大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

文字の大きさ
上 下
93 / 2,022
本編

飯と馬頭

しおりを挟む
かなり遅れたが、さっきの鳥を切って、焼く。
えーと、木の葉の隙間から見える太陽の位置からすると…大体十一時ごろか。
腹も空くわけだ。朝食べてねぇから尚更な。
…ホント、この森に住んでた時から魔獣が食えるってことを知ってりゃ、あんなクソ不味い芋を食わなくて済んだのになぁ…。
まぁ、今更そんなことを言っても仕方ないんだが。
「ほら、こっちまだ焼けてねぇぞ」
「人をコンロ扱いしないでくださいまし!」
「黙れ。火力が上がると焦げる」
ムッキー!と声が上がるが、無視だ。
先程二回の戦闘で、ほとんど役に立たなかったテメェはここでぐらい役立てよ?
あと、なんか鳥の体の半分ぐらいが何故かごっそり無くなってる。多分コイツが先に食ったんじゃねえかと思ってる。
さて、これからどうするかな…。
………。
……。
…。
寝みぃ。
超絶寝みぃ。
しくじった…。寝てないという眠気の上に満腹まで食ったらそりゃ眠くなるわ。
でも、今寝たら不味い。
今現在、偶然出会ったナナキ達と合流して、今日も今日とて結界を突破してきた牛頭馬頭を探しに行っている真っ最中だから。
時間は昼を少しまわって、ちょうど昼寝するにもうってつけの時間。
しかも、そこそこ強い陽の光を、緑の森が程よく和らげてくれて、今にも寝れ。
……。
危ねぇ。少しオチてた。
歩きながらとか、魔獣探しながら寝るとか、自殺志願者じゃねぇか。
「ッ!あれっ…!」
四班の…槍を持った三つ編みの子が指を急に指した。
彼女をよく見ると、目が薄く緑に光ってる。
何かわからんが、『視る』ことに関してのスキルか。
指さした先を見ると丁度ぬっ、と木の影から牛頭が出てきた。
一気に張り詰める空気。
…あぁ?牛頭だけぇ?
そんな訳ない。どっかに馬頭がいるはず…。
「おい、そこの。お前じゃねぇ。お前。そう、そこの三つ編み。周りにどっか、馬頭はいねぇのか?」
「ひゃっ!え、その、…あれ?いません…」
なんでこっちから声かけただけで歯の音を軽く鳴らすんだよ。
ナナキも避難がましくこっちを見てやがる。何もしてねぇだろ。
「ナナキ、ちょっと周り見て、馬頭を探してくるわ。それまでに倒しといてくれ」
「あ!ちょっとレィア!」
返事は聞かないでダッシュ。
走らないと寝てしまいそうだから。
木の根に気をつけ、濡れた石をよけ、滑る泥を飛んでさける。
んん?どこにもいねぇな。
ナナキの人形は今日のために数減らしてるから、警戒網もちょっとばかり宛にならないらしいしな。
その分、村に多めに置いたらしいが。
おっ…と、いた。
結構アイツらと離れたから、大急ぎで戻って報告をするだけするか。
幸い、村の方でもなければ、森の外に向かってる訳でもないし。
そう思って、その場をあとにした。
しおりを挟む
1 / 2

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

種族統合 ~宝玉編~

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:481

まほカン

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:32

【完結】辺境の魔法使い この世界に翻弄される

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:94

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:78pt お気に入り:666

処理中です...