奴隷少女は騎士となる

灰色の街。

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行方不明事件⑦ キーカルside

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ライと連絡がついてから30分程度が経った。
移動するなら連絡くれよ……なんて思いながらライが向かったであろう森に馬を走らせる。

リーダーとライが連絡を取った後、取り敢えずライがどこの森に居るのか知るために第1班で手分けして調査することにした。
ライは馬鹿ではないので余程のことがない限りなにも連絡せずに行動するということはしない筈。
調査し始めて10分。屋敷を探していたチームから連絡が入った。部屋の前に人が2人倒れていて、その部屋の中に、"人々がこの国で最初にいく場所。そこから丑寅の方向に暫く行ったところにて"と書かれたメモ書きがあったそうだ。

「王都の西門の外にある森か」

ライはそこに向かった。そして多分そこには班長達もいる。もしくは、その手がかりとなるものがある筈だ。
第1班が全員集まったのを確認して、リーダーを先頭に馬を走らせる。

そして森につく。何人かが顔をしかめている。

「どうかしたか?」

「……血の臭いです。しかも、人間の」

「……は?」

空気が凍る。何でだ?ここは多少は管理が甘いとはいえ定期的に見回りをしているし、そこまで治安は悪くなかった筈だが。となると、答えは絞られる訳で。

「「「ライか」」」

その場にいる全員の声が被る。
でも何でライが。そういえばライと連絡がついた時、変なことを言っていたらしい……確か、"これを出来るのは、中々居ないんじゃないでしょうか"だったか?なんか引っ掛かるんだよな。まあ、取り敢えず現場に向かうか。

暫く経って確かに血の臭いがしてきた。獣人は、森などの複雑化な地形していても臭いや音の発生地が分かるから羨ましいと思う。
勿論、それのせいで不便なこともあるようだが。

「この辺りの筈ですが……っ!」

「「おいおい、まじかよ」」

これ全部ライがやったのか?
少し開けた場所。そこには本当にこれが1人の手によって産み出されたものなのか疑うような光景が広がっていた。
頭と首が別れている死体。縦に真っ二つに別れている死体。
色々な死体があったが極めつけは、四肢が全て切り落とされ、しかもその表面を焼かれて眼球を片目だけ切り抜かれた原型を留めてない死体だ。もう性別すら判断出来ない。
当然辺りには血が飛び散っており、逆に血の色をしていない地面を見つける方が大変だ。

「酷いな……」

第1班のする拷問は結構酷いと噂されているが、これはそれを凌駕する程に酷い。
これをライ1人でやったとは考えられない位だ。

血の臭いは続いているようで、獣人達を先頭に動く。
どうやらライの匂いも近いようで、血の臭いと共にライの匂いも一緒に移動しているようだ。

「もしかすると、ライが怪我している可能性もあるよな」

班の中の誰かがそう言う。
確かにその可能性は十分にある。ライは実力は新人の中ではトップクラスだが、新人であることには変わらない。当然計画を瞬時に立てる能力も、俺らからしたらまだまだだ。
無事でいてくれよ。そう願いながら少し駆け足で移動する。
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