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第二章ー浄化の旅と帰還ー
帰城①
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*本日も、2話投稿予定です*
森の浄化が終了した翌日は休養日にあてられ、その翌日は王都帰還への準備にあてられ、その翌日にパルヴァン辺境地を出立する事になった。
「グレン様、今回は本当にありがとうございました。あなたのお陰で、私達は誰1人欠ける事無く帰路に就く事ができました。」
王都へ帰還する日、ダルシニアン様がパルヴァン様にお礼を告げる。
「いや…我々の方こそ助かった。森は完璧に浄化されたし…私も…こうして動けるようになった。王都までの道程、気を付けられよ。」
パルヴァン様も、それに笑顔で答えた。
そんな様子を後ろの方で見守っていると
「ハル殿」
「シルヴィア様?」
シルヴィア様が私の横までやって来た。
「ハル殿は、元の世界に還るのだろう?これで最後だろうから…これを…」
そう言って、シルヴィア様が私に渡して来たのは小さな箱に入ったピアスだった。
「これは、パルヴァンの地でしか採れない魔石でできたピアスなんだ。ハル殿の世界では不要の物かもしれないが、“魔除け”が掛けられている。グレンを助けてもらったお礼に…もらって欲しい。」
その魔石は、光の当たり具合でオパールの様にいろんな色に光って見える不思議な石だった。
何だか申し訳無いような気もしたけど。断るのも失礼かと思って、素直に受け取る。
「シルヴィア様、ありがとうございます。」
「いや、こちらこそ…だよ。じゃあ、気を付けて…元気で…」
シルヴィア様との挨拶が終ったのと、ダルシニアン様達の挨拶が終ったのが同じタイミングだったようで、各々が馬に跨がったり馬車に乗り込んで行く。
「ハルー、こっちよ!」
ミヤさんが馬車の前で私を待っていてくれていた。
「はい!」
そこまで小走りで駆け寄り、ミヤさんに続いて馬車に乗り込んだ。
パルヴァン辺境地から王都迄は、ゆっくり工程で、一週間掛けて帰る。なんでも、“聖女様労いの旅”らしい、有名所の領地で休養したり観光したりと…
うん。コレ多分、騎士様達と交流を図ろうって事なんじゃないかな?お姉さん達は恐らく…いや、絶対靡かないと思うけど…。お互い最後に良い思い出が出来れば…良いなと思う。
お姉さん達は、入れ替わり立ち代わりで色んな騎士様達に、常に囲まれながら移動している。
ー流石は…ヒロインだなぁー
と、遠目から窺っています。
「ハルは、あそこに入っていなくていいの?」
と、ミリリーナさんが訊いて来る。
「え!?そんなの、絶対嫌ですよ!」
「ふふっ。そんなに全力で拒否らなくても…冗談よ。」
確かに、男性恐怖症は殆ど落ち着いたと思うけど、囲まれたいとは思わない。
「薬師殿!」
「あ、クッキーの騎士様。」
「ははっ、クッキーって…」
と苦笑しながら、またあの時の騎士様が私に声を掛けて来た。
「どうしました?まさか…何かポーションが必要とか?」
首を傾げながら騎士様を見るが…
ーうん。怪我なんかは無さそうー
「ぶっ…」
と、私の横に居たミリリーナさんが吹き出した。
「?ミリリーナさん、どうしたんですか?」
「ううん、な…何でもないわ…っ…あー…私、婚約者に買って帰るお土産でも見て来るわ。」
「えっ!?それ、私も一緒にー」
「ハルは、その騎士様の相手でもしてて?」
ーうえぇぇー!?何で!?騎士様の相手!?ー
内心慌てている私を無視して、ミリリーナさんは立ち去って行った。
えっと…どうしようかなぁ?相手してって言われてもなぁ…いや、この騎士様も迷惑な話だろう…と、うんうん唸っていると
「あー…何か食べに行く?」
「へっ?」
「あー…いや…迷惑じゃなかったら…少し話し相手になってくれる?」
その騎士様は、申し訳なさそうな顔をしながら訊いて来た。
「いえ…逆に、私なんか押し付けられて、申し訳無いなと思って…。でも、私で良ければ…。」
「ははっ。なんかじゃないよ?薬師殿が話し相手になってくれて、嬉しいよ?」
ーおぉー…イケメンはモブにも優しいんですね?ありがとうございますー
「あ、改めまして。私、薬師として同行させてもらった“ハル”です。えっと…多分…短い間となると思いますが、宜しくお願いします。って…今更ですけど…ん?何だかよく分からない挨拶になってすみません?」
何だか言っててよく分からない挨拶になってしまったなぁ…と、変な汗が出て来た…。
「…ははっ…薬師殿って…カワ……んんっ…面白い人だね…ふっ…」
笑いを堪えようとして…堪えきれてませんからね?恥ずかしい…。
「あ、俺はステファン=オーブリー。短い間だけど…ヨロシク。」
オーブリー様は、伯爵家の次男らしい。25歳。時が止まっているお姉さん達と同じ年だ。イケメンさんだし…この騎士様も、お姉さん達の攻略対象者だと言われてもおかしくない。
まぁ、お姉さん達自体が乙女ゲームを放棄してるけど…。
「ハル殿は…城で開かれる最後の夜会には…参加するの?」
「いえ…お姉さ…聖女様達からは勿論、ベラトリス王女様からも…薬師として…と声を掛けて頂いたんですけど…。どうも、きらびやかな所は苦手で…。参加は…しないと思います。」
「…そっか…」
と、困った顔をした後
