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飯屋

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ギルド風俗課に、「裸エプロン事件」の簡易的な報告をした後に、ライオネルと俺は飯屋に行った。ライオネルの奢りなら、遠慮なく食う! と、思ったのだが・・

「この肉なにかな、ライオネル?」

スープにゴロゴロ入った肉を、俺はスプーンでつつきながらライオネルに聞いた。

「モスバーの肉だな。獣臭いが肉肉しくジューシーだ。精が付くと自警団の同僚には、人気のメニューなのだが。もしや、口に合わないか、ケイ?」

俺は思わず苦笑いを浮かべた。

「合わないねえ~。しかも、サラダにもモスバー肉が入ってるよ。ライオネル食う?」

「ああ、食べられないなら貰う。ふむ、看板を見落としたな。あれを見てみろ、ケイ。今日はこの店は、『モスバー肉フェスティバルday』らしい。ケイ、店を変えようか?」

「でも、店に入ったばかりだよ?」

「ケイが食えなくては、意味がないだろ。取り敢えず、注文した料理は俺が貰う」

そう言うと、ライオネルは料理をがつがつと食べ始めた。俺はその姿を見ながら、ライオネルに話しかけていた。

「俺は自警団の独身寮で、家政夫してるだろ?だから、独身寮に住む皆の料理は、俺が作るべきだと思うのだけど・・実際には、団員の料理は、ライオネルが作ってるよね?で、俺は、団長と俺の二人分の料理を作るだけ。俺って、楽しすぎでない?俺の料理って、自警団の皆にはそんなに不評だったのかな?」

「ケイは、家政夫としてよくやっている。料理については、貴族出身の団長は、ケイの料理の虜となっている。つまり、そういうことだ」

「つまりどういう事ですか、副団長?」

料理が上手なのか下手なのか判断できずに、ライオネルに突っ込んで聞いた。すると、彼はモスバースープをがっつきながら、俺に視線を移し返事をした。

「自警団の同僚の大半が、下町生まれで冒険者卒業組だ。子供の頃から獣肉を食べて育った奴等は、大人になってもガツンとした獣味を好む者が多い。彼等には、ケイの繊細な料理では、物足りなかったようだな」

「やっぱり不評だったか~。団員の料理を作る、ライオネルの負担が心配だよ。俺が、獣ジューシーな料理を作れるといいのだけど。ライオネル、申し訳ない」

ライオネルは笑って答えた。

「ケイは真面目だな。俺の料理は、獣肉と野菜を煮込むお手軽料理ばかりだ。負担など全くない。それよりも、貴族出身者の団長の機嫌を急上昇させるケイの料理には、自警団一同が感謝している。勿論、家政夫としての働きにも、皆が満足してケイには感謝してるぞ」

「またまた~」

「本当に感謝しているんだ。さあ、食事は食った。別の店に行くぞ、ケイ」

俺は笑ってライオネルと共に店を出た。


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