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第五章ー聖女と魔法使いとー

お出掛け①

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「それじゃあ、ハル殿、絶対に1人で行動しない事と、無理だけはしない事。分かったな?」


そう言って、パルヴァン様はパルヴァン領へと帰って行った。レオン様とカテリーナ様も一緒に。

『主、寂しいか?』

「んー…少し寂しいけど…。レフコースが居るし…ルナさんとリディさんも居るから大丈夫だよ?」

ギュッと、レフコースの首に抱き付いた私達を


「あー…本当に…、癒し以外の何物でもないですよね…」


と、邸に居る者達がホッコリ顔で見ていた。










ーその翌日ー



「やっぱり、ハル様には淡いブルーが似合いますね!」

今日は、調査はお休みの日。
最近は、薬師の服を着ていたので、ワンピースは久し振りだ。日本で言うと、二次会に行く時のような綺麗目のワンピース。胸の下でリボンでキュッと締めて、そこから下はユルフワで膝下迄ある。靴はヒールのない編み上げブーツ。髪型はいつもと違ってハーフアップにしている。そして─

「ハル様、そのネックレス、可愛いですね。よく似合ってます!」

「ふふっ、ありがとうございます。」

「ハル様、準備できましたか?」

ルナさんに手伝ってもらいながら用意をしていると、リディさんが部屋にやって来た。

「はい、用意はできましたよ?」

「なら良かったです。あのー…にいらっしゃって…」

「お迎え!?え?お城近くの公園で待ち合わせって…」

ーえ?私、勘違いしてた!?ー

「はい、そうらしいんですけど、何でも…時間があったからと…どうしますか?」

「どうって…いえ、勿論行きますけど!!─あれ?レフコース?」

今日も一緒に行こうと思っていたレフコースが居ない。そう言えば、私が用意を始めた頃から姿を見ていない気がする。

「レフコース殿なら、結構前に邸から出て行きましたよ?」

「えっ!?何で!?」

「何故かまでは分かりませんけど…。兎に角、玄関でお待ちですので、急ぎましょう!」

と、リディさんに言われて、急いで玄関へと向かった。










「カルザイン様、お待たせしてすみません。」

そう、パルヴァン邸に迎えに来たのは、エディオル=カルザイン様だった。



『んー…それじゃあ、お礼として…私のお願いをきいてもらおうかな?』



2日前、そう言ってお願いされた事は、カルザイン様のお母様の誕生日プレゼントを一緒に選んで欲しい─との事だった。そして、今日、街に行ってプレゼントを選びに行くんだけど…一緒に連れて行こうと思っていたレフコースが…見当たらないのだ。


「いや─。私の方こそ、急に邸迄迎えに来てしまってすまない。」

カルザイン様は、いつものビシッとした騎士服ではなく、黒色のトラウザーに、白のシャツでボタンを二つ外している。その上からベージュ色のカーディガンを羽織っている。

ー流石攻略対象者…シンプルな服装なのに高貴さが失われていませんー

「…ハル殿は、淡い水色がよく似合うな。それに…」

カルザイン様が自身の胸をトンと叩き、

「そのネックレスも…似合っている。」

と、嬉しそうに笑った。

そう、私が着けているネックレスは、カルザイン様とダルシニアン様から貰った物だ。

「あのー、このネックレス、ありがとうございます。私、かすみ草が好きなので、とっても嬉しかったです。」

「ハル殿の庭に咲いていたのを知っていたから、好きなのかと思って。間違ってなくて良かった。」

と、フワリと優しく微笑むカルザイン様。

その優しい笑顔にはまだ少し慣れないけど、心が温かくなるようで、私も自然と笑顔になる。

「あのー…レフコースが居ないんですけど…私だけでも良いですか?」

と、取り敢えずカルザイン様に訊くと、カルザイン様は一瞬キョトンとした後─

「…それは全然…構わない。」

ーえ?そうなの?私と2人だけで大丈夫なの?ー

チラリとルナさんとリディさんを見てみると─
何だか子供を見守るような…お母さんみたいな顔をしている。

ーえっと…これは…2人だけで出掛けても大丈夫って事で…良いのかな?ー

と、心の中で思ってた筈なのに、何故かルナさんとリディさんに頷かれた。

ー最近、皆、私の心を読め過ぎではありませんか?ー

「じゃあ、ハル殿、今日は宜しく頼む。」

そう言って、スッと出された左腕。

ー知ってます。…エスコートですよね!?ー

いや…出掛けるだけなんだから…エスコートは要らないのでは?と、カルザイン様を窺い見ると…

「ん?」

と、爽やかな笑顔で首を傾げられた。

ーくぅっ…この仕草に弱い…んだよねー

ソロソロと、差し出されたカルザイン様の左腕に、私の右手を添えると、カルザイン様は更に微笑んだ。

ーうぅ…その笑顔…心臓が痛いですー

1人、脳内で呻いていると、ロンさんがスッとカルザイン様に近付いて、何かを耳打ちする。

「グレン様からの伝言です。」

と、ニッコリ笑顔のロンさん。

「分かっている─。」

と、こちらもニッコリ笑顔のカルザイン様。




ー背中がゾワッとするのは…気のせいですか?ー



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