32 / 203
第二章ー浄化の旅と帰還ー
帰還②
しおりを挟む
*本日2話目です*
帰還日当日の朝は雨だった。
いつも通りにサエラさんが私の部屋にやって来て、私の着替えのお手伝いをしてくれる。
いつもと違う事と言えば…今日、私が着る服が、日本の服と言う事だ。学祭の準備でバタバタしていたので、上がグレーのニットのアンサンブルに、下はデニムのズボンだった。
「ハル様の世界では、女性でも普通にズボンを履くのですね。」
「そうですね。それに、私はスカートよりズボンの方が動きやすくて好きなんです。」
「……」
あまり会話が続かず、そのまま俯いてしまったサエラさんの両手をそっと握る。
「サエラさん、あの時サエラさんが来てくれなかったら…私の側に居てくれなかったら、私は壊れてしまっていたと思います。サエラさんの優しさに救われました。そんなサエラさんが、私は…大好きです。今日迄…本当にありがとうございました。」
「ーっ…ハル様っ…」
涙を流すサエラさん。私なんかの為に泣くサエラさん。この世界でのお母さんみたいな…サエラさん。私はそっとサエラさんに抱きついた。
私達がこの世界に召喚された場所は、王宮敷地内にある神殿だった。
その神殿から王宮迄の馬車は、私とミヤさん、ショウさんとフジさんと別れて乗り込んだが、今日は4人一緒に同じ馬車に乗り込んだ。
「馬車に乗るのも、これで最後だね。」
「そう思うと…少し寂しいね?」
「私は彼の運転する車の方が良いわ。」
「ふふっ。フジさん、ご馳走さまです。」
そんな話をしているうちに、馬車が静かに止まった。神殿に到着したのだ。
馬車の扉が開くと、またそこに王太子様が居た。
「これで最後だから…」
と、ミヤさんに対する気持ちを隠す事もせずに、ミヤさんに手を差し出す。
「ふふっ。そうですね。」
と、ミヤさんは笑いながら王太子様の手を取って馬車から降りて行った。
その後を、カルザイン様がフジさんを。
それから見慣れない人がショウさんをエスコートして行った。
「?あれ、誰だろう?」
と気にはなったけど、どうせもう会う事ないよねー何て思いながら馬車から降りようとすると
「お嬢さん、お手をどうぞ?」
「へっ?」
そこには、キラキラスマイルのダルシニアン様が居た。
ー何だろう…やっぱりこの人の笑顔って…綺麗だけど…ちょっと怖い?よね??ー
それでも、ダルシニアン様ともこれで最後。ニコリと笑って、私もダルシニアン様の手を取った。
4人がエスコートされながら、続いて神殿内に入り、そのまま奥へと進んで行く。
ーやっと…還れるんだー
帰還日当日の朝は雨だった。
いつも通りにサエラさんが私の部屋にやって来て、私の着替えのお手伝いをしてくれる。
いつもと違う事と言えば…今日、私が着る服が、日本の服と言う事だ。学祭の準備でバタバタしていたので、上がグレーのニットのアンサンブルに、下はデニムのズボンだった。
「ハル様の世界では、女性でも普通にズボンを履くのですね。」
「そうですね。それに、私はスカートよりズボンの方が動きやすくて好きなんです。」
「……」
あまり会話が続かず、そのまま俯いてしまったサエラさんの両手をそっと握る。
「サエラさん、あの時サエラさんが来てくれなかったら…私の側に居てくれなかったら、私は壊れてしまっていたと思います。サエラさんの優しさに救われました。そんなサエラさんが、私は…大好きです。今日迄…本当にありがとうございました。」
「ーっ…ハル様っ…」
涙を流すサエラさん。私なんかの為に泣くサエラさん。この世界でのお母さんみたいな…サエラさん。私はそっとサエラさんに抱きついた。
私達がこの世界に召喚された場所は、王宮敷地内にある神殿だった。
その神殿から王宮迄の馬車は、私とミヤさん、ショウさんとフジさんと別れて乗り込んだが、今日は4人一緒に同じ馬車に乗り込んだ。
「馬車に乗るのも、これで最後だね。」
「そう思うと…少し寂しいね?」
「私は彼の運転する車の方が良いわ。」
「ふふっ。フジさん、ご馳走さまです。」
そんな話をしているうちに、馬車が静かに止まった。神殿に到着したのだ。
馬車の扉が開くと、またそこに王太子様が居た。
「これで最後だから…」
と、ミヤさんに対する気持ちを隠す事もせずに、ミヤさんに手を差し出す。
「ふふっ。そうですね。」
と、ミヤさんは笑いながら王太子様の手を取って馬車から降りて行った。
その後を、カルザイン様がフジさんを。
それから見慣れない人がショウさんをエスコートして行った。
「?あれ、誰だろう?」
と気にはなったけど、どうせもう会う事ないよねー何て思いながら馬車から降りようとすると
「お嬢さん、お手をどうぞ?」
「へっ?」
そこには、キラキラスマイルのダルシニアン様が居た。
ー何だろう…やっぱりこの人の笑顔って…綺麗だけど…ちょっと怖い?よね??ー
それでも、ダルシニアン様ともこれで最後。ニコリと笑って、私もダルシニアン様の手を取った。
4人がエスコートされながら、続いて神殿内に入り、そのまま奥へと進んで行く。
ーやっと…還れるんだー
応援ありがとうございます!
40
お気に入りに追加
2,270
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる