥の魔獣が飛んできた。
なんだ?なんで芋虫狩ったら鳥の魔獣が来るかって?
知るか。
ナナキにでも聞いてくれ。
ほとんど出番のなかったラウクムくん、クアイちゃん、アーネに任せて、自分とナタリさんは休憩中。ナタリさん、体のあちこちをさすってんな。
「すまん、自分は今とんでもなく手強い化物と闘ってるんだ。そっちには加勢出来そうにない」
これ以上ないぐらいに真面目な声を出す。
「な、なんですの…?」
「睡魔」
「ほざいてんじゃないんですわよ!」
鳥の魔獣の方だけでなく、自分の方にも炎の槍が飛んできた。
「馬鹿野郎。死活問題だ。こちとら一睡もしてねぇんだよ。集中切らすと殺られるんだぞ」
あと、炎系の魔法、使うなって自分、言ったよな?
適当に拳ぐらいの大きさの石を髪で拾って、上空の鷲?鷹?それともありゃ鳶か?わからんが、鳥目掛けて思いっきり投げた。
投げた石は狙いを外さず、鳥の眉間にごすりと当たり、馬程の巨体が空から落ちてくる。
「ほら、これでラウクムくんとかが後はなんとかしてくれるだろ。文句あるか?」
アーネが口をパクパクさせる。あんな雑魚に三十分も時間かけてられねぇよ。馬鹿。
「…やっぱりアタイとしては、アンタの方がおかしいと思うんだけどねぇ…」
ラウクムくんの使う戦技アーツの破壊音をBGMにして、ナタリさんのそんな呟きが聞こえてきた。
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!


処理中です...