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第二章ー浄化の旅と帰還ー
浄化終了
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*本日、2話目の投稿です*
フェンリルを拘束した日は、邸内はフェンリルの扱いや事後処理等で、騎士様達が慌ただしく行き来していた。
私も、あれから何とか持ち直し、今はパルヴァン様の様子を診に来ている。
「薬師殿、今入っても大丈夫かな?」
ドアの外から、シルヴィア様が声を掛けてきた。
「シルヴィア様、どうぞ入って下さい。」
シルヴィア様は部屋に入って来ると、ベッドで寝ているパルヴァン様の頬を軽く撫でた後私を振り返った。
「薬師殿、グレンの事…本当にありがとう。もう…覚悟もしていたし、駄目だと思ったけど…やっぱり、生きていてくれるのは…嬉しい。本当に、ありがとう。」
「いえ…たまたま質の良いポーションを持っていただけで、後は、パルヴァン様本人の生きたいと言う意思のお陰だったと思いますよ?」
シルヴィア様は暫くの間、私を見据えた後
「ふっ…そう言う事に…しておこう。取り敢えず…ありがとう。」
シルヴィア様は、花が綻ぶ様に笑った。
「ハル!大丈夫だった!?」
その日、お姉さん達が穢れを浄化し終え帰って来たのは日が暮れてからだった。私もパルヴァン様の治療があったので、邸に居る人達が寝静まった頃、こっそりとお姉さん達の部屋へとやって来たのだ。
「はい。流石にフェンリルと対面した時は、もう駄目かもと思ったけど…カルザイン様とダルシニアン様に助けてもらいました。」
「ダルシニアン様から話は聞いてたけど…本当に、あの2人が間に合って良かった!」
そう言って、フジさんにギュウギュウと抱き締められました。
「お姉さん達も…無事で良かった…です…」
私も、泣きそうになるのを誤魔化すように、ギュウッとフジさんにしがみついた。
「ハルがくれた、このブレスレットのお陰なのよ」
なんでも、フェンリルが現れた瞬間氷魔法の攻撃を受けたそうだが、ブレスレットに掛けていた“護り”の魔法が発動してお姉さん達は無事だったらしい。その後も、フェンリルと対峙している間は、ずっと“守り”の魔法が展開されたままだったそうだ。
そう言えば…
『あぁ…聖女様達は…大丈夫ですよ。何故か…不思議な力で護られているみたいですから…。じゃあ、これで。』
と、ダルシニアン様が言ってたなぁ…。私がと言う事には気付いて無いと思うけど…
「ひょっとして、ダルシニアン様は何か…気付いている感じ…なんですか?」
「どうかな…ハルがとは思ってないと思うけど、あの護りの魔力の強さには驚いていたと思う。」
「まぁ…気付いてるか気付いていないかは分からないけど、フェンリルの事でバタバタしてるから、今すぐ何かあるって事はないと思う。兎に角、あの森の浄化も後少しで終るから、このまま乗り切るしかないわ。早く終わらせて…帰ろう。」
「そうね。ハルも、あまりダルシニアン様には近付かないようにね。あの人…結構鋭いし…魔導師としての腕は…師団長である父親以上かもしれないわ。」
確かに、あのフェンリルに掛けた魔法陣は凄かった。感覚でしか分からないけど、あんな大きな魔法を展開させたのに、息一つ乱していなかった。
「…お姫様抱っこ…」
されたけど…
「お姫様抱っこ!?」
思わず口から出た言葉に、フジさんが食い付いてきた。
「あの…お姫様抱っこって、乙女ゲームのあるあるなんですか?」
「何ソレ!?」
「はい、ソレ詳しく話そうか!?」
ミヤさんとショウさんが更に食い付いて来て、質の良いポーションを飲みなが私の話しに耳を傾けた。
フェンリルを拘束してから二週間。
パルヴァン辺境地に来てから1ヶ月。
完璧ハイスペ聖女3人組はやりました。やりきりました。
「まさか、この森を1ヶ月で浄化し終えるとは…。」
ダルシニアン様の顔が、心なしかひきつっているのは…気のせい…と言う事にしておきましょう。
パルヴァン様も、ようやくベッドの住人から抜け出し、数日もすれば軽い運動を始める事ができそうだ。
そして、今日は、浄化終了と言う事で、パルヴァン邸で宴会をする事になった。
「ハル殿、隣、良いか?」
と言いながら、宴会の途中でパルヴァン様が私の横の椅子に座った。
「パルヴァン様、体調は大丈夫ですか?まだ本調子ではないと思うので、お酒は控え目にお願いしますね。」
「あぁ…分かった。」
ニカッと豪快に笑った後、スッと表情を引き締めて
「本当に、今回の事は礼を言っても言い尽くせないし、返せる恩すら無い。ハル殿達は…元の世界に還るんだろう?もし、還らないなら、どんな事をしてでも恩を返すところなんだが…。」
「ふふっ。そんな、返してもらわなくても良いですよ。私は…パルヴァン様が元気になって、シルヴィア様が笑ってくれるだけで、充分ですから。」
「そうか…ありがとう。」
それから少し、パルヴァン様と話した後、パルヴァン様は騎士様達の所へと戻って行った。
隅っこに陣取っている私は、大勢の人達が楽しそうに飲み食いしているのを眺める。
お姉さん達は、騎士様達に囲まれていた。
ーうん。この構図だけを見れば、乙女ゲームに見えない事も…ないかなぁ?ー
「ふふっ…」
やっとだ。これで、やっと日本に還れるんだ。
