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番外編
一周目 ある夢みがちな少女と聖騎士の話
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「君は素晴らしいな」
彼はそう言って微笑んだ。
「魔力も魔法攻撃も申し分ない。すぐに実戦で活躍できるレベルだ。きっと優れた精霊騎士になる」
彼は皆に憧れられる英雄である。故にその態度は基本的には極めて模範的なそれで、それもただのファンサービスの一環の社交辞令に過ぎなかった。
実際に彼は彼女の双子の妹にも似たように「精霊との親和性が非常に高い」「精霊騎士として素晴らしい才能だ」と称賛を口にしているのだから。
しかし褒められることに慣れた少女はそれをただのリップサービスだとは受け取らなかった。
ともすれば憧れの彼は自分のことを認めてくれている。自分に特別に目をかけてくれているのだと勘違いさえした。
彼は言った。
「精進をしなさい。そうすれば俺の元まで辿り着くことも不可能ではないだろう」
「はい! レオンハルト様!」
夢見る少女は頷いた。
(必ず辿り着きます! 必ず!)
彼は騎士としての才能の話しかしてはいなかったが、彼女にはまた別の意味にそれは聞こえていたのだ。
高みに辿り着きさえすれば、彼は少女のことを人間としても愛してくれる。彼女はそう愚直に妄信した。
彼はそう言って微笑んだ。
「魔力も魔法攻撃も申し分ない。すぐに実戦で活躍できるレベルだ。きっと優れた精霊騎士になる」
彼は皆に憧れられる英雄である。故にその態度は基本的には極めて模範的なそれで、それもただのファンサービスの一環の社交辞令に過ぎなかった。
実際に彼は彼女の双子の妹にも似たように「精霊との親和性が非常に高い」「精霊騎士として素晴らしい才能だ」と称賛を口にしているのだから。
しかし褒められることに慣れた少女はそれをただのリップサービスだとは受け取らなかった。
ともすれば憧れの彼は自分のことを認めてくれている。自分に特別に目をかけてくれているのだと勘違いさえした。
彼は言った。
「精進をしなさい。そうすれば俺の元まで辿り着くことも不可能ではないだろう」
「はい! レオンハルト様!」
夢見る少女は頷いた。
(必ず辿り着きます! 必ず!)
彼は騎士としての才能の話しかしてはいなかったが、彼女にはまた別の意味にそれは聞こえていたのだ。
高みに辿り着きさえすれば、彼は少女のことを人間としても愛してくれる。彼女はそう愚直に妄信した。
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