「それは…残念だ…」
オーブリー様は何か囁いたが、声が小さくて聞こえなかった。
森の浄化が終了した翌日は休養日にあてられ、その翌日は王都帰還への準備にあてられ、その翌日にパルヴァン辺境地を出立する事になった。
「グレン様、今回は本当にありがとうございました。あなたのお陰で、私達は誰1人欠ける事無く帰路に就く事ができました。」
王都へ帰還する日、ダルシニアン様がパルヴァン様にお礼を告げる。
「いや…我々の方こそ助かった。森は完璧に浄化されたし…私も…こうして動けるようになった。王都までの道程、気を付けられよ。」
パルヴァン様も、それに笑顔で答えた。
そんな様子を後ろの方で見守っていると
「ハル殿」
「シルヴィア様?」
シルヴィア様が私の横までやって来た。
「ハル殿は、元の世界に還るのだろう?これで最後だろうから…これを…」
そう言って、シルヴィア様が私に渡して来たのは小さな箱に入ったピアスだった。
「これは、パルヴァンの地でしか採れない魔石でできたピアスなんだ。ハル殿の世界では不要の物かもしれないが、“魔除け”が掛けられている。グレンを助けてもらったお礼に…もらって欲しい。」
その魔石は、光の当たり具合でオパールの様にいろんな色に光って見える不思議な石だった。
何だか申し訳無いような気もしたけど。断るのも失礼かと思って、素直に受け取る。
「シルヴィア様、ありがとうございます。」
「いや、こちらこそ…だよ。じゃあ、気を付けて…元気で…」
シルヴィア様との挨拶が終ったのと、ダルシニアン様達の挨拶が終ったのが同じタイミングだったようで、各々が馬に跨がったり馬車に乗り込んで行く。
「ハルー、こっちよ!」
ミヤさんが馬車の前で私を待っていてくれていた。
「はい!」
そこまで小走りで駆け寄り、ミヤさんに続いて馬車に乗り込んだ。
パルヴァン辺境地から王都迄は、ゆっくり工程で、一週間掛けて帰る。なんでも、“聖女様労いの旅”らしい、有名所の領地で休養したり観光したりと…
うん。コレ多分、騎士様達と交流を図ろうって事なんじゃないかな?お姉さん達は恐らく…いや、絶対靡かないと思うけど…。お互い最後に良い思い出が出来れば…良いなと思う。
お姉さん達は、入れ替わり立ち代わりで色んな騎士様達に、常に囲まれながら移動している。
ー流石は…ヒロインだなぁー
と、遠目から窺っています。
「ハルは、あそこに入っていなくていいの?」
と、ミリリーナさんが訊いて来る。
「え!?そんなの、絶対嫌ですよ!」
「ふふっ。そんなに全力で拒否らなくても…冗談よ。」
確かに、男性恐怖症は殆ど落ち着いたと思うけど、囲まれたいとは思わない。
「薬師殿!」
「あ、クッキーの騎士様。」
「ははっ、クッキーって…」
と苦笑しながら、またあの時の騎士様が私に声を掛けて来た。
「どうしました?まさか…何かポーションが必要とか?」
首を傾げながら騎士様を見るが…
ーうん。怪我なんかは無さそうー
「ぶっ…」
と、私の横に居たミリリーナさんが吹き出した。
「?ミリリーナさん、どうしたんですか?」
「ううん、な…何でもないわ…っ…あー…私、婚約者に買って帰るお土産でも見て来るわ。」
「えっ!?それ、私も一緒にー」
「ハルは、その騎士様の相手でもしてて?」
ーうえぇぇー!?何で!?騎士様の相手!?ー
内心慌てている私を無視して、ミリリーナさんは立ち去って行った。
えっと…どうしようかなぁ?相手してって言われてもなぁ…いや、この騎士様も迷惑な話だろう…と、うんうん唸っていると
「あー…何か食べに行く?」
「へっ?」
「あー…いや…迷惑じゃなかったら…少し話し相手になってくれる?」
その騎士様は、申し訳なさそうな顔をしながら訊いて来た。
「いえ…逆に、私なんか押し付けられて、申し訳無いなと思って…。でも、私で良ければ…。」
「ははっ。なんかじゃないよ?薬師殿が話し相手になってくれて、嬉しいよ?」
ーおぉー…イケメンはモブにも優しいんですね?ありがとうございますー
「あ、改めまして。私、薬師として同行させてもらった“ハル”です。えっと…多分…短い間となると思いますが、宜しくお願いします。って…今更ですけど…ん?何だかよく分からない挨拶になってすみません?」
何だか言っててよく分からない挨拶になってしまったなぁ…と、変な汗が出て来た…。
「…ははっ…薬師殿って…カワ……んんっ…面白い人だね…ふっ…」
笑いを堪えようとして…堪えきれてませんからね?恥ずかしい…。
「あ、俺はステファン=オーブリー。短い間だけど…ヨロシク。」
オーブリー様は、伯爵家の次男らしい。25歳。時が止まっているお姉さん達と同じ年だ。イケメンさんだし…この騎士様も、お姉さん達の攻略対象者だと言われてもおかしくない。
まぁ、お姉さん達自体が乙女ゲームを放棄してるけど…。
「ハル殿は…城で開かれる最後の夜会には…参加するの?」
「いえ…お姉さ…聖女様達からは勿論、ベラトリス王女様からも…薬師として…と声を掛けて頂いたんですけど…。どうも、きらびやかな所は苦手で…。参加は…しないと思います。」
「…そっか…」
と、困った顔をした後
「それは…残念だ…」
オーブリー様は何か囁いたが、声が小さくて聞こえなかった。
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