フワフワとした気持ちで、私は1人、手にしていたジュースを飲み干した。
フェンリルを拘束した日は、邸内はフェンリルの扱いや事後処理等で、騎士様達が慌ただしく行き来していた。
私も、あれから何とか持ち直し、今はパルヴァン様の様子を診に来ている。
「薬師殿、今入っても大丈夫かな?」
ドアの外から、シルヴィア様が声を掛けてきた。
「シルヴィア様、どうぞ入って下さい。」
シルヴィア様は部屋に入って来ると、ベッドで寝ているパルヴァン様の頬を軽く撫でた後私を振り返った。
「薬師殿、グレンの事…本当にありがとう。もう…覚悟もしていたし、駄目だと思ったけど…やっぱり、生きていてくれるのは…嬉しい。本当に、ありがとう。」
「いえ…たまたま質の良いポーションを持っていただけで、後は、パルヴァン様本人の生きたいと言う意思のお陰だったと思いますよ?」
シルヴィア様は暫くの間、私を見据えた後
「ふっ…そう言う事に…しておこう。取り敢えず…ありがとう。」
シルヴィア様は、花が綻ぶ様に笑った。
「ハル!大丈夫だった!?」
その日、お姉さん達が穢れを浄化し終え帰って来たのは日が暮れてからだった。私もパルヴァン様の治療があったので、邸に居る人達が寝静まった頃、こっそりとお姉さん達の部屋へとやって来たのだ。
「はい。流石にフェンリルと対面した時は、もう駄目かもと思ったけど…カルザイン様とダルシニアン様に助けてもらいました。」
「ダルシニアン様から話は聞いてたけど…本当に、あの2人が間に合って良かった!」
そう言って、フジさんにギュウギュウと抱き締められました。
「お姉さん達も…無事で良かった…です…」
私も、泣きそうになるのを誤魔化すように、ギュウッとフジさんにしがみついた。
「ハルがくれた、このブレスレットのお陰なのよ」
なんでも、フェンリルが現れた瞬間氷魔法の攻撃を受けたそうだが、ブレスレットに掛けていた“護り”の魔法が発動してお姉さん達は無事だったらしい。その後も、フェンリルと対峙している間は、ずっと“守り”の魔法が展開されたままだったそうだ。
そう言えば…
『あぁ…聖女様達は…大丈夫ですよ。何故か…不思議な力で護られているみたいですから…。じゃあ、これで。』
と、ダルシニアン様が言ってたなぁ…。私がと言う事には気付いて無いと思うけど…
「ひょっとして、ダルシニアン様は何か…気付いている感じ…なんですか?」
「どうかな…ハルがとは思ってないと思うけど、あの護りの魔力の強さには驚いていたと思う。」
「まぁ…気付いてるか気付いていないかは分からないけど、フェンリルの事でバタバタしてるから、今すぐ何かあるって事はないと思う。兎に角、あの森の浄化も後少しで終るから、このまま乗り切るしかないわ。早く終わらせて…帰ろう。」
「そうね。ハルも、あまりダルシニアン様には近付かないようにね。あの人…結構鋭いし…魔導師としての腕は…師団長である父親以上かもしれないわ。」
確かに、あのフェンリルに掛けた魔法陣は凄かった。感覚でしか分からないけど、あんな大きな魔法を展開させたのに、息一つ乱していなかった。
「…お姫様抱っこ…」
されたけど…
「お姫様抱っこ!?」
思わず口から出た言葉に、フジさんが食い付いてきた。
「あの…お姫様抱っこって、乙女ゲームのあるあるなんですか?」
「何ソレ!?」
「はい、ソレ詳しく話そうか!?」
ミヤさんとショウさんが更に食い付いて来て、質の良いポーションを飲みなが私の話しに耳を傾けた。
フェンリルを拘束してから二週間。
パルヴァン辺境地に来てから1ヶ月。
完璧ハイスペ聖女3人組はやりました。やりきりました。
「まさか、この森を1ヶ月で浄化し終えるとは…。」
ダルシニアン様の顔が、心なしかひきつっているのは…気のせい…と言う事にしておきましょう。
パルヴァン様も、ようやくベッドの住人から抜け出し、数日もすれば軽い運動を始める事ができそうだ。
そして、今日は、浄化終了と言う事で、パルヴァン邸で宴会をする事になった。
「ハル殿、隣、良いか?」
と言いながら、宴会の途中でパルヴァン様が私の横の椅子に座った。
「パルヴァン様、体調は大丈夫ですか?まだ本調子ではないと思うので、お酒は控え目にお願いしますね。」
「あぁ…分かった。」
ニカッと豪快に笑った後、スッと表情を引き締めて
「本当に、今回の事は礼を言っても言い尽くせないし、返せる恩すら無い。ハル殿達は…元の世界に還るんだろう?もし、還らないなら、どんな事をしてでも恩を返すところなんだが…。」
「ふふっ。そんな、返してもらわなくても良いですよ。私は…パルヴァン様が元気になって、シルヴィア様が笑ってくれるだけで、充分ですから。」
「そうか…ありがとう。」
それから少し、パルヴァン様と話した後、パルヴァン様は騎士様達の所へと戻って行った。
隅っこに陣取っている私は、大勢の人達が楽しそうに飲み食いしているのを眺める。
お姉さん達は、騎士様達に囲まれていた。
ーうん。この構図だけを見れば、乙女ゲームに見えない事も…ないかなぁ?ー
「ふふっ…」
やっとだ。これで、やっと日本に還れるんだ。
フワフワとした気持ちで、私は1人、手にしていたジュースを飲み干した。
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