奴隷少女は騎士となる

灰色の街。

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行方不明事件⑥

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私は一気に近寄って一番近くにいる敵を鎌で倒す。
拷問の時みたいに情報を聞き出すための攻撃ではないため、一瞬で相手の命を摘み取る。

でも、流石盗賊。味方が殺されたにも関わらず、動揺せずに私から距離を置いている。
慣れていなかったら叫んだり、動揺を顕にしたりするものなのだが、慣れているのだろうか。

"何かを得るには何かを犠牲にしなければならない"本当にそうだと思う。現にこの人達は金銀財宝を得るために仲間のことを犠牲にしてきた。時には家族を。時には友達を。
でも、決して命を蔑ろにしているわけではない。むしろその逆で、同じグループの人が困っていたら協力し、助け合う。だからこそ、犠牲になる方も喜んで犠牲になる時が殆どだ。
それがどれだけ危険なことなのか、私は嫌というほど知っている。

だからこそ、こいつらはここで潰さないといけない。これ以上、被害を出すわけにはいかないのだ。
あいにく、この人達は隣国の魔道具を持っている可能性が大だ。隣国の魔道具は魔力の質などを0にするものだが、そういうものがあるということは、魔法攻撃に込められている魔力を0にする装置が作られていても可笑しくない。
どちらにせよ、私の魔法攻撃は風、火、雷といったもので、こんな森の中で放つものではない。空間魔法は、攻撃というより防御や幻覚系。そもそも、この後何が来るかも分からないのに体力を消耗するわけにはいかない。

「そういえば、知ってますか?」

「……何がだ」

「私が今使っている鎌なんですけど、昔は鎌は死神の象徴として恐れられていたみたいですよ。今はあまりそういう話を聞きませんが」

「何が言いたい?」

「いえ、今の状況にぴったりだなと思いまして。あながちこの話は嘘ではないのかも知れませんね」

「……ほう」

私がここで貴方達を殺す。そういう意味で言ったのだが、どうやら伝わったようだ。警戒を高め、何時でも襲いかかれるようにしていることが分かる。

数秒後、どこからか鳥の鳴き声が聞こえた。
その瞬間、私達は動き出す。

……でもまあ、元々力の差は明らかで。この人達はあっという間に私に殺られていく。
それでも立ち向かってくるこの人達。もしかしたら時間稼ぎが目的なのかも知れない。

元々百人程度いた盗賊達は10分程度で潰された。
この人達は強さではなく数で勝ってきたグループだから、一人ひとりの力はそんなに強くない。強くても騎士団団員相手に10分耐えれるかどうかだ。

それにしても、この人達以外にもグループに入っている盗賊はいる筈だ。というか、この人達は多分盗賊グループのなかでも下っ端。他の人達も探すか……でも先に班長達を探した方がいいか?どうしよう。
第1班が来るまで多分20分以上はかかるし、その内に敵は潰しておきたい。

取り敢えず、もう少し先に進んで見るか。
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